ケヴィン・デ・ブライネ (Kevin De Bruyne ; オランダ語発音: [də ˈbrœynə] , 1991年 6月28日 - )は、ベルギー ・ヘント 出身のサッカー選手 。プレミアリーグ ・マンチェスター・シティFC 所属。ベルギー代表 。ポジションはミッドフィールダー (CM )[ 2] [ 3] 。
クラブ経歴
KRCヘンク
ベルギー のヘント 生まれ。2003年 からKAAヘント のユースチームからキャリアをスタートさせ、2005年からKRCヘンク に移籍した。2008年にトップチームに昇格し、2009年5月9日、シャルルロワSC 戦でデビューを果たした。2010年2月7日、スタンダール・リエージュ 戦でプロ初ゴールを記録した。
チェルシー
2012年1月、母親の生まれ故郷であるイングランド のウェスト・ロンドン の強豪、チェルシーFC に670万ポンドで移籍。契約は5年半だが、最初の半年は引き続きレンタルという形で元のチームKRCヘンク に所属することとなった。
ブレーメン
2012年8月、ヴェルダー・ブレーメン にレンタル移籍[ 4] 。9月15日、ハノーファー96 戦で移籍後初ゴールを記録すると、9月23日、VfBシュトゥットガルト 戦でも得点を記録。最終的にリーグ戦10得点9アシストを記録した。この活躍からドイツのボルシア・ドルトムント やバイエル・レバークーゼン への移籍が噂される中、2013年7月1日、チェルシーに復帰することが決まった。しかし、ジョゼ・モウリーニョ 監督に嫌われ、レギュラーに定着できずに控え状態が続き、3試合しか出場できなかった[ 5] 。
ヴォルフスブルク
モウリーニョ直々に中盤で6番手だということを言い渡されたことが決定打となり[ 6] 、出場機会を求めて2014年1月にVfLヴォルフスブルク に移籍した[ 7] 。背番号は14番。2014-15シーズンは、ブンデスリーガ全34試合に出場すると10得点20アシストを記録し、ヴォルフスブルクを2位に押し上げ、ドイツ年間最優秀選手 も受賞した。
マンチェスターシティ
2015年8月30日、イングランド のマンチェスター・シティFC に移籍した。移籍金はクラブの歴代最高額となる5500万ポンド[ 8] [ 9] [ 10] 。背番号は17番。加入後、すぐにスタメンに定着すると9月19日のウェストハム・ユナイテッドFC 戦でシティ加入後初ゴールを挙げた。シーズン途中にケガで2ヶ月離脱するも、リーグ戦25試合に出場し7ゴール9アシストを記録した。CLやカップ戦を合わせると41試合に出場し16ゴール14アシストを記録。
2016-17シーズンは、マヌエル・ペレグリーニ に代わりジョゼップ・グアルディオラ が監督に就任。すぐに信頼を掴み取り、稀代の名将に「彼の存在をありがたく思う。特別な選手だ」と言わしめた。9月10日のマンチェスターダービーでは1ゴール1アシストの活躍で勝利に貢献した[ 11] 。CL第4節ではホームにFCバルセロナ を迎えると、1-1で迎えたFKの場面でマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン 相手に縦回転のボールを蹴りこみ、ゴールを奪った[ 12] 。またアシスト数はリーグトップだった[ 13] 。
2018年1月22日、マンチェスター・シティと新たな5年契約の締結が発表された[ 14] 。2023年までの契約となった。2017-18シーズンは37試合の出場で2年連続でリーグトップとなる16アシストを記録し、新設されたプレミアリーグ・プレーメイカー・アワード(アシスト王)を受賞した[ 13] 。シティの優勝に大きく貢献し、PFA年間ベストイレブン にも選ばれた[ 15] 。
2018-19シーズンは怪我によりプレミアリーグで僅か19試合の出場に終わるも、2019年FAカップ決勝ワトフォード 戦ではゴールを決め更に2アシストの活躍で優勝に貢献した[ 16] [ 17] 。
2019-20シーズンは第3節ボーンマス 戦で、プレミアリーグでの通算50アシストに到達し、それまでメスト・エジル が記録していた140試合を大幅に更新し、リーグ史上最速の123試合目の出場で50アシスト達成の記録を樹立した[ 18] 。2020年1月21日、第24節シェフィールド・ユナイテッド 戦でシーズン15アシストを達成し、これにより通算3回目となるプレミアリーグでのシーズン15アシストを記録、これも史上初の記録となった[ 19] 。最終的にシーズン20アシストまで量産し、プレミアリーグ1シーズンでの最多アシスト記録を持つティエリ・アンリ の記録に並び、自身2度目のプレミアリーグ・プレーメイカー・アワード(アシスト王)を受賞。得点数も自己キャリア最多の13得点に到達した[ 20] 。
シーズン通しての活躍によりマンチェスター・シティFC の選手としては史上初のPFA年間最優秀選手賞 を受賞した[ 21] 。
2020-21シーズンは怪我離脱によりプレミアリーグ 25試合の出場に留まるもティエリ・アンリ 、クリスティアーノ・ロナウド に次ぐ史上3人目の2年連続でのPFA年間最優秀選手賞 を受賞した[ 22] 。
UEFAチャンピオンズリーグ ではチーム史上初の決勝へ進出しチェルシー 戦に出場するも接触プレーにより鼻骨及び眼窩底骨を骨折、後半14分に負傷交代を余儀なくされ、チームも0-1と敗退した[ 23] 。
2021-22シーズン、リーグ第33節のウルバーハンプトン戦では4ゴールを挙げた[ 24] 。
2022-23シーズン、リーグ第30節のサウサンプトン戦においてのアーリング・ハーランド へのアシストでプレミアリーグ通算100アシストを記録した[ 25] 。
2023-24シーズン開幕戦のバーンリー 戦にて先発出場したもののハムストリングを痛め、負傷交代を余儀なくされた。5ヶ月間のリハビリを経て、2024年1月7日FAカップ 3回戦のハダースフィールド 戦にて途中出場して公式戦復帰。この試合で1アシストを決めた。その後リーグ第21節のニューカッスル 戦にも途中出場してプレミア復帰を果たし、そして1ゴール1アシストを記録。逆転勝利に貢献した。
代表経歴
U-18、U-19、U-21の各年代のベルギー代表に選出され、2010年8月11日、親善試合のフィンランド代表 戦でベルギー代表 としてのデビューを果たした。また、2012年10月12日のW杯予選 ・セルビア 戦で代表初得点を挙げている。
2014 FIFAワールドカップ では、グループリーグ第1戦のアルジェリア 戦、第2戦のロシア戦 に出場し、第3戦の韓国 戦は欠場している(第2戦終了時にベルギーのグループリーグ1位通過が決まったため)。なお、アルジェリア戦ではマルアン・フェライニ の同点弾をアシストして[ 26] マン・オブ・ザ・マッチに選ばれている。決勝トーナメント 1回戦のアメリカ 戦では延長前半3分に先制点を挙げ、更にロメル・ルカク の決勝点をアシストした[ 26] 。準々決勝のアルゼンチン にもフル出場したものの、この試合ベルギーは1-0で敗れ大会を去っている。UEFA EURO 2016では5試合に出場し、3アシストを決め[ 26] 、準々決勝まで勝ち上がった。
2018 FIFAワールドカップ では、日本戦で後半49分の決勝点の起点になり、決勝トーナメント準々決勝のブラジル 戦で前半31分に決勝点となる2点目を挙げ[ 26] 、チームの勝利に貢献、3位決定戦のイングランド 戦ではエデン・アザール のゴールをアシスト[ 26] 、チームの3位入賞に貢献した。
2021年、ユーロ2020、グループリーグ第2戦のデンマーク戦では途中出場すると、トラガン・アザールの同点ゴールをアシスト、更に決勝ゴールを挙げて勝利、決勝トーナメント進出に貢献した[ 27] 。
2022 FIFAワールドカップ では、グループリーグ3試合すべてにフル出場したものの0ゴール0アシストに終わり、チームもグループリーグ敗退となった。
評価
ジョゼップ・グアルディオラ は「ケビン(デ・ブライネ)は私が今まで見てきた中で最高の選手のうちの一人だね。特に、ゲームメイクの点に関してね。彼はトップクオリティーの選手だし、とても落ち着いている。私は彼と共に仕事することができて嬉しいし、誇りに思っている」と語り、デ・ブライネを、リオネル・メッシ を含む自身が思う最高の選手のうちの一人だと称賛した[ 28] 。
また、クラブ公式の「シティTV」で放送されるドキュメンタリー番組「Made in Belgium 」で、「彼はマスタークラスの選手だ。私の人生でもベストの1人だ。現時点では彼が最高。今、ミッドフィールドのポジションでは彼が世界最高だよ」というコメントを残した[ 29] 。
英BBCの老舗番組『マッチ・オブ・ザ・デイ』でアラン・シアラー が「デ・ブライネと同じチームでプレーして、ああいうパスを受けてみたかった」と語り、ギャリー・リネカー がそれに頷き、往年の名ストライカーたちが彼の話で盛り上がっていた[ 30] 。
ティム・シャーウッド は「デ・ブルイネはトップ中のトップだ。彼は世界のどこでもプレーできるし、現時点でマンチェスター・シティにおける最も価値のある選手だ。彼はどこにでも現れて、チームにとって大事な仕事をする。彼がフィットした状態を維持できれば、誰も止められない。信じられない選手だよ。」と語った[ 31] 。
英紙「デイリー・メール 」でハリー・レドナップ はバルセロナ のオランダ代表 MFフレンキー・デ・ヨング と並んで現在の地球上で最も優れたMFだと称賛し、特にデ・ブライネは、より優れたゴールスコアラーとし「彼はプレミアリーグのベストで、究極のMFとして見るべきだ」と賛辞を贈った[ 32] 。
元イングランド代表FW クリス・サットン は、英『Daily Mail 』に寄稿したコラム内で「ケビン・デ・ブライネはプレミア の歴史の中で最高のパサーなんじゃないか? この試合でリヴァプール を子ども扱いしているのを見て、そう考えずにはいられなかったよ。彼はポール・スコールズ のようなパスレンジを備えていて、デイビッド・ベッカム のようなクロスに関する知識も持っている、さらにはデニス・ベルカンプ ばりの落ち着きもあるんだ。ペップ がどのポジションに据えようと、彼はその位置で最高になるのさ。今回のようなパフォーマンスを披露すれば、我々は彼をプレミア で最高の選手と称賛しなければいけないね」と絶賛した[ 33] 。
マンチェスター・シティ のOBであるケビン・ホーロック (英語版 ) は「彼は世界最高のMFだ。彼には全てがある。知性、バランス、左足、右足、どこで彼を止める? 彼は最高だ。あらゆるチームに入れるし、チームを進化させられる。インクレディブルだ。科学者が実験室で完璧なMFを作るなら、彼らはデ・ブライネを生み出すだろう」と絶賛した[ 34] 。
元 フランス代表 のティエリ・アンリ は 『CBSスポーツ 』のインタビューで、 ベルギー代表 のアシスタントコーチとしてともに働いたことのある司令塔について、「今でも、彼はチームで最も重要な選手だと思っている」と語り「私は多くの選手に出会い、多くの選手とプレーし、多くの選手を見て、偉大な選手たちとプレーしてきた。その中でケビンの頭脳は、私がこれまで見た中で最高のものだと思う。時々何を考えているかわからないし、彼を見ていると、まるで私たちと一緒にいないかのようなところがある。でも、彼は私が今まで見てきた中で最も賢い選手だと思うよ。彼の考え方は、他の追随を許さないね」と絶賛。また6年間アシスタントコーチとして関わったことで「彼をより一層好きになった。別の惑星にいるようなものだ」とコメントした。[ 35] 。
2022年のバロンドール にて3位にランクイン。
人物・エピソード
4歳の頃サッカーを始める。すぐに地元メディアからは神童として注目され、ベルギー中の全てのユースクラブがデ・ブライネのことを欲しがっていた[ 36] 。
性格には、頑固な側面もあり、少年サッカー時代、怒りの余りサッカーゴールのポストにしがみついて一向に離れなかったことがある。3人がかりで引き離そうとしても、引き剥がすことができなかった。しかしながら、基本的には寡黙で、落ち着いていて、大人しい選手であり、チームが行なった唾液調査の結果、緊張の度合いが低すぎて、関係者が心配になったほど[ 37] 。
15歳の頃、大人しすぎる性格だという事で里親から拒絶された経験を持つ。本人はこの経験を「飛躍のきっかけだった」と後に語っている[ 38] 。
2014年10月に出版した自伝『Keep It Simple』の中で、自身の元交際相手が同じベルギー代表のティボ・クルトゥワ と浮気していたと暴露し、クルトゥワを批判した。これについて元交際相手は、「先にデ・ブライネが私の親友と浮気をした。しかしこの話をしたら訴えると彼の両親から圧力をかけられていたのでずっと言えなかった」「ティボーは、私がケヴィンと付き合っている間に受けたことがないような扱いをしてくれたわ。私は彼に何だって話せたし、おいしいご飯まで作ってくれたの。ケヴィンならあり得ないわね。『ケヴィンが浮気をしてよくて、どうして私がダメなの?』って思ったわ」と反論した[ 39] 。
個人成績
2022/5/23現在
クラブ
シーズン
リーグ
リーグ戦
カップ戦
リーグ杯
国際大会
その他
合計
出場
得点
出場
得点
出場
得点
出場
得点
出場
得点
出場
得点
ヘンク
2008–09
ジュピラー
2
0
0
0
-
-
0
0
2
0
2009–10
35
3
2
0
-
2
0
1
0
40
3
2010–11
32
5
0
0
-
3
1
0
0
35
6
2011–12
28
8
1
0
-
6
0
1
0
36
8
通算
97
16
3
0
-
11
1
2
0
113
17
ブレーメン
2012–13
ブンデスリーガ
33
10
1
0
-
-
0
0
34
10
通算
33
10
1
0
-
-
0
0
34
10
チェルシー
2013–14
プレミアリーグ
3
0
0
0
3
0
3
0
0
0
9
0
通算
3
0
0
0
3
0
3
0
0
0
9
0
ヴォルフスブルク
2013–14
ブンデスリーガ
16
3
2
0
-
-
0
0
18
3
2014–15
34
10
6
1
-
11
5
0
0
51
16
2015–16
2
0
1
1
-
-
1
0
4
1
通算
52
13
9
2
-
11
5
1
0
73
20
マンチェスター・シティ
2015–16
プレミアリーグ
25
7
1
1
5
5
10
3
0
0
41
16
2016–17
36
6
5
0
1
0
7
1
0
0
49
7
2017–18
37
8
3
1
4
2
8
1
0
0
52
12
2018–19
19
2
4
2
5
2
4
0
0
0
32
6
2019–20
35
13
2
1
3
0
7
2
1
0
48
16
2020-21
25
6
3
1
4
0
8
3
0
0
40
10
2021-22
30
15
3
1
2
1
10
2
0
0
45
19
2022-23
32
7
2
0
4
1
10
2
1
0
49
10
通算
239
64
23
7
28
11
64
14
2
0
356
96
総通算
434
103
36
9
31
11
89
20
5
0
585
143
代表歴
出場大会
試合数
国際Aマッチ 99試合 26得点(2010年-)[ 40]
ベルギー代表 国際Aマッチ
年 出場 得点
2010
1
0
2011
1
0
2012
6
1
2013
11
3
2014
11
4
2015
8
4
2016
12
1
2017
8
0
2018
10
2
2019
6
4
2020
4
1
2021
10
3
2022
9
2
2023
2
1
2024
通算
99
26
得点
※他に2012年11月14日のルクセンブルク戦で1ゴール決めているが、この試合はルールで認められている以上の選手交代が行われたため、FIFA非公認記録となっている。
タイトル
クラブ
KRCヘンク
VfLヴォルフスブルク
マンチェスター・シティFC
プレミアリーグ :5回 (2017-18, 2018-19, 2020-21, 2021-22,2022-23)
FAカップ :2回 (2018-19, 2022-23)
EFLカップ :5回 (2015-16, 2017-18, 2018-19 , 2019-20, 2020-21)
コミュニティ・シールド :2回 (2018, 2019)
UEFAチャンピオンズリーグ :1回 (2022-23)
UEFAスーパーカップ :1回(2023)
個人
ドイツ年間最優秀選手 :1回 (2015)
PFA年間ベストイレブン :5回 (2017-18,2019-20,2020-21,2021-22,2022-23)
プレミアリーグ・プレイメイカー・アワード(アシスト王):4回(2016-17,2017-18,2019-20,2022-23)
UEFAチーム・オブ・ザ・イヤー :2回(2017,2019)
FIFAワールドカップ ドリームチーム:2018 [ 41]
マンチェスター・シティ年間最優秀選手賞:3回(2017-18,2019-20,2021-22)
プレミアリーグ年間最優秀選手賞 :2回(2019-20,2021-22)
PFA年間最優秀選手賞 :2回(2019-20,2020-21)
UEFAクラブ・フットボール・アワード 最優秀MF賞:2019-20
FIFA FIFPro男子ワールドイレブン:2回(2020,2021)
IFFHS World's Best Playmaker :2回(2020,2021)
脚注
外部リンク
タイトル・受賞歴 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代