花巻空港(はなまきくうこう)は、岩手県花巻市にある地方管理空港である。いわて花巻空港の愛称がある[2]。面積は1,722,278 m2。
概要
花巻空港は花巻市中心部より約4 km(バスで約15分)の北上盆地内にあり、岩手県の中央からやや南西に位置する。周辺には東北新幹線 新花巻駅があり、県央部の一大交通拠点地域を形成している。岩手県で唯一の空港であり、岩手の空の玄関口を担っている。
滑走路は02/20方向に2,500 mである。平行誘導路の整備は2004年に県の財政難により休止されていたが、2009年度より事業再開となった。震災後の2011年6月に平泉の世界文化遺産登録が決定し、これに合わせて工事が進められ、同年7月28日から供用開始した。これに伴い、滑走路両端にあったターニングパッドは撤去されている。計器着陸に対応しており、計器着陸装置 (ILS) は滑走路20にカテゴリIが設置されている。
空港ターミナルビルは長らく滑走路西側にあったが、2009年に滑走路東側に新棟がオープンした。内部は国内線・国際線の設備がある。ボーディング・ブリッジは3基を備える。
空港ターミナルビル(新ターミナルビル)に隣接するエプロンには大型ジェット機用1バース、中型ジェット用1バース、小型ジェット用2バース、プロペラ機用1バースがあり、ほかに小型機用のスポットも有する。なお、岩手県防災航空隊、岩手県警察航空隊の基地、その他民間会社は旧ターミナル側一角のスポットをそのまま使っている。仙台空港から飛来する航空大学校の訓練機も同様に旧ターミナル側を使う。管制塔および気象台も旧ターミナル側敷地にある建物を利用している。航空管制は国土交通省東京航空局管轄で、航空管制運航情報官を配置するレディオ空港での運用となっている。ターミナル空域管制(白神進入管制区)が導入されている[4]。
統計
利用者数
元のウィキデータクエリを参照してください.
年間利用客数は2010年頃は減少傾向にあり、名古屋線が運休した2010年度は30万人を割ったものの、FDAの就航による名古屋線の運航再開や日本航空の増便、国際定期便の就航などで、2018年度は約48万人まで回復した[5]。
空港乗降客数推移(人)[6][7]
年度 |
国際線 |
国内線 |
合計
|
2004年度(平成16年度)
|
13,903 |
470,557 |
484,460
|
2005年度(平成17年度)
|
19,303 |
478,031 |
497,334
|
2006年度(平成18年度)
|
11,590 |
434,036 |
445,626
|
2007年度(平成19年度)
|
15,228 |
386,322 |
401,550
|
2008年度(平成20年度)
|
11,416 |
349,769 |
361,185
|
2009年度(平成21年度)
|
10,409 |
356,512 |
366,921
|
2010年度(平成22年度)
|
6,019 |
246,201 |
252,220
|
2011年度(平成23年度)
|
3,155 |
299,346 |
302,501
|
2012年度(平成24年度)
|
7,270 |
326,133 |
333,403
|
2013年度(平成25年度)
|
10,459 |
371,822 |
382,281
|
2014年度(平成26年度)
|
14,423 |
382,543 |
396,966
|
2015年度(平成27年度)
|
6,064 |
393,362 |
399,426
|
2016年度(平成28年度)
|
5,498 |
417,552 |
423,050
|
2017年度(平成29年度)
|
19,953 |
427,107 |
447,060
|
2018年度(平成30年度)
|
33,204 |
455,012 |
488,216
|
2019年度(令和元年度)
|
43,412 |
447,768 |
491,180
|
2020年度(令和2年度)
|
0 |
143,212 |
143,212
|
2021年度(令和3年度)
|
0 |
208,783 |
208,783
|
2022年度(令和4年度)
|
0 |
385,774 |
385,774
|
歴史
施設
ターミナルビル
空港ターミナルビルは地上3階建てである。自治体および運航会社などが出資した「岩手県空港ターミナルビル」が運営している。
旧ターミナルビルが狭隘となり、混雑時や国際線のチャーター便の対応が難しくなったことから、滑走路東側に大型旅客機の乗り入れにも対応した新しいターミナルビルの建設が計画された。しかし、岩手県の財政難や利用者の減少のため、当初は2007年だった新ターミナルビル完成は2年延期された上、建物や敷地の規模も縮小されたのち、2009年4月9日に供用を開始した[8]。なお、ターミナルビルは国道4号に面していた旧ターミナルのように幹線道路と直結していない立地であったため、幹線道路とのアクセスを担う県道も同時に整備されている。
- 1階
- 航空会社カウンター(JAL・FDA)
- 到着ロビー(国内線・国際線)
- hana AIRPORT SHOP&CAFE(売店・喫茶コーナー)[2]
- レンタカー窓口
- 花巻警察署花巻空港空港警備派出所
- 2階
- 出発ロビー
- 松任谷由実直筆の「緑の町に舞い降りて」歌詞レリーフを設置している[19]。
- 搭乗待合室(国内線・国際線)
- 免税店・入国審査場・出国審査場
- いわて花巻大食堂(レストラン)[30]
- 宮澤商店コーヒーショップ(保安検査場内)
- 売店(宮澤商店・赤沼商店)
- 応接室「銀河ルーム」(VIP待合室)、会議室
- 岩手県空港ターミナルビル事務所、岩手県花巻空港事務所分室
- 3階
-
ターミナルビル(滑走路側)
-
出発ロビー
-
レストラン安比高原(2023年4月30日閉店
[31])
-
売店
-
エプロン
旧ターミナルビル
旧ターミナルビル時代は、長年ボーディングブリッジが1つしか設置されていなかったが、中型機就航に対応するため南側にボーディングブリッジを備えた中型機専用スポットを増設した。このスポットは小型機にも対応でき、同一時間帯の発着が発生した場合でもボーディングブリッジを使用することが可能になった。また、ビルの旅客玄関や車寄せ、駐車場などよりも低い位置にエプロンがある構造だったことから、1階に航空会社カウンター・搭乗待合室・バゲージクレーム・到着口・物販スペース・派出所といった空港の主要機能が集約され、建物内における旅客のフロア上下移動の必要性がほとんど無かった。2階にレストランやビル会社の事務所。3階(屋上)にはささやかながら航空機に関する資料展示スペースと、送迎デッキがあった。
現在は「花巻市交流会館」として再活用されており[32]、花巻市観光協会、花巻市観光課、花巻市国際交流室の事務所、遊覧飛行搭乗者待合室などがあるほか、かつての搭乗待合室やバゲージクレームは観光情報コーナーや一般貸出可能な交流スペース、研修室などに改装されている。
なお、旧ターミナルビルが開館する以前に使用していた空港開港当初の建物が管制塔北側にあり、東邦航空や北日本航空の事務所として活用している。管制室の名残りが屋根上に残っている。
-
到着ロビー入口と管制塔(奥)
-
-
ターミナルを利用した現在の建物(花巻市交流会館)
就航路線
国内線
2024年4月1日現在。
各航空会社の詳細
2024年現在、国内線は全ての路線でJALグループによる運航またはJALとのコードシェアとなっており、全日本空輸(ANA)及びANAグループによる運航便はコードシェアも含めて一つも無い。
かつての国内線定期便路線
国際線
2024年4月1日現在。
各航空会社の詳細
2024年現在、国際線は2路線が存在し、このうち運航されているのは1路線である。
交通
当空港とのアクセスを担う県道が整備され、釜石自動車道 花巻空港インターチェンジに直結しているほか、途中で国道4号 花巻東バイパスとも接続している。なお、岩手県の公式サイトでは、アクセスルートとして「国道4号花巻東バイパス・花巻空港インター入口立体交差点経由の南回り」と案内されている。
路線バス
※岩手県交通運行路線は交通系ICカードも利用可。詳細はリンクを参照。
- 岩手県交通
- 花巻空港線 盛岡駅発着便
- 石鳥谷線(花北1~3) 宮野目バス停
- 北上駅前と石鳥谷間を国道4号を経由して結ぶ路線バス[石鳥谷線]の「宮野目」バス停より旅客ターミナルまで約2 km。空港西側にあり地下道を抜け東側に回る。北上駅前・花巻駅前・(宮野目)・二枚橋(空港駅から最短)・石鳥谷駅前などに停車し、毎時1本程度運行。現在、空港線バス以外の公共交通機関では最も空港に近い。
- 東北新幹線 新花巻駅行のバスは設定されていない(似内・新花巻両駅への公共交通機関はタクシーのみ)。
- 東日本交通
- 岩手県北自動車
- 安比高原発着便(安比エアポートライナー) ※冬季シーズン中の運行。
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 東北本線 花巻空港駅 : 空港ターミナルビルから約3.8 kmの距離に位置している(当空港と盛岡を結ぶ高速バスが当駅前を経由)。
- 釜石線 似内駅 : 空港ターミナルビルから約2.5 kmの距離に位置している(当空港への公共交通機関はタクシーのみ)。
- 盛岡発着の釜石線直通快速「はまゆり」は花巻空港駅には昼間の東北本線運転区間内各駅停車の1往復のみ停車し、似内駅に快速は停車しない。
備考
- 岩手県防災航空隊、岩手県警察航空隊の基地、民間ヘリコプター会社の事務所も構えられている。そのため岩手宮城内陸地震の際には、防災ヘリ等が集中し、一時、燃料タンクの備蓄が激減し問題となった。
- 花巻空港は特に冬になると西から吹く横風が強くなり、着陸が難しくなる空港である。前述した日本エアシステム451便着陸失敗事故など、過去にはウインドシアに起因する事故も起きている。
- マスコットキャラクター「はなっぴー」は、新ターミナル併用開始に合わせて誕生した当空港のイメージキャラクターで、デザインと名前は一般公募によって選ばれた。ピンク色の航空機型の帽子をかぶった白い雲の体に赤い花を持った愛らしいデザインが特徴。名前は「はな」と「ハッピー」を組み合わせた造語となっている。
- 手荷物受取所では、旅客の荷物と一緒に盛岡市の名物「盛岡冷麺」をPRする巨大模型がベルトコンベアを流れてくる。
脚注
注釈
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
花巻空港に関連するカテゴリがあります。
空港情報 (ICAO:RJSI · IATA:HNA) |
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気象情報 | |
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その他 | |
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拠点空港 |
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地方管理空港 |
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共用空港 | |
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その他の空港 | |
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公共用ヘリポート | |
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非公共用飛行場 | |
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農道離着陸場 (農道空港) | |
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場外離着陸場など | |
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▲印は供用廃止となった空港・ヘリポート。+印は定期便が就航していない空港等(無期限運休中・供用休止中を含む)。 C印は関税法上の税関空港、I印は入管法上の出入国港、Q印は検疫法上の検疫飛行場。 |