東区(ひがしく)は、福岡市を構成する7区の行政区の一つである。
市内都心部に対してベッドタウンとしての色合いが濃く、福岡市の行政区の中で最も人口が多い。アイランドシティや香椎操車場跡地再開発などのプロジェクトも多く、変化が著しい。
2021年現在、政令指定都市の行政区の中では横浜市港北区に次いで全国でも2番目に人口が多い区であった[1]。ただし浜松市中央区が発足したため2024年現在では全国で3番目となった。なお当区の人口は同じ福岡県の久留米市よりも多く、福島県最大の人口を有する郡山市や群馬県の県庁所在地である前橋市なども上回る。
地理
区域は地図上における方角としては福岡市の北東部および北部といえる場所だが、福岡市民は一般的に福岡市の「東側」と見なしている。博多湾沿いを区域とし、北東端部の和白地区から海の中道と呼ばれる砂州が西へ約9kmにわたって伸びている。その先には陸繋島の志賀島がある。そのため区域はちょうど博多湾を三方から囲むような形になっている。
区の南側で博多区および志免町・粕屋町に、東側で久山町に、北側で新宮町に接する。区の南部を多々良川と宇美川が流れる。区の東側、新宮町・久山町との境界部には200〜300m級の山がある。
主な地域
- 箱崎(はこざき): 区の南側、博多区寄りにある地域。もと糟屋郡箱崎町。古い町並みが残っており、筑前国一の宮で旧官幣大社の筥崎宮(はこざきぐう)がある。東区役所が立地している。かつては九州大学箱崎キャンパスが存在した。西側の海は埋め立てられて箱崎埠頭という埋立地になった。
- 香椎(かしい): 区の中央部にある地域。もと糟屋郡香椎町。区役所からは遠く離れているが、JR香椎駅や西鉄香椎駅を中心にした商業地が発達しており、東区の人の流れの中心である。また多数の高校が立地する文教地区でもあり、九州産業大学が立地している。西側にあった香椎潟は埋め立てられて香椎浜という埋立地となっており、そこには大型団地と商業施設、港湾施設等が建設された。さらに人工島、アイランドシティが埋め立てられている。仲哀天皇と伝説の神功皇后を祭神とした官幣大社・香椎宮(かしいぐう)がある。漫画「クッキングパパ」の舞台であり、漫画中では「花椎」と記されている。
- 千早(ちはや): 箱崎と香椎の中間よりやや香椎寄りの地域。もと糟屋郡多々良町の一部。旧JR千早操車場跡地の再開発でJR・西鉄千早駅を中心に高層マンションや商業施設が急ピッチで建設中である。この地域は香椎新都心と呼ばれることもある。
- 和白(わじろ): 区の北端にある地域。もと糟屋郡和白町。和白駅を中心に発達している。海寄りには和白干潟がある。
- 西戸崎(さいとざき): 海の中道の西端部にある地域。もと糟屋郡志賀町の一部。香椎線の終点である西戸崎駅と、博多港(ベイサイドプレイス)・志賀島への市営渡船乗り場がある。戦前は石炭の積出港および輸入原油の到着港として栄えた。
- 志賀島(しかのしま): 砂州により本土と陸続きになった陸繋島。もと糟屋郡志賀町の一部。島内にある志賀海神社は綿津見三神を祀る全国の綿津見神社の総本宮であり、「君が代」の神楽が奉納される神社である。また江戸時代には金印(漢委奴国王印)が出土した。
- 福岡アイランドシティ: 香椎浜と海の中道の間に建設された人工島。東側が「まちづくりエリア」(香椎照葉)、西側が「みなとづくりエリア」(みなと香椎)となっている。
歴史
古くは「古事記」や「日本書紀」などに区内各地の逸話・伝承が登場し、また「万葉集」にも度々詠み込まれている。鎌倉時代末期には豊後の大友氏の一族が立花山城を築き、この地に影響力を持ち始めた。南北朝時代の1336年(建武3年)には九州へ落ち延びた足利尊氏らと菊池氏の間で多々良浜の戦いが行われた。安土桃山時代の1587年(天正14年)に小早川隆景が区内の名島城を本拠としたが、関ヶ原の戦い後に小早川秀秋が備前岡山へ加増移封され黒田長政が福岡へ入封した際に、立花山城並びに名島城は廃城となり石垣や櫓などは福岡城に流用された。
区域はもと筑紫郡堅粕町の一部(筑紫郡豊平村大字金平を編入したもの)・同千代町の一部(大字馬出)・糟屋郡箱崎町・香椎町・多々良町・和白町・志賀町にあたる。これらが福岡市に編入されたのち、1972年4月1日、福岡市が政令指定都市となると同時に発足し、現在に至る。
かつては、1929年(昭和4年)から運用開始された名島飛行場と1936年(昭和11年)から運用開始された雁ノ巣飛行場(福岡第一飛行場)の2つの飛行場があった。このうち名島飛行場は水上機専用であり、1931年(昭和6年)にはリンドバーグがロッキード・シリウス(英語版)「チンミサトーク(英語版)」号にて立ち寄っている。なお、チンミサトーク号のレプリカが東平尾公園博多の森球技場(レベルファイブスタジアム)に展示されている。
人口の変遷
- 1975年 180,109
- 1980年 197,197
- 1985年 218,961
- 1990年 247,356
- 1995年 261,541
- 2000年 269,307
- 2005年 274,481
- 2010年 292,199
- 2015年 306,015
- 2020年 322,503
- 2023年 329,203
姉妹都市・提携都市
国内
- 友好都市
- 1989年より旧穂高町が福岡市東区との交流を開始[2]。現在の福岡市東部にあたる阿曇郷をルーツとする古代「安曇族」を縁とする[2]。
地域
教育
大学・短期大学
- 国立
- 九州大学箱崎地区・病院地区(馬出()地区) ※箱崎地区は2018年秋に一部を残し伊都キャンパスへ移転
- 公立
- 私立
高等学校
- 県立
- 私立
中学校
- 市立
- 私立
小学校
- 市立
特別支援学校
主な病院
警察
消防
- 福岡市東消防署
- 西戸崎出張所
- 和白出張所
- 香椎出張所
- 多々良出張所
- 箱崎出張所
- 水上出張所
郵便局
集配局: 3局
無集配局: 26局
- 上和白郵便局
- 福岡奈多郵便局
- 福岡美和台郵便局
- 福岡工業大学前郵便局
- 福岡高美台郵便局
- 西戸崎郵便局
- 志賀島郵便局
- 福岡箱崎ふ頭郵便局
- 箱崎郵便局
- 箱崎松原郵便局
- 福岡筥松郵便局
- 博多馬出郵便局
- 福岡原田郵便局
- 福岡唐原郵便局
- 福岡香住ヶ丘郵便局
- 香椎オークタウン郵便局
- 福岡香椎台郵便局
- 福岡青葉郵便局
- 福岡八田郵便局
- 福岡流通センター内郵便局
- 福岡松崎郵便局
- 福岡舞松原郵便局
- 福岡城浜郵便局
- 福岡名島郵便局
- 香椎御幸郵便局
- 福岡千早郵便局
簡易局: 1局
出張所: 11箇所
文化施設
東区に本社を置く主要企業
交通
鉄道
※鉄道の駅の数は福岡市内では24駅と1番多い。
バス
航路
道路
高速道路・有料道路
一般国道
県道
観光・レジャー
商業
市場
商店街
主な商業施設
史跡
-
筥崎宮
-
香椎宮
-
志賀海神社
-
名島城址
-
不老水
-
名島の檣石(帆柱石)
遊園地・公園
その他
祭事・催事
出身有名人
脚注
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
東区に関連するカテゴリがあります。
外部リンク