Appleは予定通りMac OS 9を2001年に開発終了し、全ての開発をMac OS Xへ移行した。よって、最後のMac OS 9.2.2アップデートリリース以降の更新はない。 最終更新では、Classic環境とCarbonアプリケーションの互換性改善が行われた。 2002年のWWDCでは、スティーブ・ジョブズによる基調講演でMac OS 9の葬儀パフォーマンスが行われた[3]。
機能
Appleは、Mac OS 9に「50の新機能」を追加、QuickTimeのようなメタリックな外観を導入し様々なオンラインリソースを検索するための「チャネル」機能を導入したSherlock 2を中心に紹介した。 Mac OS 9はiTools(後に.Mac、iCloudに置き換えられたMobileMe)として知られるインターネットサービススイートを統合的にサポートし、Open Transport 2.5でTCP/IP機能を改善した。
10.5より前のMac OS XのPowerPCバージョンにはMac OS XからMac OS 9を必要とするアプリケーションとハードウェアを実行できるクラシックと呼ばれる互換レイヤー(シェル)が含まれている。
これはMac OS X上でMac OS 9を実行することで実現されている。これにはクラシック環境を実行できるコンピューターがMac OS 9で起動できることを必要としないが、コンピューターへのMac OS 9のインストールを必要とする。一部のMac OS 9アプリケーションはクラシック環境ではうまく動作しない。これらは画面再描画の問題と、パフォーマンスの低下を示している。さらに、ハードウェアと直接作用するドライバーや、その他のソフトウェアは正しく機能しない。
2002年5月、カリフォルニア州サンノゼで開かれたAppleのWorldwide Developers Conferenceで、スティーヴ・ジョブズは棺桶とともに模擬葬儀を開催し[3]、AppleがMac OS 9の開発を終了したことを発表した。2001年12月に発表されたMac OS 9.2.2が、System 7から改良と拡張が続いたクラシックMac OSの最後のバージョンとなった。2005年6月、ジョブズはMacのプラットフォームをIntel x86マイクロプロセッサーに移行すると発表し、クラッシック環境も終焉となった。PowerPCエミュレーション層Rosettaの開発者文書でx86ベースのMacではMac OS 8および9向けに作られたアプリケーションが実行できないことが明らかにされた。Mac OS X v.10.4 TigerのPowerPC版にはクラシック環境があるが、x86版ではクラシック環境はサポートされていない。
IntelベースのMacでの回避策として、PowerPCエミュレーターのSheepShaverを使用してバージョン9.0.4までのMac OS 9をエミュレートすることができる。SheepShaverがメモリ管理ユニットをエミュレートしていないため、9.0.4より後のバージョンをエミュレートすることはできない。PowerPCエミュレーターのPearPCはMac OS 9をエミュレートしていない[6]。ただし、最近のQEMUにはMac OS 9およびOS XのPowerPCバージョンのエミュレートが追加されている。
可用性
Mac OS 9はAppleからはサポートされていないが、まだいくつかのインターネット業者からさまざまな価格でリテイル版を入手することができる。
開発が終了しているため現在はアバンダンウェアに分類されているが、ハードウェアの制限でOS XにアップグレードできないユーザーやOS Xよりも好むユーザーに使用されている。Mac OS 9は古いコンピューターを楽しむ人々にも人気のある選択となっている。MacゲーマーもOS Xでサポートされてない Bugdom、Nanosaur、『オレゴン・トレイル』、Civilization II、『Marathon』などのゲームをプレイするために(多くの場合はエミュレーション経由の)クラシックやネイティブのOS 9に戻ることもある。
Mac OS 9は現在も保守運用されているApple製ハードウェア以外にも、WindowsやUnixなどの他の環境でも運用可能である[7]。例えば、前述のSheepShaverソフトウェアはx86プラットフォームでも使用できる。PowerPCプロセッサのサポートを提供するが、メモリ管理ユニットをエミュレートしていないためにMac OS 9.0.4までしか実行できない。QEMUではその制限がない。
Mac OS 9でのアップデートとしては9.0.4, 9.1、9.2.1、9.2.2がある。Mac OS 9.0.4には主にUSBおよびFireWireに関連するバグ修正の集大成だった。 Mac OS 9.1では、MacintoshのFinderに統合されたCD書き込みサポートが追加され、開いているウィンドウを切り替えるためのFinderの新しいウィンドウメニューが追加された。 Mac OS 9.2では、パフォーマンスが大幅に向上し、クラシック環境のサポートが改善された。
1一部の最新のG3およびほとんどのG4 Mac はMac OS 9.1以上でしか動作しないものと、Mac OS 9.2以上でしか動作しないものがある。これはG3 Macの開発後期およびG4 Macの開発中期がMac OS 9の開発期間と重なっており、G4 MacをサポートしているバージョンのみがそれらのG4 Macと互換性があるように設計されているからである。
1一部の最新のG4および全てのG5 MacはMac OS 9.2以降のバージョンでのみ動作し、互換性のあるバージョンのMac OS 9がOS X環境のクラシック環境でのみ動作させることができないのは、OS X時代に開発されたそれらのMacが直接起動できるように“Mac OS ROM”が更新できなかったからである(しかし、ユーザー環境では動作し続け、少なくともMac OS 9.2しか動作しないという制約があったため、クラシック環境ではまだサポートされていたものと思われる)。