福岡 伸一(ふくおか しんいち、1959年9月29日 - )は、日本の生物学者。青山学院大学教授。ロックフェラー大学客員教授。専攻は分子生物学。農学博士(京都大学、1987年)。日本の東京都出身。
略歴
2021年4月から2022年3月まで朝日新聞朝刊教育面で連載小説「福岡伸一の新・ドリトル先生物語 ドリトル先生ガラパゴスを救う」を担当[2]。
活動
主張・科学的主流論批判・批判
プリオンについて
コッホの三原則を満たしていないなどの理由から、現在の世の中では主流となっているBSEのプリオン原因説に懐疑論を投げかけている。著書『プリオン説はほんとうか?』ではBSEのウイルス原因説を提示した。
ノーベル賞を受賞したプルシナーによる「狂牛病対策など公衆衛生にも、重大な影響を持ち、科学的真実として受け入れられている」プリオン説を否定し、2005年に米国産牛肉の輸入再開を批判している[5]。
進化論について
チャールズ・ダーウィンの進化論に対して、完全ではないという考えを持っている。『文學界』2008年8月号で、川上未映子との対談において、進化を説明するための一つの説としてジャン=バティスト・ラマルクの用不用説を持ち出している。
「動的平衡」頻用への批判
幹細胞生物学者の八代嘉美は、福岡が盛んに定義や根拠が不明瞭な「動的平衡」という聞こえのいいワンフレーズによって、様々な現象を捉えようとすることを科学者として批判している[6]。
受賞歴
著書
単著
- 『もう牛を食べても安心か』文春新書 2004
- 『プリオン説はほんとうか? タンパク質病原体説をめぐるミステリー』講談社・ブルーバックス 2005
- 『ロハスの思考』木楽舎・ソトコト新書 2006
- 『生物と無生物のあいだ』講談社現代新書 2007
- 『生命と食』岩波ブックレット 2008
- 『できそこないの男たち』光文社新書 2008
- 『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』木楽舎 2009、小学館新書 2017
- 『世界は分けてもわからない』講談社現代新書 2009
- 『ルリボシカミキリの青』文藝春秋 2010、のち文庫(副題「福岡ハカセができるまで」)
- 『フェルメール 光の王国』木楽舎 2011
- 『動的平衡 2 生命は自由になれるのか』木楽舎 2011.12、小学館新書 2018
- 『福岡ハカセの本棚』メディアファクトリー新書 2012.12
- 『遺伝子はダメなあなたを愛してる』朝日新聞出版 2012 のち文庫
- 『せいめいのはなし』新潮社、2012 のち文庫
- 『生命と記憶のパラドクス 福岡ハカセ、66の小さな発見』文藝春秋 2012.9 のち文庫
- 『やわらかな生命』文藝春秋 2013、のち文庫(副題「福岡ハカセの芸術と科学をつなぐ旅」)
- 『生命の逆襲』朝日新聞出版 2013.4
- 『動的平衡ダイアローグ 世界観のパラダイムシフト』木楽舎 2014.2
- 『芸術と科学のあいだ』木楽舎 2015.11
- 『変わらないために変わり続ける マンハッタンで見つけた科学と芸術』文藝春秋 2015.4、のち文庫
- 『生命科学の静かなる革命』集英社インターナショナル新書 2017.1
- 『動的平衡 3 チャンスは準備された心にのみ降り立つ』木楽舎 2017.12、小学館新書 2023
- 『ナチュラリスト 生命を愛でる人』新潮社 2018.11、新潮文庫 2022
- 『ツチハンミョウのギャンブル』文藝春秋 2018.6、文春文庫 2021
- 『わたしのすきなもの』婦人之友社 2019.2
- 『フェルメール 隠された次元』翼の王国books・木楽舎 2019.2
- 『最後の講義 完全版 どうして生命にそんなに価値があるのか』主婦の友社 2020.3
- 『迷走生活の方法』文藝春秋 2021.3
- 『生命海流』朝日出版社 2021.6
- 『ゆく川の流れは、動的平衡』朝日新聞出版 2022.3
- 『新ドリトル先生物語 ドリトル先生ガラパゴスを救う』朝日新聞出版 2022.7
共著
翻訳
- A.キンブレル『ヒューマンボディショップ 臓器売買と生命操作の裏側』化学同人 1995.7
- H.コリンズ,T.ピンチ『七つの科学事件ファイル 科学論争の顛末』化学同人 1997.2
- キャリー・マリス『マリス博士の奇想天外な人生』早川書房、2000 のちハヤカワ文庫
- リチャード・ドーキンス『虹の解体 いかにして科学は驚異への扉を開いたか』早川書房 2001
- Trudy McKee,James R.McKee『マッキー生化学 分子から解き明かす生命』市川厚監修 監訳 化学同人 2003.10
- スティーヴ・ジョーンズ『Yの真実 危うい男たちの進化論』岸本紀子共訳 化学同人 2004.8
- ワンガリ・マータイ『モッタイナイで地球は緑になる』木楽舎 2005.6
- テオドル・ベスター『築地』和波雅子共訳 木楽舎 2007.1
- ライアル・ワトソン『エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか』高橋紀子共訳 木楽舎 2009.6
- ライアル・ワトソン『思考する豚』木楽舎 2009.11
- A.キンブレル『すばらしい人間部品産業』講談社 2011.4
- ジェイソン・チン『ガラパゴス』講談社 2013.6
- ヒュー・ロフティング『ドリトル先生航海記』新潮社 2014、新潮文庫 2019.7
- アンドリュー・キンブレル『生命に部分はない』講談社現代新書 2017.6
- エマ・ドッズ ぶん, マーク・アスピナール え『アニマルズ 生きもののおどろき120』ポプラ社 2018.3
- サビーナ・ラデヴァ 作・絵『ダーウィンの「種の起源」 はじめての進化論』岩波書店 2019.4
出演
テレビ
ラジオ
CM
脚注
注釈
- ^ 2009年の第2回新書大賞では『できそこないの男たち』で第2位、2010年の第3回新書大賞では『世界は分けてもわからない』で第8位。
出典
参考文献
- 朝日新聞2010年4月3日付b1面「フロントランナー 美を愛でる遺伝子ハンター」
- 朝日新聞2021年3月13日付「ドリトル先生の新物語 生物学者・福岡伸一さんが連載で」
外部リンク