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この項目では、企業について説明しています。この企業が運営する鉄道路線については「秩父鉄道秩父本線」をご覧ください。 |
秩父鉄道株式会社(ちちぶてつどう、英: Chichibu Railway Co., Ltd.)は、埼玉県の北部から秩父地方に鉄道路線(秩父本線など)を有する鉄道事業を中核に、観光・バス事業、不動産業を行う日本の会社である[4]。本社は埼玉県熊谷市に所在する[2]。
概要
埼玉県の北部を東西に横断して秩父地方と結ぶ秩父本線と、貨物線である三ヶ尻線の2路線を保有・運営している[5][2]。長瀞渓谷や宝登山を中心とする長瀞の観光開発を行ってきた会社でもあり、直営の「長瀞ラインくだり」は大正時代からの歴史を有する[6]。
太平洋セメントが筆頭株主であり、同社の前身である秩父セメント時代から行っている武甲山から産出される石灰石を運ぶ貨物輸送が盛んである(「諸井恒平」を参照)。
過去には、乗合バス・貸切バス事業、索道事業(三峰ロープウェイ)も行っていた。バス部門は秩父鉄道観光バスに分社している。三峰ロープウェイは廃止されたが、子会社の宝登興業では現在も索道事業(宝登山ロープウェイ)を行っている。
外食事業も営んでおり、埼玉県長瀞町で飲食店「有隣倶楽部[7]」「ガーデンハウス有隣[8]」「豚みそ丼専門店 有隣[9]」を運営している。
東証スタンダード市場(旧JASDAQ市場)に株式上場している[10]。JASDAQの前身にあたる店頭登録制度が開始された1963年に株式登録が行われ、2022年4月4日の東証再編までは鉄道事業者では唯一のJASDAQ上場企業(証券コード : 9012)であった。
会社の略称として「秩父」[注 1][注 2]「秩鉄」「ちちてつ」[注 3]「CTK」[注 4](C.T.K.[注 5])が用いられることがある。しかし、駅での案内表示では「秩父線」や「秩父鉄道」が使われており、略称はあまり使われていない。また、「秩父電鉄」という愛称を使用していたため、現在も「秩父電鉄」と呼ばれることがある。
社紋は「上」の文字6つを円形に並べたものであり、「上武」を意味するとされる。上武鉄道として設立された時に作られたもので、秩父鉄道に改称した後も引き続き使われていた[11]。
歴史
鉄道事業
鉄道2路線を有し、旅客・貨物輸送を行っている。現在の秩父本線終点・三峰口駅から秩父市大滝地区(旧大滝村)へ路線を延長する計画であったが中止となっている。三峰口駅の引き上げ線はその名残であり、かつては鉱山のホッパーまでつながっていた。また、大滝村方面にケーブルカーを建設する計画もあったという。
ICカード乗車券については2022年3月12日にPASMOを導入し、PASMOのほかSuicaなどの全国相互利用交通系ICカードも利用できる[18][19]。
営業中の路線
廃止路線・区間
- 秩父本線:宝登山駅(現・長瀞駅) - 荒川駅(旧・秩父駅) … 1915年12月29日廃止、国神駅 - 荒川駅間に付け替え。
- 秩父本線:国神駅(現・上長瀞駅) - 荒川駅(旧・秩父駅) … 1926年6月18日廃止。
- 武甲線:影森駅 - 武甲駅 1.4km … 1984年2月1日廃止[20]。
- 三ヶ尻線:三ヶ尻駅 - 熊谷貨物ターミナル駅(貨物線) 3.7km … 2020年12月31日廃止[17]。
未成路線
以下の路線の免許を得ていたが失効している[21]。白川村・大滝村とも現在は秩父市。
- 普通鉄道 白川村三峰口 - 大滝村 2.4km 1927年12月5日取得[22]、1936年2月19日失効[23](秩父本線の延長)
- 鋼索鉄道(ケーブルカー) 秩父郡大滝村地内 1.8km 1927年12月5日取得[22]、1930年12月26日失効[24]
運賃
車両
地方私鉄にも斬新な高性能車が多数登場した1960年代までは、自社オリジナルの車両も製造していたが、近年は他社からの譲渡車両のみとなっている。譲渡元は複数の鉄道会社に及び、さながら保存鉄道的な色あいを帯びている。
塗装
電車は1960年代は茶色に白帯、1970年代は茶色のツートンカラーで、1980年代に入ると黄色を基調に窓下に茶(急行用車は紺)のラインを配したオリジナルデザインをタクシー・バス車両など、グループ全般にわたり導入したが、1990年代に入ると電車は白地に青を基調とした塗装が主流となっている。ただし、2007年の鉄道博物館開館記念イベントから2009年の設立110周年にかけ、1000系のうち5編成を国鉄101系を模したカラーリング(オレンジバーミリオン [1011F(2010年廃車)・1003F(2011年より)]、スカイブルー [1001F]、カナリアイエロー [1012F]、ウグイス関西線バージョン [1009F])に、2編成を旧塗装(茶色ツートン[1002F]、黄色に茶帯[1007F])にそれぞれ変更している。2020年現在、5000系は都営地下鉄時代から引き続く青色のライン、6000系は白地に青色のライン(6003Fはリバイバル塗装として茶色)、7000系および7500系・7800系は緑色と黄色のグラデーションを基調としており、7500系の一部編成は全面ラッピングが施され運用されている。
電気機関車は標準色として青を基調に正面と車体裾に白帯を配する。この塗装はデキ107・108が松尾鉱業鉄道から持ち込んだもので、それ以前は茶色に車体裾に白帯を配するものであった。また、各種イベント等を通じて様々な塗色変更が施されており、2020年現在は標準色以外に、黒色に警戒色(デキ201)、青単色(デキ302)、黄単色(デキ502)、桃色に正面・裾白帯(デキ504)、緑に裾白帯(デキ505)、赤単色(デキ506)と、バリエーションに富んだ構成となっている。
現有車両
- 電車 - 他鉄道事業者から譲渡された車両を使用している。
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5000系
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6000系
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7000系
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7500系
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7800系
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12系
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C58形363号機
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デキ100形
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デキ200形
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デキ300形
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デキ500形
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スム4000形
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トキ500形
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ヲキ100形
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ヲキフ100形
過去の車両
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100形
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300系
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500系
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800系
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1000系
-
2000系
-
3000系
なお、かつて「パレオエクスプレス」で使用されていた旧形客車は秩父鉄道がJR東日本から借り入れたものであり、秩父鉄道所有の車両ではない。
車両数の変遷
年度 \ 形式名 |
100形 |
300系 |
500系 |
800系 |
1000系 |
2000系 |
3000系 |
5000系 |
6000系 |
7000系 |
7500系 |
7800系 |
12系客車 |
計 (冷房車) |
ヲキ・ヲキフ 100形
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1982年(昭和57年) -1985年(昭和60年) |
20 |
6 |
18 |
20 |
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64 |
180
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1986年(昭和61年) |
20 |
6 |
18 |
20 |
6 |
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70 |
180
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1987年(昭和62年) |
10 |
6 |
18 |
20 |
21 |
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75 |
180
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1988年(昭和63年) |
6 |
6 |
18 |
20 |
21 |
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71 |
162
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1989年(平成元年) |
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6 |
18 |
16 |
24 |
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64 |
162
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1990年(平成2年) |
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6 |
18 |
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36 |
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60 |
162
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1991年(平成3年) |
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6 |
18 |
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36 |
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60 |
162
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1992年(平成4年) |
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6 |
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36 |
16 |
3 |
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61(3) |
162
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1993年(平成5年) |
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6 |
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36 |
16 |
9 |
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67(9) |
162
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1994年(平成6年) |
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6 |
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36 |
16 |
9 |
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67(9) |
162
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1995年(平成7年) |
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6 |
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36 |
16 |
9 |
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67(13) |
162
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1996年(平成8年) |
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6 |
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36 |
16 |
9 |
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67(19) |
162
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1997年(平成9年) |
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36 |
16 |
9 |
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61(27) |
162
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1998年(平成10年) |
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36 |
16 |
9 |
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61(31) |
162
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1999年(平成11年) |
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36 |
16 |
9 |
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61(33) |
162
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2000年(平成12年) -2005年(平成17年) |
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36 |
|
9 |
12 |
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4 |
61(49) |
138
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2006年(平成18年) |
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36 |
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6 |
12 |
3 |
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4 |
61(49) |
138
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2007年(平成19年) |
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36 |
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12 |
9 |
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4 |
61(49) |
138
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2008年(平成20年) |
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36 |
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12 |
9 |
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4 |
61(49) |
138
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2009年(平成21年) |
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30 |
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12 |
9 |
6 |
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4 |
61(51) |
138
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2010年(平成22年) |
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27 |
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12 |
9 |
6 |
3 |
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4 |
61(52) |
128
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2011年(平成23年) |
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21 |
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12 |
9 |
6 |
9 |
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4 |
61(54) |
128
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2013年(平成25年) |
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9 |
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9 |
9 |
6 |
21 |
2 |
4 |
60(57) |
128
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- 1982・83年は1月1日時点、1984年以降は4月1日時点。
- 『私鉄車両編成表』各年版(ジェー・アール・アール)
保存車両
以下の車両が保存されている。
他にも貨車が多数売却されており、その数は把握できない。各形式の項目も参照。
ロケ撮影など
鉄道線は、映画、テレビドラマ、CM撮影などで使用されることが多い。広瀬川原車両基地構内や熊谷駅構内、三峰口駅のプラットホームなどがロケーション撮影に使用されている。
索道事業(廃止)
- 三峰ロープウェイ : 三峰山頂駅 - 大輪駅 1898m(2006年5月19日休止、2007年12月1日廃止)
関連会社
過去の関連会社
- 秩鉄タクシー - 2020年3月31日を以て解散[25](清算結了は同年6月29日)。タクシー事業者。熊谷地区の秩鉄ハイヤーが秩父地区の(旧)秩鉄タクシーを吸収合併し、商号変更。
- 秩父地区は撤退済み(詳細不明)
- 熊谷地区は2018年9月末で熊谷構内タクシーに事業移管して廃業[26]。
- 秩父観光興業 - 2023年10月1日付で秩父鉄道観光バスに合併され解散[27]。
脚注
注釈
- ^ ヲキ・ヲキフ100形貨車では、社紋の下に「秩父」と書かれている。
- ^ 秩父鉄道が発行している沿線情報誌『秩父鉄道ニュース』は、以前は『秩父沿線ニュース』という名前であった。現在もパンフレット等で「秩父沿線」という表現が使われている。
- ^ 例として、公式通販サイト名が「ちちてつe-shop」である。
- ^ 「Chichibu Tetsudo Kabushikigaisha」の略。急行用の6000系電車には、乗務員室近くの車両側面に「CTK」と描かれている。
- ^ 100形電車には車両側面に「C.T.K.」と書かれており、保存車両を三峰口駅の鉄道車両公園で見ることができたが現在は解体撤去されている。
出典
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
秩父鉄道に関連するカテゴリがあります。
外部リンク