『重要参考人探偵』(じゅうようさんこうにんたんてい)は、絹田村子による日本の漫画作品である。
『増刊flowers』(小学館)にて2013年初夏号から連載され[1]、後に本誌の『月刊フラワーズ』(同社刊)に移籍して[2]、2015年9月号から2018年2月号まで連載された。単行本は「フラワー・コミックスα」より全7巻が刊行されている。
2017年10月期にテレビ朝日系でテレビドラマ化された。
モデルの弥木圭は、5歳の時に初めて林の中で死体を発見したのを革切りに、幾度となく様々な死体の第一発見者となる不思議な体質になってしまった。死体を発見するだけならまだしも、慣れから生じた落ち着きぶりと仕事優先の逃避の行動ゆえに、しばしば重要参考人として疑いをかけられてしまう。事件発生時、周囲の人間は全員が圭を犯人だと信じて疑わず、キレやすい性格が仇となって容疑者にされ手錠をかけられるのは珍しくない。
無実を知るモデル仲間の、推理オタクの周防斎とナンパ好きのシモン藤馬と共に、自分にかけられた容疑を晴らすため事件に立ち向かう。しかし事件に遭遇する中で、圭自身も知らない謎が浮かび上がる。
2017年10月20日から12月8日まで毎週金曜日23時15分 - 翌0時15分に、テレビ朝日系の「金曜ナイトドラマ」枠で放送された。主演は玉森裕太[4]。
モデルの弥木圭は、なぜか様々な場所や場面で死体の第一発見者となってしまう特異体質な男である。大学の同級生である交際相手・早乙女果林を面倒に巻き込んでしまわぬよう、彼女には理由を告げずに別れていた。
数年後、モデル仲間の周防斎、シモン藤馬と共に仕事で出席した時計メーカーのパーティーで死体の第一発見者となってしまった圭は、刑事として現場に現れた果林と再会する。圭は警察に嫌疑をかけられるが、斎とシモンの助けを借りて真犯人を推理し、自らの疑いを晴らした。しかしその後も連続して殺人事件の第一発見者=重要参考人となってしまったため、上司である刑事・登一学に果林は、非番の日もできるだけ圭を見張るよう命じられる。
ある日、いつものように圭、斎、シモンの3人はモデル事務所社長・浪江篠介に仕事を任され、石長島(いわながじま[3])の温泉旅館を訪れるが、圭は既視感を覚える。そして旅館で殺人事件の第一発見者となってしまった圭は、警察が来るまで隔離された離れの部屋で、20年前にこの島で起こった「石長島交番警察官殺害事件」のスクラップ記事を発見する。その事件の被害者が自分の父・弥木要人であることや、それを発見したのが7歳の自分であったこと、その場で誰かに首を絞められて気絶させられたことを思い出し、圭はショックを受ける。犯人はいまだ捕まっておらず、また現場に残された大量の覚せい剤により要人には薬物密売の疑いがかけられたままだった。事件の真相究明を決意した圭は、温泉旅館での殺人事件を解決した後、「石長島交番警察官殺害事件」を取材していたフリーライター・織居和彦とコンタクトをとる。しかし事務所で何者かに襲われた織居は、瀕死の状態で圭に鍵を託して息を引きとる。圭は織居殺害の容疑で指名手配されるが、斎やシモン、そして要人の無実を信じているという警視庁捜査一課長・古仙淳の手引きにより検問を突破。託された鍵でUSBメモリを手に入れる。USBに入っていたのは「指定暴力団石神組(いわかみぐみ[5])」という画像ファイルや、「ヤマダタロウ」名義の織居への入金記録などだった。
一方、同じく20年前の事件を追っていた登と果林は、当時、警察内部の不祥事を隠すために捜査が打ち切られたことや、その捜査本部の管理官を務めていたのが現在の警視総監である吉倉清司だったこと、覚せい剤の出所が石神組であったことや、警察内部に内通者がいたことなどを突き止めていた。独自で動くことに限界を感じた圭は、警察内で唯一信用できる果林にUSBのデータを託すが、果林は何者かに拉致され、データを渡さなければ命はないと何者から脅しを受ける。圭たち3人は果林を助けるため倉庫の屋上へ向かうが、そこには味方だったはずの古仙を含む警察が待ち伏せていた。身柄を拘束された圭は「火事場のバカ推理」で、自分達の行動が筒抜けだった状況から古仙が真犯人であると推理する。推理を聞いた登は自身のクビをかけて古仙の身体検査を行い、USBメモリを発見。証拠をつきつけられた古仙は高笑いしながら20年前の自白を始める。そして古仙はゲームのように、圭に自分を殺させようと挑発したり、圭が果林の死体の第一発見者となるようトラップを仕掛けたりしていたが、圭が果林を無事に救出したため膝から崩れ落ちる。
古仙逮捕により要人の無実が証明され、圭は死体を見ることがなくなっていた。そこで果林とあらためて今後の話をしようと歩き出した途端、目の前に人が転落し、またしても圭が第一発見者となってしまったところで物語は終了する。
同名漫画を実写ドラマ化したコメディーミステリー作品[6]。毎回死体の第一発見者となる主人公が、仲間2人の助けを借りて推理をする1話完結形式である[7]。主題歌のKis-My-Ft2「赤い果実」は本作のために書き下ろされている[8]。
物語のメインとなるモデル仲間の3人組は玉森裕太、小山慶一郎、古川雄輝が務めた。主人公・圭を演じる玉森は、いつも死体の第一発見者になってしまう役の特性から、「毎回同じようなことが起きるからこそ、演技やリアクションを変えていこう」と考え[9]、特に表情について監督と話し合うことで役作りに臨んだ[10]。推理マニアの斎を演じる小山は、玉森の事務所の先輩であり、連続ドラマ出演は約5年ぶり[9]。小山自身は久しぶりにドラマで演技をするため難しさを感じていたが[9]、監督から「素に近い感じ」を求められることで役柄を上手く解釈できるようになった[10]。コミカルに女性をナンパするシモン役は、演じる古川にとって初めての挑戦となった。古川はこれまでクールな役柄を演じることが多かったが、本作では茶色の眉と長髪のカツラ、アイラインなどで外見を変え、社交的でかわいらしい役柄を演じている[11]。
主人公たちはモデルを生業としているため衣装は多様であり、圭はシンプル、御曹司の斎は「育ちの良さそうな服装」、シモンは「パリの美大生のような雰囲気」のファッションが特徴である[12]。また第4話の劇中劇では1970年代に日本で流行したパンタロンやロンドンブーツ、またシャーロック・ホームズ風の探偵衣装を着用している[13]。一方で男性陣が上半身裸になって筋肉を披露するなど、深夜番組ならではの"サービスカット"も随所に現れている[14]。
本作はセットにも強いこだわりをもっている。舞台となるモデル事務所「ウェーブ」について監督である塚本連平は最低限の指示をするのみだったが、美術スタッフによって「ミッドセンチュリーっぽいアメリカンな感じ」を意識して作られた[15]。これは滝藤賢一演じる事務所社長の衣装から着想を得ており、レトロな家具やレンガの壁が特徴となっている[15]。他にもパーティー会場やロッジなど数々のセットが制作されており、特に第4話の舞台となる劇場は、監督である小松隆志の意向によって原作に忠実な平面図を書いたうえで、実在する劇場の中にセットが建てられた[15]。
本作ではSNSの利用が活発であり、出演者のオフショット掲載や、オンエア中のリアルタイムツイートなどが行われた[16]。
またドラマの放送に先駆けて、2013年に玉森が同じく「金曜ナイトドラマ」枠で主演を務めたテレビドラマ『信長のシェフ』が関東地区で再放送された[17]。同ドラマで玉森演じるケンを支えた夏役の志田未来は、本作の第2話に女優・乙原ゆり役でゲスト出演。劇中には2人の戦国時代以来"450年ぶりの再会"を示唆するセリフが存在する[18]ほか、第3話の主人公が包丁を持つシーンで『信長のシェフ』のテーマ曲が流れるなどの小ネタが登場した[19]。
さらに本作の主要登場人物である登一学を演じる豊原功補は、第5話にてトレンチコートを着用。同じく「金曜ナイトドラマ」枠の『時効警察』十文字疾風役を思い起こさせるこの演出は、同ドラマで監督を務めていた塚本連平により撮影された[20]。また第2話に出演した中山優馬は『ぴんとこな』以来に玉森と共演[21]、第4話に出演した矢作穂香は『イタズラなKiss〜Love in TOKYO』以来に古川雄輝と、雑誌『non-no』専属モデル以来に新木優子と共演するなど話題を集めた[22]。
ザテレビジョンの試写室では第1話のレビューで、メインを張る圭役の玉森、斎役の小山、シモン役の古川は「絶妙に役割分担された3人」であり、他のキャストもバランスがよく「いろいろな層のファンが楽しめる作品」であると評された[23]。同じくザテレビジョンでは、一見するとモデルたちを中心とした"女子受け"作品だが、その実「金曜ナイトドラマ」枠らしい、ミステリーと小ネタが利いた作品であるとした[24]。一方THE PAGEで志和浩司は、謎解き自体は分かりやすく「本格ミステリーというよりはイケメン3人を楽しむドラマ」と評したうえで、玉森の芝居は「魅力的」であるとした[25]。
主要キャスト4人の座談会や制作発表記者会見、メイキングなど計113分を越える特典映像も収録されたDVDとBlu-rayが2018年6月6日に発売され[88]、6月18日付オリコン週間DVDおよびBDランキングのドラマジャンルで共に初登場1位でランクインした[89]。
以下の出典は小学館コミック(小学館)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。
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