カテーテルの歴史は古く、柔軟性のないものまで入れれば約2000年前の古代ローマの遺跡から青銅製の管が発見されている(泌尿器系の病気治療に使われたのではないかと考えられている)。現在主流の血管に入れるカテーテルは18世紀前半にイギリスのヘールズが馬の頸動脈にガチョウの気管を加工して作った管を入れて測定したのが最初で、19世紀中には馬の体温や血圧測定の実験が何度か行われた[1] 。その後、こうした馬の実験データをフランスのベルナールが1879年に行った実験を『手術による生理学(Leçons de Physiologie Opératoire)』という本にスケッチ付きで掲載し、これを読んで興味を抱いたドイツのヴェルナー・フォルスマンは腕の静脈を経由して心臓までカテーテルを入れられるのではないかと考えた。当時すでに実用化されていた尿道用カテーテルを自分の左腕に入れて心臓手前まで届いたと判断した所でレントゲン室に行ってこれを撮影し、心臓にまだ届いてないと気が付くと右心房内まで入れて再度撮影を行った(1929年)。