ソニータイマー(英語: Sony timer, Sony kill switch)とは、「ソニー製品は1年間のメーカー保証期間終了直後に故障が頻発する」という噂から、「ソニーはその高い技術力を使い、製品の保証期間が過ぎるとすぐ故障が起こるよう、精密に製品寿命をコントロールしている」というものである。
なおソニーに関しては都市伝説であるが、他社で実際に故障させるタイマーを仕組んだ事案が発生していたことがあった(詳細後述)。
『ソニータイマー』というのは比喩であり、保証期間(通常は1年)と少ししか製品が持たずに、故障してしまうとされるソニー製品の壊れやすさを主張したものである。多くの日本人がそれを信じ、漫画の笑いのネタにしたり、オンライン掲示板に書かれたりしている。イギリスの『Telegraph』誌は、この「ソニータイマー」説は、同社を20年間にわたって悩ませ続けていると報じている[1]。
海外製品との競争が、最も熾烈だった1970年代後半にソニーユーザーから指摘される様になった。ただ、こうした不良品の「仕込み」は、市場を独占している製造企業でない限り、消費者に企業やブランドへの毀損・悪印象を植えつけてしまい、他社製品への乗換え・買換えを促してしまうため、「意図的に仕込むこと」は有り得ないと通常は考えられる[2]。しかし、2006年に欠陥のあるソニーのバッテリーを搭載した、アメリカ合衆国のデル製ノートパソコン410万台がリコールとなったことから、この噂が真実味を帯び、社会的に意識されるようになった。このリコールではデル以外にレノボ、富士通、Apple製品も含め世界で960万個に上った。爆発の危険性があるバッテリーを原因とするリコールによって、ソニーは大きなダメージを受けた[1]。
また、同2006年には、本物のソニータイマーかと噂された薄型テレビの例もある。同年2月にソニーは2005年10月発売の薄型テレビ「ブラビア」のリアプロジェクションテレビ「Eシリーズ」2機種に、視聴時間の累積が約1,200時間を超えると、視聴中に電源が切られないソフトウェアのバグがあると発表した。平均的な使用時間である1日3時間使用したと計算すると、メーカー保証期間の1年がちょうど過ぎたころに1,200時間を超えるため「まさしくソニータイマー」と噂された。これに対しソニーは「不具合は試験を行っている途中で発覚したに過ぎず、不具合が起こるように設計した訳ではない」と弁明した[3]。
ここ20年間に渡り、ソニーは日本で「ソニータイマー」という都市伝説に悩まされてきた。それにしても、保証期間が切れた直後に、ソニー製品を故障させるという『時限爆弾』は本当にあるのだろうか? 多くの日本人は『ある』と純粋に信じている。 ソニーの不良バッテリを組み込んだ、410万台以上のデル製ノートパソコンが、2006年にリコールされた件は、何十年にも渡って囁かれていたタイマーの噂を、一躍広める事になった。1980年から2006年にかけて、日本のギークと技術オタク達は、ソニータイマーの存在を冗談のネタにし、皮肉めいた漫画を作っては電子掲示板で鬱憤を晴らしていた。しかしデルのリコールによって、その都市伝説は世間に知られるようになり、ソニー製品の不良に怒った人々は、これぞソニーを叩く好材料とばかりに飛びついた。(中略) ソニーは、長年に渡って『ソニータイマー説』を払拭しようと、様々な取り組みをしてきたが、メーカー保証期間終了直後にソニー製品が故障するたびに、『ソニータイマー伝説』は、ユーザーにとって揺るぎない物となっていった。(中略) 技術革新を誇りとする日本において、燃え上がるノートパソコンと、史上最大の製品リコールは、そう簡単に片付けられるものではない。 — Hunter Skipworth、Telegraph.co.uk
ソニーの不良バッテリを組み込んだ、410万台以上のデル製ノートパソコンが、2006年にリコールされた件は、何十年にも渡って囁かれていたタイマーの噂を、一躍広める事になった。1980年から2006年にかけて、日本のギークと技術オタク達は、ソニータイマーの存在を冗談のネタにし、皮肉めいた漫画を作っては電子掲示板で鬱憤を晴らしていた。しかしデルのリコールによって、その都市伝説は世間に知られるようになり、ソニー製品の不良に怒った人々は、これぞソニーを叩く好材料とばかりに飛びついた。(中略)
ソニーは、長年に渡って『ソニータイマー説』を払拭しようと、様々な取り組みをしてきたが、メーカー保証期間終了直後にソニー製品が故障するたびに、『ソニータイマー伝説』は、ユーザーにとって揺るぎない物となっていった。(中略)
2022年9月、島津製作所の子会社・島津メディカルシステムズが、医療機関に納入したX線撮影装置の点検の際に、サービス技術社員が一定の時間が経つと電力供給回路が遮断されるようタイマーを装着。故障を偽装し部品交換により、修理代を稼ぐ不正が43件発覚した。当初は熊本営業所管内で発覚、後に鹿児島県(12件)や宮崎県(13件)など九州一円に広がった。不正には九州支店に所属するサービス技術者少なくとも7人(うち5人は営業所長の経歴を持つベテラン)が関与していた。タイマーは市販の汎用品で、設置から約10-40日後に作動し、経年劣化による故障であるかのように見せかけていた。故障を装って部品を交換する際に取り外して処分していたため、証拠がのこされておらず、嫌疑濃厚者のうち自白したのは2人のみで、2人は退職したとして調査委のヒアリングを拒絶。残る1人は病死した。メディアは「ソニータイマー」になぞらえ、「島津タイマー」などと報道した[7][8]。不正は2022年4月に内部通報で発覚。親会社の島津製作所が2023年2月に公表した調査報告書によると、不正は2009年ごろ創設された。この偽装により、8300万円以上の修理費用を売り上げていた[8]。
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング
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