サッカーオランダ代表 (サッカーオランダだいひょう、蘭 : Nederlands voetbalelftal )は、オランダサッカー協会 (KNVB)によって編成されるオランダ のサッカー のナショナルチーム 。
歴史
FIFAランキングで1位になった経験を持つ8ヶ国のうちの1つである。しかし、FIFAワールドカップ では準優勝が最高成績で未だ優勝経験が無い。
1930年代 - 1990年代
ワールドカップでは初出場の1934年大会 と、続く1938年大会 で両方とも初戦の16強で敗退した。3回目の出場となった1974 FIFAワールドカップ では準優勝を果たし、リヌス・ミケルス 監督の下、ヨハン・クライフ を中心にトータルフットボール と呼ばれる戦術でサッカー界に革命を起こした。1978 FIFAワールドカップ でもクライフを欠きながら決勝まで駒を進めるも、地元アルゼンチン に敗れ準優勝となった。
UEFA欧州選手権1988 では後にACミラン 黄金時代の中核を担うこととなるオランダトリオ (ファン・バステン 、ルート・フリット 、フランク・ライカールト )を擁したチームで臨み、準決勝で西ドイツ に2-1で、決勝でソ連 に2-0で勝利し初優勝を果たした。決勝戦でファン・バステンが決めた難易度の高いボレーシュートは大きな印象を残した。1998 FIFAワールドカップ ではベルカンプ、パトリック・クライファート 、クラレンス・セードルフ 、フランク・デ・ブール ら攻守にスター選手を擁して優勝候補の一角に挙げられていた。高い前評判に応える内容で勝ち上がり、準々決勝でアルゼンチンに2-1で勝利して準決勝まで進むもブラジル にPK戦の末敗れ、さらに3位決定戦で初出場のクロアチア にも敗れて4位に終わった。
2000年代 - 2010年代
地元開催となったEURO 2000 では、準決勝でイタリア にPK戦で敗れベスト4、2002 FIFAワールドカップ は予選敗退、EURO 2004 では準決勝で開催国ポルトガル に敗れてベスト4、2006 FIFAワールドカップ ではラウンドオブ16でポルトガルに敗れベスト16、EURO 2008 では準々決勝でロシア に敗れベスト8に終わるなど、高い前評判に応えきれない成績で終わる大会が続いてきた。
2010 FIFAワールドカップ では準々決勝で1974年大会 を最後に7試合で勝利が無かったブラジルに2-1で勝ち、準決勝でもウルグアイ に3-2で競り勝つなど、欧州予選から準決勝まで14試合全勝で32年ぶりの決勝進出を果たすも、決勝で同じく初優勝を狙うスペイン に延長戦までもつれた末に0-1で敗れ、またしても準優勝という結果となった。UEFA EURO 2012 ではデンマーク 、ドイツ 、ポルトガルと同じ死の組 に入るが全敗を喫した。FIFAワールドカップ とUEFA欧州選手権 を合わせて本大会に出場すればグループステージは11連続で突破していたが、UEFA欧州選手権1980 以来の敗退となった。
2014 FIFAワールドカップ ではグループリーグ初戦で前回優勝国で決勝にて敗れたスペインを5-1で破り、3連勝でグループリーグを首位で通過した。ラウンドオブ16でメキシコ に勝利し、準々決勝ではコスタリカ に対して延長引き分けPK戦の末、2大会連続でベスト4に進出した。しかし、準決勝のアルゼンチン戦では延長引き分けのPK戦の末、決勝進出を逃した。3位決定戦ではブラジルに勝利し大会無敗(5勝2分)で3位となった。欧州予選は9勝1分0敗で突破しており、地区予選から無敗での3位は1978 FIFAワールドカップ のブラジル以来2チーム目となった。2014年9月、UEFA EURO 2016 の予選からフース・ヒディンク が監督として指揮を執ったが、成績不振で2015年6月契約が解除となった。同年7月よりダニー・ブリント が監督に就任したが、予選グループA4位で1984年大会 以来8大会ぶりに予選敗退となった。
2018 FIFAワールドカップ はヨーロッパ予選グループA でフランス 、スウェーデン 、ブルガリア などと本大会出場を争ったが2017年 3月25日 、敵地でブルガリアに0-2で敗れるとブリント監督は解任された。その後はディック・アドフォカート 監督がUEFA EURO 2004 以来に再就任するも、グループA3位で4大会ぶりに予選敗退となった。
2020年代
予選敗退後はロナルド・クーマン が監督に就任し、代表内の世代交代を図ってフレンキー・デ・ヨング やマタイス・デ・リフト を主力に定着させた。2020年の夏、クーマンをFCバルセロナ に引き抜かれると、後任にフランク・デ・ブール が招聘され[ 1] 、UEFA EURO 2020予選 は危なげなく突破し、本大会出場を決めた。その本大会では、グループステージでオーストリア 、ウクライナ 、北マケドニア と同居。3戦全勝で決勝トーナメントに進出すると、ベスト16でチェコ代表 と顔を合わせた[ 2] 。試合の52分、スペースへ飛び出したパトリック・シック に並走していたデ・リフトが足を滑らせ、咄嗟に左手でボールを弾いた。VAR判定の結果、レッドカードがデ・リフトに掲示され、数的不利になったオランダは68分、80分と立て続けに被弾し、0-2で大会を後にした[ 3] 。大会敗退が決定した2日後、デ・ブール監督の退任が発表された[ 4] 。
2022 FIFAワールドカップ は2大会ぶりの出場。グループリーグは開催国カタール も含むグループA に入り、初戦でセネガル と対戦。立ち上がりからセネガルにボールを持たれ続ける劣勢の中でも試合終盤まで相手に得点を与えず、スコアレスのまま終了かと思われた84分にコーディ・ガクポ がヘディングシュートを決めて先制点を挙げる。さらには試合終了間際にも追加点を奪い取り2-0で初戦勝利を飾る[ 5] 。勝てば決勝トーナメント進出が決まる第2戦のエクアドル 戦では前半6分にガクポの2試合連続ゴールで先制点を挙げる。しかし、49分にエネル・バレンシア に同点ゴールを決められて勝ち越しゴールは奪えないまま1-1の引き分けに終わる[ 6] 。第3戦のカタール 戦では26分にガクポの3試合連続ゴールで先制すると49分にはフレンキー・デ・ヨング のゴールで追加点を奪う。その後は最後まで開催国カタールに最後までチャンスを作らせないまま2-0で勝利し勝点7のグループA1位で決勝トーナメント進出を決めた[ 7] 。2大会ぶりに進出した決勝トーナメント1回戦ではアメリカ と対戦。前半10分にメンフィス・デパイ 、前半AT1分にデイリー・ブリント の2つのゴールで前半を2点リード。だが、後半は決定機こそ作りながらも再三の決定機をマット・ターナー の好セーブの前に決めきれず、76分にはハジ・ライト に1点を返されてしまう。それでも81分にデンゼル・ダンフリース のゴールでトドメを刺し3-1で勝利し2大会ぶりの準々決勝進出を決める[ 8] 。その準々決勝はリオネル・メッシ 擁するアルゼンチン と対戦。オランダは立ち上がりからリオネル・メッシの巧みなパスワークを止められずに主導権を握られ、前半35分にはナウエル・モリーナ に先制ゴールを奪われ、今大会初めて先制を許す展開に。1点ビハインドで試合を折り返した後半もアルゼンチンにペースを握られ、73分にはリオネル・メッシにPKを決められて準々決勝で敗退が決まるかと思われた。だが、78分にメンフィス・デパイと交代したボウト・ベグホルスト が交代から5分後に1点を返すと、後半AT11分にはそのベグホルストがセットプレーから同点ゴールを決めて辛うじて90分での敗北を免れ、試合は延長戦へ。その延長戦でもスコアは2-2のまま変わらずPK戦にもつれ込む。オランダは1人目のフィルジル・ファン・ダイク 、2人目のステフェン・ベルハイス が連続でGKエミリアーノ・マルティネス にセーブされ、続くトゥーン・コープマイネルス 、2点ビハインドから2つのゴールで同点に追いつきチームを一時敗戦の危機から救ったボウト・ベグホルスト、ルーク・デ・ヨング はPKを成功させたが、最後はアルゼンチンの5人目ラウタロ・マルティネス に決められたところで試合終了。ベスト8で大会を去り、2大会振りの4強入りとはならなかった[ 9] 。
UEFA EURO 2024 ではグループD に入り、初戦でポーランド に前半19分に先制されるもコーディ・ガクポ 、ボウト・ベグホルスト のゴールで2-1で逆転勝利。だが続く第2戦のフランス 戦では0-0で引き分けた。負け以外で決勝トーナメント進出が決まる第3戦のオーストリア 戦は前半6分にドニエル・マレン がオウンゴールで先制点を与えてしまい、後半に2度のビハインドを追いつくも2-3で敗れ、グループリーグ3位での決勝トーナメント進出となった[ 10] [ 注 1] 。
決勝トーナメント は3位での通過となり、ラウンド16でグループE 1位通過のルーマニア と対戦し、ドニエル・マレン の2得点の活躍で3-0の快勝。準々決勝のトルコ 戦は前半35分にサメット・アカイディン のゴールで先制されるも、後半にステファン・デ・フライ の同点ゴールとメルト・ミュルドゥル のオウンゴールで逆転し、2-1で勝利してベスト4入りを果たす。準決勝は欧州選手権初優勝を目指すイングランド と対戦し、前半7分にシャビ・シモンズ が待望の先制点を挙げる。しかし、同18分にVAR により相手にPKを与えると、これをハリー・ケイン に決められて同点に。その後は互いに得点が生まれないまま時計の針が進み、このまま延長戦に突入するかと思われた試合終了間際にオリー・ワトキンス に逆転ゴールを決められて1-2で逆転負け。ベスト4で大会を去り、優勝した1988年大会 以来36年ぶりの決勝進出とはならなかった[ 11] 。
スタジアム
オランダ代表のホームスタジアムは3つある。
ユニフォーム
かつてのネーデルラント の旗。オレンジ色が使用されている。
旧国旗の色 とオランダ王家(オラニエ=ナッサウ家 、かつてオランジュ の領主だった)にちなんでユニフォームの色をオレンジとしており、世界的に「オレンジ軍団 」という愛称で知られている。また、1974年のW杯 では正確無比なトータルフットボール を展開したことから「時計じかけのオレンジ 」というあだ名で呼ばれたことがある。
オレンジという現在の国旗にない色をチームカラーとする世界でもまれなナショナルチームであり、ほかの例としては日本 やイタリア の青、ドイツ の白[ 12] がある。なおロゴに描かれた「王冠をかぶったライオン 」も、オランダ王家の紋章が由来である。
成績
FIFAワールドカップ
UEFA欧州選手権
開催国 / 年
成績
試
勝
分
負
得
失
1960
不参加
1964
予選敗退
1968
1972
1976
3位
2
1
0
1
4
5
1980
グループリーグ敗退
3
1
1
1
4
4
1984
予選敗退
1988
優勝
5
4
0
1
8
3
1992
ベスト4
4
2
2
0
6
3
1996
ベスト8
4
1
2
1
3
4
2000
ベスト4
5
4
1
0
13
3
2004
ベスト4
5
1
2
2
7
6
2008
ベスト8
4
3
0
1
10
4
2012
グループリーグ敗退
3
0
0
3
2
5
2016
予選敗退
2021
ベスト16
4
3
0
1
8
4
2024
ベスト4
6
3
1
2
10
7
合計
出場11回/優勝1回
45
23
9
13
75
48
歴代監督
現招集メンバー
2022年11月11日、2022 FIFAワールドカップ に向けて発表されたメンバー[ 14] 。
歴代選手
主要大会のメンバー
主な代表選手
歴代記録
出場数ランキング
最多出場者であるヴェスレイ・スナイデル
2024年 6月17日 時点[ 15]
水色は現役代表選手
得点数ランキング
最多得点者であるロビン・ファン・ペルシ
2024年 6月17日 時点[ 16]
水色は現役代表選手
エピソード
「6月25日」呪われたジンクス
1978 FIFAワールドカップ 決勝でアルゼンチンに延長戦の末に敗れて以後、オランダはワールドカップにおいて6月25日 に開催された試合で『3敗1分』と1度も勝利しておらず、特に2006 FIFAワールドカップ のポルトガル戦はイエローカード16枚、レッドカード4枚と非常に荒れた試合となった。なお、2010 FIFAワールドカップ ではこの日の前日となる6月24日 にグループリーグでカメルーン と対戦し、2-1で勝利している。
「死の組」との関係
ワールドカップや欧州選手権でオランダ代表は、優勝候補と目されるチームや直近の大会で好成績を収めたチームとグループリーグで同組となることが度々あり、1990 FIFAワールドカップ 、2006 FIFAワールドカップ 、2014 FIFAワールドカップ で死の組 に入りながらグループリーグを突破している。
UEFA EURO 2000 ではフランス (1998 FIFAワールドカップ優勝国)、チェコ (UEFA EURO '96 準優勝国)、デンマーク (UEFA EURO '92 優勝国)と同組となった事をはじめ、UEFA EURO 2008 では2006 FIFAワールドカップ 決勝進出国(イタリア、フランス)と同組に、UEFA EURO 2012 ではドイツ、ポルトガル、デンマークと、大会前の最新FIFAランキング TOP10以内のチームと同組になった。
このような死の組でオランダは好成績を収めることが多く、欧州選手権では2000年大会と2008年大会でいずれも3戦全勝でグループリーグを突破し、特に2008年大会はワールドカップ優勝のイタリアに3-0、準優勝のフランスに4-1で圧勝して大会を席巻した。しかし、2012年大会は逆に3戦全敗でグループリーグ敗退となっている。
脚注
注釈
^ グループ3位の中で上位4チームも決勝トーナメントに進出できる。
出典
関連項目
外部リンク
オランダのサッカー
オランダサッカー協会 オランダ代表チーム
国内リーグ
国内カップ
賞
廃止 関連項目