M163対空自走砲(M163 Vulcan Air Defense System, 略称:VADS)は、1960年代にアメリカ合衆国で開発された自走式対空砲である。
設計
VADSをM113装甲兵員輸送車に搭載して自走式対空砲にした車両である。そのため、対空レーダーはM168 20mm バルカン砲の射撃管制装置の追尾レーダーのみ装備し、捜索レーダーは装備しない。
運用
M163は、同じくM113装甲兵員輸送車をベースにしたMIM-72地対空ミサイルと併用して運用されてきた。
後継となる筈だったM247サージェント・ヨークが量産配備されなかったため、M163がその後のアメリカ陸軍における唯一の自走式対空砲になっている。しかし、湾岸戦争でも見られるように、現在のアメリカ軍は圧倒的な制空戦力で制空権を確保してから地上戦力を投入しており、さらに、低空域目標に対する対空戦闘そのものが、軽便なFIM-92 スティンガーやアベンジャーシステムの役割となっているため、本車のような自走式対空砲が活躍することはあまりなく、そのため、後継の自走式対空車両は開発されていない。1989年のパナマ侵攻においては、M163は対空戦闘ではなく地上部隊を支援する目的で派遣された。アメリカ軍においてM163が最後に実戦投入されたのは、1991年の湾岸戦争である。
イスラエル国防軍はM163を導入し、1982年のレバノン侵攻作戦においてシリア空軍のMiG-21の撃墜を記録しているほか、レバノン南部でのPLOの拠点制圧に水平射撃で威力を発揮した。1990年代にはIAIにより4連装のスティンガー地対空ミサイルランチャーを追加装備したM163 Machbetに独自改修されている。
採用国
現役国
退役国
画像
関連項目
外部リンク