上海中心 (上海タワー、上海中心大厦 、上海中心大厦 、拼音 : Shànghǎi Zhōngxīn Dàshà 、英語 : Shanghai Tower )は中華人民共和国 上海市 浦東新区 に位置する超高層建築物 である[ 7] 。2008年 11月29日 に着工し[ 1] 、2016年 3月12日 に完工した[ 8] 。
高さは632mで、中国で最も高い超高層ビルであり[ 3] [ 9] [ 10] 、世界でもブルジュ・ハリファ (828m) 、ムルデカ118 (678.9m)に次ぐ高さの超高層ビルである(塔 も含む建造物全体では、2m高い東京スカイツリー に次ぐ4番目の高さ)。
建設地
上海中心は、浦東新区 の陸家嘴金融貿易区の、東泰路・銀城中路・花園石橋路・陸家嘴環路に囲まれた街区(Z3-2地区、以前は陸家嘴ゴルフ練習場のあった場所)に建設された超高層ビルであり、陸家嘴金融貿易区にある3棟の超高層ビルの一つ。他は1998年 に完成したジンマオタワー と、2008年 に完成した上海環球金融中心 である。ジンマオタワーは上海中心の北隣、上海環球金融中心は上海中心の東隣にある[ 11] 。
デザイン
設計競技
設計に当たり、発注主の陸家嘴集団は建築設計競技 (コンペ)を行った。一次コンペではアメリカのスキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル (SOM) やコーン・ペダーセン・フォックス (KPF)、中国の上海現代建築設計集団など名だたる設計事務所が参加した[ 11] 。2008年 初頭の三次コンペにはアメリカのゲンスラー 社による「龍型」のビル案と、イギリスのノーマン・フォスター 率いるフォスター・アンド・パートナーズ の「尖頂型」のビル案が残ったが、2008年6月にゲンスラー社の案が勝利した[ 10] [ 12] 。
デザインの特徴
南側から建設予定地を見下ろす(2009年6月)。右後方は金茂大廈
ゲンスラー社の案はガラス・カーテンウォールで外側を覆われたビルが螺旋状にねじれながら高くなってゆくという案である。構造は、9つの円柱状の建物が垂直に積み重なった状態であり、さらにこれらを二重のガラスのファサード が覆っている[ 1] 。内側のガラス・カーテンウォールが建物を囲み、外側のガラス・カーテンウォールが螺旋状に上昇するように全体を覆っている。内側と外側のガラス・カーテンウォールの間には、地表から上層階まで異なる高さに9つのアトリウム (吹き抜けの空間)があり、上海市民に開放される[ 1] [ 9] 。またタワーの下部には商業施設やイベントスペースなどが設けられる。最上部には展望台があり、世界で最も高い外気に露出した展望台となる。ゲンスラーのデザイン監督であるマーシャル・ストラバラ (Marshall Strabala) は、建築ウェブサイトの E-Architect.co.uk の取材に対して、上海中心のデザインは「中国のダイナミックな未来」を表現していると述べた[ 13] 。
上海中心のデザインは、エネルギー効率の向上や持続可能性についても考慮されている。ガラスのファサードは、ビルにかかる風圧を24%削減するように設計されており、これによってビルを支えるのに必要な資材をも減らすことができる。螺旋状にねじれたガラス壁は雨水を集められるようになっており、ビルの空調や暖房に利用される。ビルが必要とする電力の一部は風力発電でもまかなわれる。E-Architect.co.uk の取材に対して Marshall Strabala は、上海中心は高さ300メートル超の超高層ビルでは初めて二層の外壁を備えたビルになること、この特徴が魔法瓶のようにビル内部の熱や涼しさを外へ逃がさないようにできることを説明している[ 13] 。上海中心の建築主は、このビルが持続可能な建築物・緑の建築 として、中国緑の建築協議会 (China Green Building Committee) やアメリカ緑の建築協議会 (U.S. Green Building Council, USGBC) からの認定を得ることを期待している[ 1] 。
建設状況
2008年の間、上海中心の建設予定地では建築の準備が進められた[ 14] [ 15] 。2008年11月29日には起工式が行われた[ 7] 。ビルの環境影響評価 も完了している[ 6] 。ビルの建築に当たっても、環境への負荷を軽減しエネルギーを削減する工法が取られた[ 9] 。
年表
フロア構成
階
上海中心
127F
機械室
125F - 126F
上海慧眼(重さ1000tのショックアブソーバー )
121F - 124F
機械室
120F
レストラン
118F - 119F
展望台
116F - 117F
機械室
111F - 115F
高級オフィスフロア
110F
VIPビジネスセンター
105F-109F
Jホテル プレシデンタルスイート、スーパーデラックスルーム
104F
レストラン、スパイシーハウス、VIPルーム
103F
テーマレストラン、高級ブティックワインセラー、宴会場
102F
カフェテリア
101F
Jホテル スカイロビー/ラウンジ、スカイバー
99F-100F
機械室
86F-98F
Jホテル スタンダードルーム、デラックスルーム
85F
スパ、フィットネスセンター
84F
プール、スカイラウンジ、バー、スカイガーデン
82F-83F
機械室
70F-81F
オフィスフロア
68F-69F
スカイロビー
66F-67F
機械室
54F-65F
オフィスフロア
52F-53F
スカイロビー
50F-51F
機械室
39F-49F
オフィスフロア
37F-38F
スカイロビー
35F-36F
機械室
24F-34F
オフィスフロア
22F-23F
スカイロビー
20F-21F
機械室
8F-19F
オフィスフロア
6F-7F
機械室
5F
会議室
3F - 4F
ショップ、レストラン
2F
上海中心大宴会場、高級オフィスロビー、ショップ、レストラン
1F
オフィスロビー、ホテルロビー、ショップ、レストラン
B1F
展望台入口、ショップ、レストラン
B2F
地下鉄駅入口、ショップ、レストラン
B3F-B5F
駐車場、搬入口、機械室
展望台
展望台は2017年4月28日にグランドオープンした。
展望台 の入場口は地下1階に設けられているが、入場後は一度エスカレーター で地下2階に降りる。エスカレーターを降りる灰色の壁には「上海之巓旅程開始」(訳:上海の頂上への旅が始まります)との文字が白く光っている。
展望台直通のエレベーター は3基稼働している。2016年7月には三菱電機 が開発した分速1,230m(秒速20.5m/時速73.8km)で運転できるエレベーターの運転が開始し、地下2階から119階まで53秒で到達可能となった[ 3] 。2016年に世界最速のエレベーターとしてギネス 認定され、2019年にCTF金融センター のエレベーターが世界最速とギネス認定されるまで世界最速であった[ 17] 。
3基中2基は定格速度分速1,080m(秒速18m/s)で運転し、地下2階から118階まで約55秒で走行。下降時は分速600m(秒速10m/s、東京スカイツリー ・サンシャイン60 と同じ速度)で運転する。
ギャラリー
脚注
外部リンク
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上海中心 に関連するカテゴリがあります。