イベリア航空の本社
イベリア航空 (イベリアこうくう、Iberia 、スペイン語 正式社名:Iberia Líneas Aéreas de España S.A. )は、スペイン の航空会社 である。
概要
マドリード を本拠地としている。主要な拠点はマドリード空港 及びバルセロナ空港 である。スペインのいわゆるフラッグ・キャリア である。
航空券 の座席予約システム(CRS )は、アマデウスITグループ が運営するアマデウス を利用している。
[ 2]
ブリティッシュ・エアウェイズ と2010年 4月8日に持株会社 設立による経営統合に合意し、翌2011年1月21日 にインターナショナル・エアラインズ・グループ (IAG)が発足した。グループの登記上本社は、イベリア航空の本社所在地であるマドリードにおいている。
歴史
世界の中で最も古い航空会社の1つである。1927年 6月28日に設立され、同年12月4日にマドリード=バルセロナ 線の運航が開始された。初飛行には当時のスペイン国王アルフォンソ13世 が搭乗した。翌1928年 にはロールバッハ Ro VIII ローランド 3機による商業飛行も始まった。乗客10人乗員2人乗せることができ、座席は枝編みの椅子でトイレも備わってあった。この当時飛行機の最高速度は205㎞/hを達成した。
1932年 、ガソリンエンジンによる営業飛行を開始。1939年 にマドリード=リスボン 間で国際線サービスを開始。1944年 9月30日に国営化された。1945年 には大西洋横断線を実現し、1946年 には最初の客室乗務員を採用した。1946年 に、マドリード=ブエノスアイレス 路線上でダグラス DC-4 型機を使用してヨーロッパ =南アメリカ 間を飛行する最初の航空会社となった。
1946年当時のユニフォーム
1951年 、機内食の提供を開始。1953年 、国際郵便はがきの取り扱いを開始。1954年 8月にはニューヨークの直行便を開設した。翌年には、最初の客室清掃員を採用した。その後、アメリカ西部やカリブ海に路線を拡げ、自動車の飛行機での輸送やボーイング747 の商用飛行を行った。1974年に、マドリード=バルセロナを結ぶヨーロッパの最初のウォークオン・シャトルサービスを立ち上げた。この年、今日の一般的なコール・センターの前の段階である、「Serviberia」電話サービス、及び「赤いジャケット」という、問題が出たときに解決する特別サービスを提供する担当者に加えて、制服着用地上スタッフを配備した。
1985年 に初めてとなる女性パイロットと採用。1987年はアマデウスITグループ 創立メンバーの一員になった。
1980年 代後半から1990年 代初期、イベリア航空は従来使用していたマクドネル・ダグラス DC-9 型機、ボーイング727 型機及びマクドネル・ダグラス DC-10 型機を、マクドネル・ダグラス MD-87 型機、エアバスA320 型機及びエアバスA340 型機に更新する計画を策定。さらにボーイング757 型機もかなりの数購入した。1991年 に、イベリア航空はヨーロッパの最初の国際線航空会社としてフリークエント・フライヤー・プログラム 、イベリアプラスを立ち上げ、1996年にウェブサイト www.iberia.com を立ち上げた。1999年にアビアコ航空を買収するとともにその機材を継承し、同年9月には航空連合ワンワールド への加盟を果たした。2001年 に民営化が完了し、イベリア航空の株式が株式市場に上場された。
2004年 7月、イベリア航空は南アメリカ線のハブ空港 を、マイアミ からホンジュラス のサンペドロスラ (San Pedro Sula) へ変更したと発表した。
2005年 、イベリア航空はエアバスA340型機に新しいビジネス・プラス・クラスを導入した。
2006年 には格安航空会社 のブエリング航空 の台頭に対抗するため、同じく格安航空会社のクリックエアー を設立しイベリア航空のバルセロナ発着路線を移管した。なお、クリックエアーは2009年にそのブエリング航空に合併され、ブエリング航空がイベリア航空の関連会社となっている。
2007年 7月、エールフランス‐KLM がイベリア航空を買収する計画に参入することを表明した。
2009年 11月12日、かねてより交渉が行われていたブリティッシュ・エアウェイズ との統合について基本合意。2010年 4月8日に「インターナショナル・エアラインズ・グループ (IAG)」を発足させ、グループの登記上本社をイベリア航空の本社所在地であるマドリードに置くことで最終合意した[ 3] 。経営統合は2011年1月に完了、乗客の輸送規模で世界6位、欧州3位の航空会社となった。
2011年 にはブリティッシュ・エアウェイズと貨物事業を統合すると発表。IAGカーゴ (英語版 ) が発足した[ 4] 。
2012年 、イベリア・エクスプレス を設立。
2013年以前のロゴ
2013年 4月、ブエリング航空がIAG傘下に異動した[ 5] 。同年10月には新しいCI を発表している[ 6] 。2015年 には長距離国際線向け機材(A330やA350など)を大量発注した。[ 7]
2019年 11月、IAGはイベリア航空を通じて[ 8] 、国内同業のエア・ヨーロッパ を買収すると発表した。これにより、マドリードをロンドン・ヒースロー やパリ・シャルル・ド・ゴール 、フランクフルト などと並ぶハブ空港 として強化したいとしている[ 9] 。
アジアでのイベリア航空
1986年の成田空港就航時の写真
日本は1986年 、マドリード ~バレンシア ~ムンバイ ~東京 で就航を果たした。[ 10] 1987年 には経由地をアンカレッジ とモスクワ 、1990年 にはモスクワ のみとし、その後直行便化されたが1998年 12月に撤退した。1994年に日本の三重県 で開園した複合リゾート施設「志摩スペイン村 」の中に開設された、スペインを題材としたテーマパーク の「パルケエスパーニャ」についてもスポンサーとなっていたが、この日本路線撤退に伴い契約を終了した。
2015年 7月31日にIAG 主導で経営改善が進み、新機材としてA330-200 やA350-900 を発注していてこれら機材を使用してアジア、アフリカ、アメリカ大陸の新路線を開設する意向を表明し、アジアでは東京、上海への就航を検討していることが報じられた[ 11] 。スペインのバルセロナ は、イタリアのローマ やヴェネチア と並んで日本人観光客から高い人気を誇るため、以前から直行便就航を要望する声が多かった。
2016年 1月18日、上海線の冬ダイヤ以降の開設準備と同時に東京 便を10月18日に週3便で開設することが発表されたが、[ 12] 2016年6月28日に上海線週3便運航の開設を前倒しすることを4月19日に発表した。[ 13]
2019年 11月5日、東京/成田~マドリード線を2020年6月17日より現在の週5便から週7便へ増便し、使用していた機材もA330-200 からA350-900 に置き換えると発表した。これにより、フライトあたりの座席数が60席増加し、2020年夏季ダイヤにおいて49%近く増加し、2016年に日本に就航して以来、2度目の増便となるはずだった。[ 14]
しかし、2019年に中国から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行 により、イベリア航空は2020年1月31日からバルセロナ~上海線を運休し[ 15] 、これがさらに拡大すると3月20日の成田発フライトを最後に週5便運航だった東京/成田~マドリード線も運休した[ 16] 。2022年7月時点でもこの運休は続き、東アジアからの旅客はIAGグループのブリティッシュ・エアウェイズでロンドンまで来てからイベリア航空へ乗り継ぎをするような案内がイベリア航空の公式サイトで出される状況となっている。
2024年10月27日に週3便にて成田 - マドリード線を運航再開。[ 17]
機材
リスト
エアバスA319-100
エアバスA319-100(ワンワールド塗装)
エアバスA320-200
エアバスA320-200(イベリア・エクスプレス)
エアバスA320neo
エアバスA321-200
エアバスA321neo(イベリア・エクスプレス)
エアバスA330-200
エアバスA330-300
エアバスA350-900
ATR 72-600(イベリア・リージョナル、旧塗装)
ボンバルディア CRJ-200ER(イベリア・リージョナル、旧塗装)
ボンバルディア CRJ-1000
退役機材
リスト
画像
ロールバッハ Ro VIII ローランド
ダグラスDC-4
マクドネル・ダグラスDC-9
マクドネル・ダグラスDC-10
マクドネル・ダグラスMD-87
ダグラスDC-8
ダグラスDC-8-63
ボーイング727-200
ボーイング747-100
ボーイング747-200B
ボーイング747-300
ボーイング747-400
ボーイング757-200
エアバスA300
エアバスA340-300
就航都市
欧州域内のかなりの便が格安航空であるVueling航空運航のコードシェア便でワンワールドのマイレージは一切貯めることが出来ないので要注意
関連会社
英語版記事 も参照
短・中距離路線の収益改善を図るため、ブエリング航空とは別に設立された格安航空会社。2011年10月に設立が発表され[ 30] 、2012年3月に運航を開始した[ 31] 。主にイベリア航空から路線移管を受ける形で運航ルートを拡大している。
イベリア・リージョナル
詳細はエア・ノストラム の項目を参照のこと。
上記に加えて、グループの関連事業として、イベリア航空の自社機材及び他社へのサービスとして、航空機の保守会社の資格を得ている。また、航空会社を顧客として、スペインの空港の取り扱いサービス (航空機及び旅客への補助) の有力企業である。
事故・事件
脚注・出典
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
イベリア航空 に関連するメディアがあります。