秋本・カトリーヌ・麗子(あきもと カトリーヌ れいこ、Reiko Catherine Akimoto)は秋本治原作の漫画およびアニメ版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する架空の女性警察官であり、本作のヒロインである。
なお、当記事では麗子の家族についても解説する。
日本人とフランス人のハーフ。原作・アニメ版ともにミドルネームが省略されて秋本麗子と表示されることが多いが、原作・ドラマ版では「秋本・カトリーヌ・麗子」、アニメ版では「秋本麗子」で統一して使用されている。プレイステーション版テレビゲーム版では、苗字が秋山に変更されている。神戸市出身だが、関西弁を使う描写は皆無。新葛飾警察署交通課所属で亀有公園前派出所に勤務している[3]。一人称は「私」。
原作・アニメ版では西洋人的な純粋な金髪であるが、舞台版では茶髪、ドラマ版では金髪に近い茶髪である。瞳の色は原作では青だが、アニメ版では茶色である。
ストーリー上の初登場は原作では第11巻第100話[4]、アニメ版では第1話から既に派出所に勤務しているという設定。よって第2話で新人警察官になった中川圭一[5]よりも前から派出所勤務となっている。ただしアニメスペシャル版(2008年)では、中川の方が先に勤務している。初登場は病気の寺井洋一の補欠員として登場し、ベティ・ブープがデザインされたミニパトに乗って派出所のドアを突き破るというド派手な登場であった。ブレーキとアクセルを間違える、急発進して相手の車にぶつけたのに謝らず相手を逮捕する、部長に陰口をたたかれて花瓶をぶつけるなど当初は乱暴な面が描かれた。当時の『こち亀』はまだまだ劇画調で女性キャラクターもあまりいない時期(麗子以外の主な女性キャラは大原大次郎の娘・ひろみ、タバコ屋の佐々木洋子くらい)であった。また、お嬢様らしくわがままで、両津勘吉と対抗できるほど気の強いキャラクターにしたところ、原作者曰く「意外と普通に動いてくれた」こともあり、その後レギュラーとなり、派出所の紅一点として不動の地位を得る。
その他、原作の登場当時は犬嫌い(しかし、回想場面では幼い頃に犬と一緒にいたことがある)・水泳が苦手など、いくつか弱点があったり、また射撃の腕前はピカイチ(オリンピックで金メダルを取ったことがある)で、両津顔負けのハチャメチャぶりを発揮していたりしていたが、年数が経つ(巻数を重ねる)につれて、犬嫌いや苦手な水泳などを克服していき(いずれも両津が一計を案じた結果)、常識人となり、ドライビング(ただし、高速道路を200km/hで運転するスピード狂)、ファッション関係、料理、スポーツなど幅広い知識と才能を発揮し、母性も併せ持つスーパーレディとなっている(気の強さと射撃の腕前は残っている)。それだけに男性からの交際の申し込みも多いが、「結婚を考えている男性はいない」として全て最終的に破談になっている。父親は早く麗子には結婚して欲しい(秋本財閥の跡取りが欲しい)のだが、本人はあまりその気はないようである。
原作は犬嫌いだったため初期に登場していた「犬」を見ただけで悲鳴をあげモノを投げつける始末だったが、これによって責任を感じた犬が派出所を家出。そんな中、麗子は子供が川で溺れている現場を目撃し、助けようとするも二次災害により自身も溺れかねない状態になる。そこへ一部始終を見ていた犬が両津たちを連れてきたことにより麗子と子供は救助され、以後は麗子も犬嫌いを克服し犬を大切に扱うようになった。初期の頃にはルルや第129巻第5話ではセアラという犬を飼っている。麗子はセアラをハワイに連れて行こうとしたことがあり、その時に両津が無理やりセアラと成りすまして入れ替わって生活していた。原作では麗子は最後までそのことに気付かなったが、アニメ版では途中で気付いた[6]ため、結末が異なる。アニメ版では、セアラはその後の話(第335話「ちっちゃな両ちゃん」)で再会した時に、両津の頭部に噛み付いたことがある。
また、ピアノの家庭教師もやっており、受験生の何人かを音楽大学、芸術大学に合格させている。自宅にはグランドピアノを置き、(コミックス上では、白いピアノ)防音室もある。「部長の家族幸せ計画!!」で白いピアノが登場する。
ケーキ作りが趣味だが陶芸家並にこだわるため、少しでも見てくれが悪ければ完成品とは認めない。一方で腕は確かなので回りが趣味として放っておかず、麗子も父親の顔を立てるため小売店などに手作りのものを届けている。これに目をつけた両津は劣化品の偽麗子ケーキを作り、他所のデパートに売りつけ利益を得ていたが、そのことを知った麗子は大いに怒り軍用ヘリを用いて両津を追い回し降参させた。
6歳からバレエスクールを習ってたため、体が非常に柔らかく、婦警たちにバレエを教える際、「180度開脚」や「I字バランス」を難なくこなした(「バレエの妖精」より)。
貸与される制服は着ておらず、初登場時からピンク色(緑系統や青系統に着色されることがあったが、現在では統一されている)の制服を着ているが、警視庁制服課の許可証[7]があるため、周囲の警察官から文句を言われることはほとんどない。登場当時は現在より胸元が開いていた。また、アニメ版と原作では色は同じであるもののデザインが異なっている。また、スカートが短いのは「動きやすいから」という理由であり、一度両津に注意され標準のスカートを穿いたことがあったが、痴漢を追跡する際走りにくいとして破り裂き、すぐに元の丈にもどしている。またTVドラマ版の制服も襟に黒ラインが入っているなど、デザインが変更されている。
連載が進むにつれて巨乳が強調されることが多くなり、特に扉絵ではビキニ姿などで胸が大写しになることもしばしばであった。作中でも「でかすぎ」と一部の登場人物に呆れられることもあった。
愛車は表紙などでMiniなどとされたこともあったが、中川がフェラーリ F40に乗るようになった時期から、その対比としてポルシェやランボルギーニを愛用するようになった。運転はかなり乱暴で両津曰く「スピード狂」。ただし本人の自覚は薄く、中川のメチャ運転より自分の方がマシだと思っていたため両津から突っ込みを受けた。
金銭感覚については、社長令嬢とはいえ初期は普通で、月1500万円の小遣いをもらう見合い相手が「それでも足りない」と言うのを「使いすぎ」だと指摘して「一円を笑う者は一円に泣く」ということわざを用いたり、「親からは仕送りを貰ったことがなく、給料だけで十分」と言っていた[8]。しかし、2000年代あたりからは異常な金銭感覚の中川側につくこともある。また、現在では東京の一等地に纏が巨大なマンションと見間違えるような建物で一人暮らしをしている。父親から(勝手に)送られたマンションや屋敷で生活していることもあった。単行本第53巻第1話「麗子の秘密」によると、好意を寄せる男性陣からの一方的な電話やプレゼントに悩まされており、そのために頻繁に引っ越しをしている。
現在では、派出所勤務の傍らで会社を何社も経営するようになり、時給はおよそ1億である。
フランスにアニー・ルモアンという7歳の従妹がおり、第174巻で来日した[9]。
神戸の貿易会社「秋本貿易」の社長である父の秋本飛飛丸(あきもと ぴゅんぴゅんまる)とフランス人でファッションデザイナー、秋本貿易を傘下に持つ年商7兆の会社マリイ・ローランの社長である秋本フランソワーズの間にフランスパリで生まれる。小さい頃は男の子が好むようなおもちゃで遊び、モデルにもスカウトされていた。5歳の時に有名菓子店のマスコットガールに選ばれフランス中に注目を集めるが、有名になりすぎてしまい、誘拐事件まで起こってしまった。しかし逆に自分で犯人を捕らえ手柄を立ててしまう。6歳の頃には別荘から抜け出して、一人で列車に乗ってパリから西ドイツにまで行ってしまうほどで、男勝りの行動力は幼少時代から発揮されていた。両親は落ち着く暇もなかったといわれている。
15歳でスイスの名門女子学校に入学する。この女子学校は寄宿舎制度で、世界中からお金持ちが集まってきていて、礼儀作法・しつけ・教養などを始めとして、実に厳しくハードな授業内容であったようである。この頃は幼少から得意だったピアノでコンクールで優勝したり、ヨーロッパケーキコンテストで入賞したり輝かしい成績をおさめた。また、寄宿舎に入った泥棒を、友人の女学生が動揺している中、追いかけて捕まえてしまったこともあった。
17歳で卒業してフランスの両親のもとに戻るが、その後父親の貿易業の地盤を築くために日本へと渡り、原作では国立大学だがアニメ版では港区上品大学へと入学する[10]。卒業後、父が決めた就職先を蹴り、警察学校へと入学、翌年に公園前派出所に配属され、現在に至る。
アニメ版172話「人生をやり直せ!」では中川圭一のテレビゲーム会社が開発したソフトに資産8000億円と出ていた。
両津は麗子の先輩である。両津に対して好意を持っていることを思わせる言動は数多いが詳細は不明である。中川は「麗子さんは先輩(両津)に気がある」としている。また、長年両津を見てきただけあって、行動パターンはほぼ熟知しており、時には同じく両津の行動パターンを熟知している大原よりも早く見抜くこともある。よく小遣い程度のお金を貸すことがあるが、ほとんど返してもらえない(その金額は第86巻第8話で85万2315円、第108巻第1話で200万円。中川よりは少ない)が、両津にケーキ作りの助手や買い物のアルバイトをさせて返済させている[11]。
第174巻に登場した麗子の7歳の母方の従妹。フランス人。ジュニアクラスのフェンシングをしており大会に出るほどの実力を持つ。『となりのトトロ』など日本のアニメが好き。
1985年のスペシャル・アニメ版での声優は土井美加、テレビアニメ版以降での声優は森尾由美。
舞台版での女優は細川直美(第1作)→大河内奈々子(第2作・第3作)→森下千里(第4作)→原幹恵(第5作)。テレビドラマ版、2011年実写映画版での女優は香里奈。
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