Mk.91 ミサイル射撃指揮装置(英語: Mark 91 Guided Missile Fire Control System, Mk.91 GMFCS)は、アメリカ海軍の個艦防空ミサイル(短SAM)用の射撃指揮装置。北大西洋条約機構(NATO)諸国で共同開発したNATOシースパロー・システム(NSSMS)Mk.57のアメリカ海軍での制式名である。
来歴
NSSMSは、アメリカ海軍が配備していたシースパローBPDMSの改良型として開発された。1966年冬にNATO海軍兵器グループ(Naval Armaments Group)に対して提案がなされ、1967年のエイラート事件を受けて開発は加速された。当初の参加国は、アメリカ合衆国のほかにデンマーク、イタリア、ノルウェーであった。また1970年にはベルギーとオランダが、1977年には西ドイツが、1982年にはカナダとギリシャが、そして1992年にはスペインが加わっている。1969年9月、アメリカのレイセオン社が主契約者として選定され、1973年には生産契約が締結された。レイセオン社のほか、デンマークのテルマ・エレクトロニクス社、イタイアのセレニア社、ノルウェーのコングスベルグ社も生産に参加した[1]。
運用試験は、まずアメリカ海軍のフリゲート「ダウンズ」で、ついでノルウェー海軍のフリゲート「ベルゲン」でも行われ、1973年4月までに完了した。最初の量産機は1975年に引き渡された[1]。
構成
射撃指揮レーダーとしては、Mk.78方位盤上にMk.95イルミネーターを架して使用するのが標準的な構成であった。また、射撃指揮コンピュータとしては、ノルウェーのコングスベルグ(NFT)社のMk.157が用いられた。シースパロー・ミサイルの発展に応じて、下記のようなバリエーションが順次に開発されている[1]。
- Mk.91 mod.0,1
- RIM-7H用。mod.0はレーダー1基、mod.1はレーダー2基の構成。
- Mk.91 mod.2,3
- RIM-7M/P用の改良型。
- Mk.91 mod.4,5
- ESSM対応の改良型。
- Mk.91 mod.6,7
- 全面的な再設計版(RNSSMS)
また、射撃指揮レーダーをオランダのシグナール(現在のタレス・ネーデルラント)社のWM-20シリーズやSTIRシリーズに変更したり、ミサイルをイタリアのアスピーデに変更したりするなど、各国で様々な派生型が開発された。アメリカ海軍では、システム固有の低空警戒レーダーとしてTAS Mk.23を連接したAN/SWY-1に発展している[1]。
参考文献
関連項目