FLAC(フラック、Free Lossless Audio Codec)は、オープンフォーマットの可逆圧縮音声ファイルフォーマットである。
概要
可逆圧縮であるため、元の音声データからの音質の劣化が無い。2015年現在、Oggプロジェクトの可逆圧縮コーデックとして採用されている。通常のFLACファイル (.flac/.fla) だけでなく、Oggファイル (.oga/.ogg) やMatroskaファイル (.mkv/.mka) などのメディアコンテナに格納することもできる。
一部の変換ソフトには、無圧縮形式に変換可能なFLAC Uncompressedというオプションが用意されている。
量子化ビット数は4bit - 32bit[注釈 2]、サンプリング周波数は1Hz - 1048575Hz、チャンネル数は1ch - 8ch[注釈 3]をサポートしている[2]。
リファレンス実装はオープンソースとして開発されており、ライセンスに関しては以前はGPLが適用されていたが、Oggプロジェクトに加わった際にコアライブラリは修正版BSDライセンスへ変更された。
ハイレゾ音源の配信によく使われるが、FLACは前述の通りハイレゾ以外の音声データも格納できるため、CDからのリッピングなど元の音源の種類によってはこの限りではない。
特徴
- エンコード・デコードが速い
- 非対称なエンコード/デコード速度[3]
- エンコード時間は圧縮率を上げるほど長くなる[4]
- デコード時間は圧縮率にほとんど影響されない[4]
- シークが速い
- データ構造がエラーに強い[注釈 4]
- 前後のフレームに依存しないストリーマブルな構造であり、壊れた不完全なファイルでも実際に破損している箇所以外はデコードすることができる。
- オープンフォーマットの可逆圧縮音声フォーマットとして広く使われており、商用でも採用される例が増えている
- Wave64, RF64 (英RF64) フォーマットのサポートにより、4GB以上のリニアPCMデータに対応
利用例
- 音楽CDを一つのMKAファイルにまとめる(アルバム化)
- (FLAC).flac
- (FLAC).fla
- (FLAC).oga
- (FLAC).mka
FLAC Uncompressed
FLACには無圧縮形式への変換がオプションとして用意されている。可逆圧縮形式のFLACと区別するために、無圧縮形式のFLACをFLAC Uncompressedとしている。
変換にはdBpowerAmpやXrecode II、Xrecode 3などの変換ソフトが必要。
脚注
注釈
- ^ Registration being sought as
audio/flac
- ^ 浮動小数点ストリームはサポートしていない。浮動小数点ストリームに関しては、将来的な対応の予定もないことが明言されている。なお、FLAC 1.3.4までは32bitエンコードには非対応だったが、FLAC 1.4.0から32bitエンコードに対応するようになった。
- ^ ただし、サラウンドなどのマルチチャネル・マッピング方式への対応は限定的で、2.1ch/3.1chなどはサポートされていない(仕様上は将来的な拡張が可能)。
- ^ 各フレーム毎にCRCとMD5の参照値が記述されており、正当性を確認することが可能。
出典
関連項目
外部リンク