1990年カナダグランプリ(仏: 1990 Molson Grand Prix du Canada)は、1990年F1世界選手権の第5戦として、1990年6月10日にジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで決勝レースが開催された。
予選
予備予選結果
予選結果
決勝
土曜日に降り始めた雨はあがったものの、決勝当日も薄暗い曇り空に覆われた。レーススタートを待つ間に再び雨が降り始め、各車はレインタイヤでダミーグリッドに並んだが、天候の回復を見越してドライ寄りのセッティングを選ぶギャンブルに賭けるドライバーもいた。
スタートシグナルが緑に代わる寸前、2番グリッドのベルガーがわずかに動き出すが、セナが先頭を守って1コーナーをクリアした。序盤はセナ、ベルガー、ナニーニがレースを引っ張り、アレジ、ピケ、ブーツェン、プロストと続いた。
10周目過ぎには、走行ライン上の路面が乾きはじめ、ピットでドライタイヤへ交換する作業が始まった。ここでベルガーにジャンプスタート(フライング)の裁定がくだり、レースタイム60秒加算のペナルティが科された。マクラーレンはチームオーダーでベルガーをセナの前に出し、「見かけ上トップ」のベルガーはペナルティを挽回するため猛プッシュを続けた。好調ナニーニはピットアウトした周回中に小動物(ウッドチャック)を跳ねてしまい、ノーズ交換のため再度ピットインして順位を落とした。
コース上は走行ラインを外すと非常に滑りやすく、スピン・クラッシュが続発する。タイヤ交換を終えて2位に浮上したプロストにブーツェンが19周目に仕掛けるが、その際2台のすぐ前を走っていた周回遅れのラリーニに追突してリタイア。2周後にはナニーニがタイヤバリアに突っ込み、その5周後には同じ場所でアレジがコースアウトし、乗り捨てられていたナニーニのマシンに突っ込んで粉砕した。
セナの30秒後方では、2位集団のプロスト、ピケ、マンセルの我慢比べが続いたが、次第にプロストのブレーキが厳しくなり、49周目にピケ、50週目にマンセルがパスして順位を上げた。
ベルガーはセナを45秒離してトップチェッカーを受けたが、+60秒加算により15秒差の4位という結果になった(最終ラップにプロストのタイムを抜いた)。予選は0.066秒の僅差でポールポジションを逃し、決勝は痛恨のジャンプスタートでタイムペナルティと戦うというアンラッキーな週末になった。
決勝結果
レース後の選手権順位
脚注