浜崎 洋介(はまさき ようすけ、1978年[1]10月28日[2]- )は、 日本の文芸批評家[1]。東京工業大学、法政大学、日本大学芸術学部の非常勤講師を経て、京都大学経営管理大学院特定准教授。専門は日本近代文学、批評理論、比較文学。福田恆存、小林秀雄を中心に、日本の保守思想の研究を専門とする。博士(学術)(東京工業大学)。
経歴
埼玉県大宮市(現・さいたま市)出身、生後半年で生地を離れ、その後、広島、大阪、神戸、東京を転々とする。
母が学校の国語教師であった関係から家に文学全集などが置いてあり少年期から文学にのめり込む。
東京都立北園高等学校を卒業後、日本大学芸術学部に入学、2001年に卒業する。大学では小説の書き方を学んだ。
卒業後は井口時男が教えていた東京工業大学大学院へと進学したかったが、入試時間を間違えてしまい1年浪人する。当時は祖師谷大蔵に住んでいた。浪人中、柄谷行人の立ち上げたNew Associationist Movementに参加。
2010年、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程修了。「福田恆存の思想 : 作家論・芸術論・国語論の観点から」で博士(学術)。主査は井口時男。
2017年、すばるクリティーク賞の選考委員に就任[3]。
2022年、『小林秀雄の「人生」論』で第31回山本七平奨励賞を受賞[4]。
人物
歴史的仮名遣
現状、歴史的仮名遣(正仮名遣い)を用いていないが合理的、有機的な歴史的言語体系として、最終的には政治判断で元に戻すことが望ましいと主張している[5]。
成立過程も現代仮名遣に自然発生的に変化したのではなく、敗戦のドサクサに紛れGHQの教育使節団の指令により言語学者と官僚が設計主義的に変えたことを踏まえ問題視している。
憲法
当用憲法は言ってることとやっていることのズレ『平和主義と自衛隊、日米安保』があるとしてこのズレを解消する為に9条二項の削除を主張している[6]。
なお現在の自民党の加憲論ではズレは解消できないので否定的である。
夫婦別姓論に対する主張
別姓論者の多くの視点が、「自分の自由」に固着してそこしか視点がないとしている。
現在のどちらの姓を選んでもいい現行法が不公平とは言えない以上、問題は、夫の姓に変えることが多いのは日本の文化・慣習だということになる。しかし、文化・慣習が問題だと言うなら、それも慣習的に、つまり漸進的に変えていくべきで、それを無理やりどうにかしようとする姿勢には違和感を覚えざるをおえないとしている[7]。
その上で、夫婦別姓に関して言えば、たとえ選択制にしたとしても、過去と現在との間に要らぬ分断を生んでしまう〈かもしれない〉し、別姓夫婦と同姓夫婦の間に要らぬ距離感(分断)を醸成してしまう〈かもしれない〉、あるいは、生まれた子供に対しても要らぬ「選択」をせまってしまうときがある〈かもしれない〉など、「当事者以外の人間の共同性(計算し切れぬ無意識)に少なからぬ影響がでることが懸念される」あるいは、その懸念が払拭できない間は制度変更に慎重になるべきであると述べている[8]。
著作
単著
共著
編・解説
文庫解説
論文等
- 論文「福田恆存の「政治と文学」-D・H・ロレンスからの影響」『日本比較文学会東京支部研究報告』4号2007年9月
- 論文「福田恆存の「イロニー」-芥川龍之介論と保田與重郎」『文芸研究―文芸・言語・思想』第166集2008年9月
- 評論「大岡信と保田與重郎−「日本的美意識」の問題」『大岡信ことば館便り』2013年春号―季刊第11号
- 評論「郊外論/故郷論-「虚構の時代」の後に」『現在知vol.1-郊外 その危機と再生 』(NHKブックス別巻)2013年4月
- 時評「道徳は教えられない」『文藝春秋』2013年12月号
- 評論「中上健次と私」『すばる』2014年1月号
- 評論「アーレントと福田恆存−全体主義(totalitarianism)と全体(wholeness)」『表現者』53号/2014年3月号
- 評論「柄谷行人試論-〈単独者=文学〉の場所をめぐって」『すばる』2015年2月号
- 評論「宿命としての大東亜戦争-小林秀雄はなぜ反省しなかったか」『文藝春秋SPECIAL』2015年季刊春号
- 評論「ロレンスとピケティ-その人間観をめぐって」『表現者』60号/2015年5月号
- 評論「福田恆存の『実存』-『特権的状態』論をめぐって」『総特集・福田恆存―人間・この劇的なるもの』河出書房新社〈文藝別冊〉、2015年5月
- 評論「小林秀雄の〈批評=学問〉論-『国語教育』の在り処」『国語教室』大修館書店、2015年5月
- 評論「福田恆存とシェイクスピアその紐帯」」『すばる』2016年5月号
- 評論「小説の運命」『新潮』2016年5月号
- 評論「坂口安吾の『いたわり』―『カラクリ』と『ふるさと』のあいだで」『すばる』2017年4月号
- 評論「観念的な、あまりに観念的な―戦後批評の『弱さ』について―」『すばる』2018年1月号
- 評論「動揺する精神―江藤淳の生と死」『江藤淳―終わる平成から昭和の保守を問う』河出書房新社〈文藝別冊〉、2019年5月
出演
ネット番組
出典
外部リンク