H&K HK33は、H&K社によって開発された小口径アサルトライフルである。
概要
H&K HK33は、7.62x51mm NATO弾を使用するアサルトライフル(バトルライフル)であるH&K G3をスケールダウンしたうえで5.56x45mm NATO弾を使用できるように再設計されたアサルトライフルである。使用する弾薬が小口径ゆえに全体的なサイズや重量がG3よりも小型軽量化され、反動も必然的に少なくなった。
HK33の作動機構はG3と同じ半閉鎖ローラー・ロッキング方式のディレイド・ブローバックであり、G3と同型のボルトが組み込まれている。
当初開発されたHK33は、アメリカ軍のM16同様の5.56x45mm弾を使用できるように設計されている。発展型であるHK33Eは同じ5.56 mm口径だが、NATOが正式採用しているSS109弾に対応している。
マガジンの装弾数は当初は25発で、後に30・40連マガジンが追加された。
固定ストックは、G3同様に金属製の基部・ポリマー製(ライセンス生産品では木製の場合もある)の中間部・ゴム製のバットプレートからなるものと、MP5同様にポリマーの一体成型のものの2種類が存在する。
HK33のトリガーグループとストックはG3系サブマシンガンのMP5シリーズと互換性を持っている。
各型及び派生型
- HK33
- 基本型。
- HK33A2
- 固定ストックを装備。
- HK33A3
- 金属製の伸縮式ストックを装備。
- HK33K
- バレルを切り詰めて全長を短くしたカービンモデル。
- HK33SG/1
- 命中精度を上げ、光学スコープと専用トリガーグループ、および二脚を取り付けて狙撃銃風に改造したモデル。
- HK33TGS
- HK79銃身下装着型グレネードランチャーを装備したモデル。
- H&K HK32
- 7.62x39mm弾仕様。
- HK43
- 民間向けHK33。ごく短期間で生産が終了し、小改良を加えたHK93が主に流通した。
- HK13
- マガジン装填式軽機関銃。
- HK23
- ベルト給弾式汎用機関銃。アメリカ軍のトライアルにおいてM249軽機関銃に敗れた。
- HK53
- サブマシンガンサイズに切り詰めたモデル。
- HK53 FPW(Firing Port Weapon)[7]
- "HK53 MICV"とも。歩兵戦闘車(MICV:Mechanized Infantry Combat Vehicle)のガンポート(銃眼)から射撃が可能な特殊派生モデル。HK53を元に作動機構をオープンボルト方式とし、コッキングレバーの位置を変更、照準器と銃床を廃しハンドガードを歩兵戦闘車のガンポートに固定できる機構を備えた専用のものに変更している。
- アメリカ軍が開発したM2ブラッドレー歩兵戦闘車に搭載するための装備として開発されたが、最終的にはM16自動小銃の派生型がM231として採用されたため、試作のみに終わった。
- Eシリーズ
- SS109弾に対応するために改設計されたモデル。それまでのモデルに対してサブタイプ記号の前に"E"が追加されている。
- HK33EA2
- HK33EA3
- HK33EA5
- HK33KEA2
- HK33KEA3
- HK33ETGS
- HK53E
- HK13E
- HK23E
- GRシリーズ
- 照準器を固定式スコープに置き換えたモデル。それぞれ以下の名称となっている。
- GR2 (HK53)
- GR3 (HK33)
- GR6 (HK13)
- GR9 (HK23)
外国製
- T223
- アメリカのH&R Firearms社がライセンス生産したHK33。
- T43
- トルコのMKE社がライセンス生産したHK33A2。
- T50
- トルコのMKE社が独自に開発したもの。独自のハンドガードと半透明マガジン、およびM4カービン同様の伸縮式ストック、ピカティニー・レールを装備している。
- T12
- トルコのMKE社が独自に開発した狙撃銃風のもの。HK33のバレルを延長してリアサイトを取り外し、PSG1のストックとピカティニー・レール付きのハンドガードを装備している。
- PK8
- パキスタン・オーディナンス・ファクトリー社製のG3A3ベースのもの。G3A3の装填口に新設計部品を付け、HK33用マガジンが使えるようにしている。
- BA-11
- ミャンマーがライセンス生産したもの。ストックやグリップ、ハンドガードが木製になっている。
- BA-12
- ミャンマーが独自に開発した軽機関銃。BA-11に二脚と短いハンドガードを取り付けたもの。
- 11式
- タイでライセンス生産されたもの。セレクターの表記がアルファベットからタイ文字に変更されている。またブルパップ式に改造した派生型も確認されており、アイアンサイトをM16タイプに変更し、フォアグリップを装備したものとなっている。
使用国
登場作品
- 『ランボー』
- 前半の山中にてティーズル保安官がHK93を使用
漫画
- 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
- 悪魔がやってきた!の巻に登場。
- 『うぽって!!』
- HK33Eを擬人化したちゅーすりーとHK32を擬人化したトリッツァチ・ドゥヴァが登場し、実銃も使用する。
ゲーム
- 『レインボーシックス シージ』
- A2が「AR33」の名称で登場。
- 『CoD:MWII』
- 「[Lachmann-556」の名称で登場。
脚注
注釈
出典
参考文献
- Akira「HK33/HK43」『Gun』第43巻第2号、国際出版、2004年2月、8-21頁。
関連項目
外部リンク