『地方紙を買う女 』(ちほうしをかうおんな)は、松本清張 の短編小説 。『小説新潮 』1957年 4月号に掲載され、1957年8月に短編集『白い闇』収録の1編として、角川書店 (角川小説新書)より刊行された。
『危険な女 』のタイトルで1959年 に日活 で映画化、また9度テレビドラマ化されている。
あらすじ
武蔵野 に居を構える作家・杉本隆治は、小説「野盗伝奇」[ 注釈 1] を『甲信新聞』という山梨県 の地方紙 に連載していた。ある時、東京の潮田芳子という女性から「野盗伝奇が面白そうだから貴紙を読んでみたい」旨の購読申し込みが甲信新聞に届く。杉本隆治は感謝の礼状を芳子に送った。ところが、申し込みから1か月も経たないうちに「小説がつまらなくなったのでもう購読しない」という葉書が届く。連載中の小説が面白くなるはずだが、購読を中止することに不審に思う杉本は同紙に載っている山梨県内で発生した2人の男女の服毒心中 事件の記事に目を留め、芳子の新聞購読の目的は小説ではなくこの事件だと疑い始める。
エピソード
本作の英訳「The woman who took the local paper 」がアメリカのミステリー小説誌『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン 』1979年 6月号に掲載された。3か月後に光文社 発行の雑誌『EQ』に再掲載されたが、清張は「こんどEQMM誌に出た英訳では、誌面の関係上原作が縮められている」「背景の描写は作品の雰囲気を出すのに重要な要素となっているので(著名な例としてE・A・ポウ の『アッシャー家の没落 』の冒頭部分、E・ブロンテ の『嵐が丘 』における英国ヨークシャの荒れ地の風景描写、S・モーム の東南アジアものなど)、この部分を削られると小説から味も素っ気もなくなったようで、原作者としては不満である」とのコメントを付している[ 1] 。
映画
映画タイトル『危険な女 』。1959年 12月16日公開。製作・配給は日活 。
キャスト
スタッフ
テレビドラマ
1957年版
1957年 12月27日 、NHK の「テレビ劇場」枠(20:45-21:00)にて放映。松本清張原作初のテレビドラマ化作品。
キャスト
スタッフ
1960年版
1960年 10月24日 と10月31日 、KRテレビ(現・TBS )系列の「ナショナル ゴールデン・アワー 」枠(20:30-21:00)、「松本清張シリーズ・黒い断層」の1作として2回にわたり放映。
キャスト
スタッフ
1962年版
1962年 5月31日 と6月1日 (22:15-22:45)、NHK の「松本清張シリーズ・黒の組曲」の1作として2回にわたり放映。
キャスト
スタッフ
1966年版
1966年 1月11日 、関西テレビ 制作・フジテレビ系列(FNS) の「松本清張シリーズ 」枠(21:00-21:30)にて放映。
キャスト
スタッフ
1973年版
1973年 2月12日 (23:15-24:10)、フジテレビ 系列の「恐怖劇場アンバランス 」第6話として放映。制作は1969年 - 1970年 になされている。DVD 化されている。
キャスト
スタッフ
1981年版
「松本清張の地方紙を買う女 」。1981年 11月14日 、テレビ朝日 系列の「土曜ワイド劇場 」枠(21:02-22:51)にて放映。サブタイトル「昇仙峡 囮心中」。視聴率22.8%(ビデオリサーチ 調べ、関東地区)[ 2] 。
キャスト
スタッフ
脚本:猪又憲吾
プロデューサー:大久保忠幸(東映)、池ノ上雄一(東映)、宇都宮恭三(テレビ朝日)
監督:渡邊祐介
撮影:坪井誠
照明:吉岡伝吉
録音:川田保
美術:野本幸男
編集:菅野順吉
効果:原田千昭
記録:吉沢幸子
計測:小林啓二
音楽制作:あんだんて
助監督:杉村六郎
進行:原田良彦
製作担当:奈良場繁
音楽:羽田健太郎
制作:東映 、テレビ朝日
1987年版
「松本清張の地方紙を買う女 」。1987年 10月23日 、フジテレビ 系列の「ザ・ドラマチックナイト 」枠(21:03-23:22)にて放映。視聴率20.7%(ビデオリサーチ 調べ、関東地区)[ 2] 。第27回日本テレビ技術賞 (撮影部門)受賞作品。
キャスト
スタッフ
2007年版
「松本清張スペシャル・地方紙を買う女 」。2007年 1月30日 、日本テレビ 系列の「火曜ドラマゴールド 」枠(21:00-22:54)にて放映。地方紙は仙台 地区の設定となっている。
劇中、東日本大震災 に被災する前のJR女川駅 のホームや駅舎外観を見る事が出来る。
キャスト
スタッフ
2016年版
「松本清張ドラマスペシャル・地方紙を買う女〜作家・杉本隆治の推理 」。2016年 3月12日 (21:00-23:06)、テレビ朝日 系列にて、松本清張二夜連続ドラマスペシャルの第一夜として放送された。小説家を主人公とした視点で描かれる[ 3] 。
2012年 以降、テレビドラマでの仕事を単発ドラマにほぼ絞り、その中でも松本清張作品への主演を中心としてきた田村(当時72歳)の、最後の清張作品主演作。田村の清張作品出演は、生涯で全9作となった(田村の信頼篤かった、彼のテレビ朝日系での清張作品全5作を演出した藤田明二 と、同じく4作の脚本家・竹山洋 の2人との最後の仕事ともなった)。田村最後の現代劇ドラマともなっている。
視聴率は11.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)[ 4] 。石川県 を舞台としており、輪島市 の琴ヶ浜海岸 などで撮影された[ 5] 。
キャスト
スタッフ
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脚注
注釈
^ 清張は1956年に小説『野盗伝奇』を地方紙に連載している。
^ 1981年版以来のテレビ朝日・土曜21時での放送ではあるが、今回は『土曜ワイド劇場』扱いはされない。
出典
外部リンク
フジテレビ 系列 ザ・ドラマチックナイト
前番組
番組名
次番組
俺たちの探偵物語 (1987.10.16)
松本清張の地方紙を買う女 (1987.10.23)
瑠璃の爪 (1987.10.30)
日本テレビ 系列 火曜ドラマゴールド
前番組
番組名
次番組
マイ☆スイートホーム 〜夢野大吉・夢を売ります〜 (2007.1.23)
松本清張スペシャル 地方紙を買う女 (2007.1.30)