敗血症性ショック(はいけつしょうせいショック、英: Septic shock)とは、十分な点滴静脈注射にもかかわらず、血圧が低いままで血清乳酸値が2mmol/L (>18 mg/dL) 以上の重度の敗血症のことである[4][3]。初期症状には、体温が38 °C (100.4 °F)を超えるまたは36 °C (96.8 °F)を下まわる、頻脈、狭い脈圧、呼吸回数の増加などがあげられる[1][2]。さらに重度の症状には、昏迷やチアノーゼなどがあげられる[2]。合併症には、急性呼吸窮迫症候群や多臓器不全などがあげられる[2]。
最も一般的な感染症の種類は細菌性であり、グラム陰性細菌感染症が症例の62%に存在し、グラム陽性細菌感染症が症例の47%に存在する[2]。5%未満の症例にはウイルスまたは寄生虫が関与している。最も一般的な感染個所は、肺(42%)、血液(21%)、尿(10%)であるが症例の3分の1は感染個所が不明である[2]。敗血症の危険因子には、糖尿病、悪性腫瘍、肝臓または腎臓の問題、副腎皮質ホルモンの使用、火傷、免疫機能の低下、超高齢または幼齢などがあげられる。敗血症性ショックは、血液分布異常性ショックの一種である[5]。
治療には、抗生物質、感染組織の除去、点滴静脈輸液、ノルエピネフリンのような血管作動薬(英語版)などを用いた早期目標指向型治療(英語版)がおこなわれる[2]。この他の対策には、機械換気や副腎皮質ホルモンの使用などがあげられる。米国での重度の敗血症の罹患者数は年間約750,000人(10万人中300人)である[6][7]。死亡リスクは40%を超え、一命を取りとめても長期的な障害が残る人もいる[4]。
出典
- ^ a b c ATLS - Advanced Trauma Life Support - Student Course Manual (10 ed.). American College of Surgeons. (2018). pp. 51. ISBN 78-0-9968262
- ^ a b c d e f g h i Mahapatra, S; Heffner, AC (January 2020). Septic Shock. PMID 28613689.
- ^ a b “Sepsis Definitions and Diagnosis • LITFL • CCC Sepsis”. Life in the Fast Lane • LITFL • Medical Blog (3 November 2020). 18 January 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。5 January 2021閲覧。
- ^ a b c “The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3)”. JAMA 315 (8): 801–10. (February 2016). doi:10.1001/jama.2016.0287. PMC 4968574. PMID 26903338. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4968574/6
- ^ International Trauma Life Support for Emergency Care Providers (8 ed.). Pearson Education Limited. (2018). pp. 175. ISBN 978-1292-17084-8
- ^ Ronco, Claudio; Bellomo, Rinaldo; Kellum, John A. (2009) (英語). Critical Care Nephrology. Elsevier Health Sciences. p. 831. ISBN 978-1-4160-4252-5. オリジナルの2021-08-29時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210829053548/https://books.google.ca/books?id=XkKn96HThzEC&pg=PA831 2021年1月5日閲覧。
- ^ FCCM, Joseph E. Parrillo, MD; MS, R. Phillip Dellinger, MD (2013) (英語). Critical Care Medicine: Principles of Diagnosis and Management in the Adult. Elsevier Health Sciences. p. 339. ISBN 978-0-323-08929-6. オリジナルの2021-08-29時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210829053812/https://books.google.ca/books?id=NXuzAQAAQBAJ&pg=PA339 2021年1月5日閲覧。