イタリアで行われた2004年欧州議会選挙 のポスター。政党名簿を掲示している。
政党名簿比例代表 制度(せいとうめいぼひれいだいひょうせいど)は、複数勝者選挙 (例えば議会 の選挙)で使われる選挙方法 の一種で、比例代表 (英: proportional representation (PR)) を強調したものである。これらは混合型である小選挙区比例代表連用制 の一部としても用いられる。
概説
これらの制度では、政党は選ばれる候補者の名簿を作成し、議席は党の得た票数に比例して各党に配分される。イスラエル などでは、有権者は政党に直接投票する。そしてトルコ やフィンランド などでは、有権者は候補者に投票し、その票が党に貯まる。
政党名簿制には2つの主要かつ重要なバリエーション があり、ふつう、拘束名簿 と非拘束名簿 選挙として定義される。すなわち、その政党名簿の候補者が選ばれる順番が、党内であらかじめ決定されるか(拘束名簿式 )、有権者が自由に決定するかである(非拘束名簿式 )。
政党名簿比例代表制の議席配分には多くの変化形がある(詳細は政党名簿式比例代表制の各党議席数の決定方法 参照)。最も一般的なものは、以下の3つである。
名簿比例代表はまた、様々なハイブリッド (例えば小選挙区比例代表並立制 など)に組み込まれる。
非修正サン=ラグ方式と最大剰余ヘア方式が、最も比例的であり、以下、最大剰余ドループ、修正サン=ラグ、ドント、最大剰余インペリアル と続く。配分式が重要であるのと同時に、区域の規模(比例区の議席数)と立候補政党数が同じくらい重要である。区域の規模が大きいほど、また、立候補政党数が少ないほど、選挙制度が比例してくる。
性質
名簿式比例代表制の原理は、配分される議席に対して、獲得した票の比率をできるだけ近く保つことによって、名簿が獲得した議席数に比例して議席を配分することである。これは比較的少ない得票の政党が選出されることを可能にする。
比例代表名簿式の重要な結果は、1人の人気のある候補者が、個人票が少なくあまり知られていない多くの党の同僚を"引き寄せる"ということである。また、その党の同僚が、支持が少ないために阻止条項に打ち勝つことができなかった場合、当選した候補者は落選した候補者の代表も務める。例えば、候補者Bが、犬税 を廃止すると公約したが当選できなかったとする。そのとき、Bによって得られた票が党の同僚Aを助けたとする。そして、もともとはBの公約であったが、Aは犬税の廃止を提案する。
阻止条項
名簿式比例代表制を採用する多くの国では阻止条項 (threshold or barrage ) が設けられ、阻止条項がなければ議席を獲得できる得票数を得たとしても、その「閾」を通過することができない比例名簿には議席が配分されない。阻止条項を設けている国の例を挙げると、ブラジル(1ヘア基数)、スペイン(3%)、イタリア(4%)、ドイツ(5%)、ロシア(7%)などがある。
これらの方式は隠れた阻止条項をもたらすことがある。ここでは日本の例を挙げる。日本の国政選挙では、公式の阻止条項はないが、効力のある阻止条項によって一議席がもたらされている。日本の比例区は異なる人数の代表区に分かれているので、'隠れ阻止条項'があり、それぞれの区によって選出される比例代表の人数が異なる。もっとも大きな区は参議院 全国ブロックの48名で、隠れ阻止条項はおよそ2%である。一方最も小さな区は衆議院 四国ブロックの6名で、隠れ阻止条項はおよそ14%である。規模の小さい比例区では大政党が有利である。
いくつかの制度では阻止条項を突破するために、複数の政党が1つの'カルテル 'に名簿を統一させることを許可している。と同時に、カルテルのための別の阻止条項を設けているところもある。小政党は選挙阻止条項を確実に突破するために、しばしば選挙前に政党連合 を組む。
比例名簿方式を使用している国の一覧
このリストは、小選挙区比例代表併用制 、小選挙区比例代表並立制 を採用している国を含まない。
関連項目
外部リンク