彼は全ての生物は一種あるいはほんの数種の祖先的な生物から分岐して誕生したのだと述べたが、実際にはタイトルに反して、どのように個々の種が誕生するか(種分化)はほとんど説明しなかった。生物の地理的分布や性淘汰についてもわずかに言及している。当時は DNA や遺伝の仕組みについては知られていなかったので、変異や遺伝の仕組みについてはうまく説明できなかった。また進化を進歩とは違うものだと認識し、特定の方向性がない偶然の変異による機械論的なものだとした。ダーウィンは進化の概念を多くの観察例や実験による傍証などの実証的成果によって、進化論を仮説の段階から理論にまで高めたのである。
本書の完全な題名は『自然選択という手段、または生存闘争の中で好ましいとされる種が保存される事による種の起原について』[6]"On the Origin of Species by Means of Natural Selection, or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life"(右上図)である。なおここで races とは種族の意味である。
チャールズ・ダーウィン『種の起原』堀伸夫・堀大才 訳、槙書店、1988年6月。ISBN4-8375-0575-9。 - 原タイトル:The origin of species by means of natural selection or the preservation of favoured races in the struggle for life. 6th ed.
チャールズ・ダーウイン『種の起原の基礎』阿部文夫 訳、大日本文明協会事務所〈大日本文明協会刊行書 第3期〉、1915年5月10日。NDLJP:949520。 - 原題:The foundations of the origin of species: two essays written by 1842 and 1844.