軟口蓋鼻音(なんこうがいびおん)とは子音の類型の一つ。後舌と軟口蓋で閉鎖を作り、口蓋帆を下げて呼気を鼻へも通すことによって生じる音。国際音声字母で[ŋ]と記述される。
特徴
言語例
この音は多くの言語に存在する。多くは他の鼻音の異音である。
- 日本語 - 健康 [keŋkoː]。日本語ではカ行・ガ行の前の撥音んに現れる。また、語中のガ行/g/にいわゆる鼻濁音として現れるが、摩擦音[ɣ]に移行し、現在は消えつつある。
- 英語 - king [kɪŋ], Shanghai [ˈʃæŋˈhaɪ] ここでのgは発音されない。
- 口母音に後置し、外来語の鼻母音を転写するのにも使われる。
- フランス語 /ɛ̃/ → 英語 /æŋ/, 朝鮮語 앵 /ɛŋ/
音素として存在するのは以下の言語である。
- 語頭には決して現れないもの
- 語頭にも現れるもの
- 広東語 - 我(ngo5)/ŋɔː˩˧/「私」 ; 誤(ng6)[ŋ̍˨]「間違う」
- 上記の「誤」のようにそれだけで音節を成すことができる。同様の子音は鼻音のうち/m/と/ŋ/のみ。
- 台湾語
- 広東語のように音節主音になり、さらに他の頭子音とともに母音のない音節を形成することもできる。
- スワヒリ語 - ng'ombe [ŋombe] 「牛」
- タイ語 - งู [ŋuː ˧]「蛇」(字母名称)
- ベトナム語 - ng
- 子音
- 国際音声記号 - 子音