ラシーン(RASHEEN)は、1994年(平成6年)から2000年(平成12年)の6年間、日産自動車が企画・販売したクロスオーバーSUVである。製造は高田工業が担当した。
型式は「R*NB14」であるが、B14型系サニーとの共通部品は皆無に近く、1世代古いB13型系サニーの4WD車や、B13型以降プラットフォームを共有しているN14型系パルサーの4WD車と共通の部品が多く使われている。全車四輪駆動(4WD)であり、ビスカスカップリングを用いたフルオートフルタイム4WDシステムを採用する。型式に割り当てられるアルファベットはモデルによって異なり、ラシーンftには「H」、ラシーンフォルザには「K」、それ以外には「F」が割り当てられる[5]。
デザインコンセプトには、Be-1やパオを手がけた坂井直樹が率いるウォータースタジオが関わっているが、公式には発表されていない。そのため、限定生産ではなくベース車も異なるが、パイクカーシリーズの流れを汲んだ商品企画であった。
テールゲート(バックドア)は上下開きとされ、タイプII以上ではその後方にスチールパイプ製の横開き式キャリアを介し、スペアタイヤを装備している。タイプIとタイプI B仕様は背面スペアタイヤキャリアがなく、スペアタイヤは荷室内収納となる。タイプIIIでは、さらに大径丸形フォグランプとグリルガードがセットで標準装備となる。全長はタイプIおよびタイプI B仕様が3,980 mm、タイプIIが4,115 mm、タイプIIIが4,210 mm となる。
本格的なクロスカントリーカーを思わせる風貌ではあるが、そういった雰囲気を手軽に楽しむための自動車であり、開発時に激しい不整地走行は想定されていない。
1993年(平成5年)の東京モーターショーに参考出品した試作車が好評だったため、細部を変更して1994年(平成6年)12月に市販化された[6]という経緯を持っている。高さを抑え角張った外装デザインが特徴的であり、一度もフルモデルチェンジされることなく2000年(平成12年)まで生産が続けられた。日本のみならずイギリス等の日本国外でも高く評価され、中古車はいまだに根強い人気を保ち、ラシーンを専門に扱う中古車販売店も存在する。
1997年1月15日から同年11月30日にかけて、イメージキャラクターにドラえもんを起用[7]し、当時のキャッチコピーは「新・ぼくたちのどこでもドア。RUN!RUN!ラシーン新発進。」[7]。また、車体色のブルーカラーは「ドラえもんブルー」と称された。
1998年4月からは、ラシーンフォルザのイメージキャラクターとしてムーミンとスナフキンが登場[7]。ムーミン・スナフキンはミニチュア、ラシーンの国はミニチュアと実写の合成、フォルザは実写と、キャラクター・風景・車それぞれを巧妙に合成している。当時のキャッチコピーは「ラシーンの国へようこそ。ちょっと大きめ ラシーンフォルザ発進。」。CMに使われた曲はオリジナル曲で、作詞はパトリック・ヌジェ、作曲は井上ヨシマサ、演奏は野村義男によるものである[7]。
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