オウケンブルースリ(欧字名:Oken Bruce Lee、2005年2月24日 - )は、日本の競走馬、種牡馬[1]。
主な勝ち鞍は、2008年の菊花賞(JpnI)、2009年の京都大賞典(GII)。
競走馬時代
デビューまで
母であるシルバージョイはシルヴァーデピュティを父として、1993年にカナダで生産され、アメリカにて29戦4勝の成績を残し繁殖牝馬となった[4]。1998年からは日本の北海道安平郡早来町(現:安平町)のノーザンファームに移動し[5]、2004年にジャングルポケットと交配、2005年2月24日、6番仔となる栗毛の牡馬(後のオウケンブルースリ)が誕生した[1]。
産まれた仔は、当歳のセレクトセールに上場[6]。福井明は、一口馬主時代に活躍した出資馬の母父にトニービンがいたこと[6]や、サンデーサイレンス死亡後の首位種牡馬は、トニービンの後継であるジャングルポケットだと目論んでいたこと[6]を理由にその仔に入札、税抜き3000万円で落札した[7]。福井にとって初めて競り落とした馬であり[8]、その仔には自身の冠名「オウケン(桜拳[9])」に、空手を始めたきっかけとなった香港の俳優ブルース・リーを由来とする「ブルースリー」を組み合わせ「オウケンブルースリー」と命名、それから9文字制限に対応するために末尾の長音符を取り除いた「オウケンブルースリ」という競走馬名を与えた[10][11]。また、福井と親交のあった栗東トレーニングセンターの音無秀孝厩舎の管理が決定した[6]。
オウケンブルースリの肉体、体力面においては充実していたが[6]、前脚の腱が発達しておらず、運動するたび、脚にむくみや熱が生じるなどしていた[6]。そのため、2歳時は入厩できず、3歳3月に栗東トレーニングセンターの音無厩舎に入厩した[12]。
競走馬時代
3歳(2008年)
2008年4月26日、福島競馬場の未勝利戦(芝2000メートル)に北村友一が騎乗してデビュー、中団から追い込んだが2着[6]。2戦目の5月17日、新潟競馬場の未勝利戦は、最終コーナーで膨れて周回してしまい5着[6]。3戦目の6月8日、中京競馬場の未勝利戦で後方に4馬身差をつけて初勝利を挙げた[6]。その後、6月の500万円以下、8月の1000万円以下と3連勝を果たした[13]。
続いて9月28日、菊花賞のトライアル競走である神戸新聞杯(JpnII)に出走。初のオープン競走、重賞であったが、東京優駿(日本ダービー)優勝から参戦したディープスカイに続く2番人気に支持された[6]。最終コーナーまで最後方で待機、直線では好位から進んだディープスカイが抜け出す中、その背後から迫り、残り200メートルで3馬身以上あったディープスカイとの差を、クビと半馬身まで縮めて3着[6][14]。上がりはメンバー中最速を記録、菊花賞への優先出走権を獲得した[6]。
10月26日の菊花賞(JpnI)では、春のクラシック二冠競走を勝利したキャプテントゥーレ、ディープスカイは回避するなど有力馬が不在の中、単勝オッズ3.7倍の1番人気に支持された[6]。スタートから中団につけ、2周目の第3コーナーで外から追い上げを開始[12]。先行勢の1頭として直線に進入し、残り300メートルで先頭となった。内から15番人気のフローテーションが追い上げてきたが、それに1馬身4分の1差をつけて入線。重賞初勝利、GI初勝利を挙げた[12]。デビューから184日目での菊花賞勝利は、2歳戦が整備された1946年以降の最短記録であった275日目(1990年のメジロマックイーン)を上回った[9][15]。騎乗した内田博幸は、クラシック初勝利[15]。福井は、馬主歴11年目でGI初出走、並びに重賞およびGI初勝利であった[8]。
それから、11月30日のジャパンカップ(GI)に出走し、5着[16]。続いて有馬記念を目指し、ファン投票では7万7千票を集めて6位となった[17]。しかし、疲れがあるために回避、放牧に出された[18]。
4-8歳(2009-13年)
古馬となった2009年は、3月22日の阪神大賞典(GII)で始動し、7着。それから天皇賞(春)を予定したが、腰や脚の不安から回避し、放牧に出された[19][20][21]。夏を越して秋は、10月11日の京都大賞典(GII)で7か月ぶりの復帰[22]。3番人気で出走し、後方待機から最終コーナーは大外を周回した[23]。直線では先行勢を差し切り、後方に4分の3馬身差をつけて先頭で入線[23]。1年ぶりの勝利となり、重賞2勝目となった[22]。
天皇賞(秋)(GI)では4着。ジャパンカップは、獲得賞金順位では除外対象であったが、レーティング上位となったために出走が実現した[24]。2番人気に支持されて発走、最後方待機から直線では大外を回って追い上げた[6]。1番人気ウオッカが残り200メートルで後方に3馬身差をつける独走状態だったが[25]、その外から末脚により差を縮め、ウオッカに並びかけたところで決勝戦を通過[6][26]。1着2着は写真判定となり、7分要してウオッカのハナ差、2センチ先着が認められ、2着となった[25]。ウオッカがレース後鼻出血を発症した一方[27]、オウケンブルースリは右前脚に無理をしたため[6]、脚に水がたまり、さらに腫れて休養[28][29]。5歳となった2010年の春夏は出走することができなかった[28]。
秋、10月10日の京都大賞典で復帰し、メイショウベルーガに半馬身差の2着。直後に右前脚の腫れが判明し、年内休養を宣言[30]。しかし症状が軽く回復したため、一転続戦することとなった[29][31]。天皇賞(秋)こそ回避したが[32]、続くジャパンカップ、有馬記念は出走し、それぞれ7着、11着に敗れた。
以降は、6歳の2011年から7歳の2012年までに12回出走。6歳アルゼンチン共和国杯(GII)、7歳京都大賞典では2着、6歳京都大賞典では3着となったものの、勝利には至らなかった。2012年12月の競走馬引退を発表[33]。8歳となった2013年1月19日、京都競馬場にて引退式を行い、1月20日付で競走馬登録を抹消した[34]。
競走成績
以下の内容は、netkeiba.com[35]およびJBISサーチ[36]の情報に基づく。
競走日
|
競馬場
|
競走名
|
格
|
距離(馬場)
|
頭
数
|
枠
番
|
馬
番
|
オッズ
(人気)
|
着順
|
タイム
(上がり3F)
|
着差
|
騎手
|
斤量
[kg]
|
1着馬(2着馬)
|
馬体重
[kg]
|
2008.
|
04.
|
26
|
福島
|
3歳未勝利
|
|
芝2000m(良)
|
12
|
1
|
1
|
007.90(4人)
|
02着
|
02:03.5 (34.2)
|
-0.0
|
0北村友一
|
55
|
ドリームエレメンツ
|
504
|
|
05.
|
17
|
新潟
|
3歳未勝利
|
|
芝2000m(良)
|
11
|
6
|
6
|
001.50(1人)
|
05着
|
02:02.8 (35.8)
|
-0.3
|
0北村友一
|
55
|
エイデンダンス
|
502
|
|
06.
|
08
|
中京
|
3歳未勝利
|
|
芝2000m(良)
|
18
|
3
|
5
|
003.20(1人)
|
01着
|
02:00.0 (35.6)
|
-0.7
|
0北村友一
|
55
|
(ロードフラッシュ)
|
488
|
|
06.
|
21
|
阪神
|
生田特別
|
500万下
|
芝2400m(稍)
|
10
|
1
|
1
|
002.00(1人)
|
01着
|
02:28.0 (34.4)
|
-0.0
|
0武豊
|
53
|
(コパノジングー)
|
480
|
|
08.
|
23
|
新潟
|
阿賀野川特別
|
1000万下
|
芝2200m(良)
|
12
|
7
|
10
|
003.50(1人)
|
01着
|
02:11.9 (34.1)
|
-0.4
|
0内田博幸
|
54
|
(デストラメンテ)
|
480
|
|
09.
|
28
|
阪神
|
神戸新聞杯
|
GII
|
芝2400m(良)
|
18
|
6
|
12
|
004.20(2人)
|
03着
|
02:25.4 (34.5)
|
-0.1
|
0内田博幸
|
56
|
ディープスカイ
|
486
|
|
10.
|
26
|
京都
|
菊花賞
|
GI
|
芝3000m(良)
|
18
|
7
|
14
|
003.70(1人)
|
01着
|
03:05.7 (34.8)
|
-0.2
|
0内田博幸
|
57
|
(フローテーション)
|
484
|
|
11.
|
30
|
東京
|
ジャパンC
|
GI
|
芝2400m(良)
|
17
|
1
|
1
|
007.30(4人)
|
05着
|
02:25.8 (34.2)
|
-0.3
|
0内田博幸
|
55
|
スクリーンヒーロー
|
482
|
2009.
|
03.
|
22
|
阪神
|
阪神大賞典
|
GII
|
芝3000m(重)
|
12
|
8
|
12
|
002.60(1人)
|
07着
|
03:14.4 (39.5)
|
-1.2
|
0内田博幸
|
58
|
アサクサキングス
|
484
|
|
10.
|
11
|
京都
|
京都大賞典
|
GII
|
芝2400m(良)
|
14
|
2
|
2
|
004.90(3人)
|
01着
|
02:24.3 (34.1)
|
-0.1
|
0内田博幸
|
59
|
(スマートギア)
|
490
|
|
11.
|
01
|
東京
|
天皇賞(秋)
|
GI
|
芝2000m(良)
|
18
|
7
|
15
|
008.00(3人)
|
04着
|
01:58.0 (33.6)
|
-0.8
|
0内田博幸
|
58
|
カンパニー
|
482
|
|
11.
|
29
|
東京
|
ジャパンC
|
GI
|
芝2400m(良)
|
18
|
5
|
10
|
004.70(2人)
|
02着
|
02.22.4 (34.1)
|
-0.0
|
0内田博幸
|
57
|
ウオッカ
|
482
|
2010.
|
10.
|
10
|
京都
|
京都大賞典
|
GII
|
芝2400m(良)
|
10
|
7
|
9
|
003.30(1人)
|
02着
|
02:25.1 (34.7)
|
-0.1
|
0内田博幸
|
58
|
メイショウベルーガ
|
504
|
|
11.
|
28
|
東京
|
ジャパンC
|
GI
|
芝2400m(良)
|
18
|
7
|
14
|
015.80(6人)
|
07着
|
02:25.4 (33.8)
|
-0.2
|
0C.ルメール
|
57
|
ローズキングダム
|
492
|
|
12.
|
26
|
中山
|
有馬記念
|
GI
|
芝2500m(良)
|
15
|
7
|
13
|
024.90(8人)
|
11着
|
02:33.7 (35.4)
|
-1.1
|
0横山典弘
|
57
|
ヴィクトワールピサ
|
492
|
2011.
|
02.
|
13
|
京都
|
京都記念
|
GII
|
芝2200m(良)
|
12
|
1
|
1
|
008.70(4人)
|
07着
|
02:15.1 (35.2)
|
-1.2
|
0内田博幸
|
58
|
トゥザグローリー
|
498
|
|
03.
|
20
|
阪神
|
阪神大賞典
|
GII
|
芝3000m(良)
|
13
|
7
|
12
|
004.90(2人)
|
08着
|
03:05.4 (35.5)
|
-1.0
|
0浜中俊
|
58
|
ナムラクレセント
|
488
|
|
05.
|
01
|
京都
|
天皇賞(春)
|
GI
|
芝3200m(稍)
|
18
|
8
|
16
|
077.2(12人)
|
10着
|
03:21.9 (35.8)
|
-1.3
|
0浜中俊
|
58
|
ヒルノダムール
|
486
|
|
10.
|
09
|
京都
|
京都大賞典
|
GII
|
芝2400m(良)
|
8
|
4
|
4
|
006.60(3人)
|
03着
|
02:24.3 (33.1)
|
-0.2
|
0浜中俊
|
58
|
ローズキングダム
|
488
|
|
11.
|
06
|
東京
|
アルゼンチン共和国杯
|
GII
|
芝2500m(良)
|
18
|
6
|
12
|
004.30(1人)
|
02着
|
02:31.7 (35.1)
|
-0.2
|
0田辺裕信
|
58.5
|
トレイルブレイザー
|
488
|
|
11.
|
27
|
東京
|
ジャパンC
|
GI
|
芝2400m(良)
|
16
|
2
|
4
|
046.0(12人)
|
10着
|
02:25.0 (33.8)
|
-0.8
|
0蛯名正義
|
57
|
ブエナビスタ
|
488
|
2012.
|
02.
|
18
|
東京
|
ダイヤモンドS
|
GIII
|
芝3400m(良)
|
16
|
1
|
2
|
006.20(3人)
|
14着
|
03:38.1 (35.3)
|
-1.3
|
0田辺裕信
|
58.5
|
ケイアイドウソジン
|
490
|
|
03.
|
18
|
阪神
|
阪神大賞典
|
GII
|
芝3000m(稍)
|
12
|
8
|
11
|
072.50(7人)
|
08着
|
03:14.4 (39.5)
|
-2.6
|
0安藤勝己
|
57
|
ギュスターヴクライ
|
484
|
|
10.
|
08
|
京都
|
京都大賞典
|
GII
|
芝2400m(良)
|
13
|
6
|
9
|
024.10(7人)
|
02着
|
02:23.4 (35.2)
|
-0.0
|
0浜中俊
|
57
|
メイショウカンパク
|
488
|
|
11.
|
04
|
東京
|
アルゼンチン共和国杯
|
GII
|
芝2500m(良)
|
15
|
5
|
8
|
007.30(4人)
|
07着
|
02:31.1 (34.9)
|
-1.2
|
0浜中俊
|
58
|
ルルーシュ
|
484
|
|
11.
|
25
|
東京
|
ジャパンC
|
GI
|
芝2400m(良)
|
17
|
5
|
9
|
207.8(17人)
|
14着
|
02:24.9 (34.5)
|
-1.8
|
0浜中俊
|
57
|
ジェンティルドンナ
|
484
|
|
12.
|
23
|
中山
|
有馬記念
|
GI
|
芝2500m(良)
|
16
|
6
|
12
|
116.6(15人)
|
14着
|
02:34.4 (37.5)
|
-2.5
|
0田辺裕信
|
57
|
ゴールドシップ
|
486
|
種牡馬時代
競走馬引退後は、イーストスタッドで種牡馬になった[37]。2016年から初年度産駒がデビュー[37]。2017年8月12日、初年度産駒のプリモガナドール(母父:ゴールドアリュール)が札幌競馬場の3歳未勝利を勝利し、産駒JRA初勝利[38]。2世代目のオウケンムーン(母父:エリシオ)は、2018年の共同通信杯(GIII)において産駒重賞初出走、および産駒重賞初勝利を挙げた[39][40]。
2021年以降は交配が無く、2023年には高齢も考慮し種牡馬を引退した[41]。その後、イーストスタッドと同じ浦河町に所在する観光施設、うらかわ優駿ビレッジAERUで繋養、余生を過ごすこととなった[41]。
主な産駒
血統表
脚注
注釈
出典
参考文献
- 『優駿』(日本中央競馬会)
- 2009年12月号
- 優駿編集部「【重賞プレイバック】第44回京都大賞典(GII)」
- 2013年9月号
- 河村清明「【優駿激闘譜】オウケンブルースリ 半年で頂点に上り詰めた小龍」
外部リンク
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1930年代 | |
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1940年代 | |
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1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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