柘植 伊佐夫(つげ いさお、1960年1月27日 - )は、日本のビューティーディレクター[1]および人物デザイナー。長野県伊那市出身。
略歴
1979年-1989年
1979年より美容界へ入りヴィダルサスーンの技術を習得する。1982年にモッズヘアへ入社。ヘアメイクアーティストとして活動する。
1990年-1999年
1990年、「第一回日本ヘアデザイナー大賞」(Japan Hairdressing Award) を受賞、1991年同アワードで「セッションスタイリスト優秀賞」を受賞。1999年、手塚眞監督『白痴』で映画全体のヘアメイク監督を担当する。
2000年-2009年
2003年、庵野秀明監督『キューティーハニー』の担当よりヘアメイク監督から「ビューティーディレクター」へ改称する。同年、「キャラクター監修」として本木克英監督『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』のキャラクターデザインを統括する。2008年、滝田洋二郎監督『おくりびと』のビューティーディレクションを担当する。
2010年-2019年
2010年、NHK大河ドラマ『龍馬伝』、2012年、NHK大河ドラマ『平清盛』の人物デザイン監修を担当。同年、「龍馬デザイン。」「さよならヴァニティー」を刊行する。「人物デザインの開拓」により「第30回毎日ファッション大賞/鯨岡阿美子賞」を受賞する。2016年、庵野秀明監督『シン・ゴジラ』の扮装統括を担当。2018年、長野県伊那市に「森・人・美」をコンセプトにした官民団体「伊那市ミドリナ委員会」を発足。2019年、NHKスペシャルドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」、武内英樹監督『翔んで埼玉』の人物デザイン監修/衣裳デザインを担当。同年長野県信州高遠美術館で「柘植伊佐夫 UNITY-人物デザインの世界展-」を開催する。
2020年-
2020年加藤卓哉監督『完全なる飼育ètude』でプロデューサー、音楽プロデューサー、人物デザイン監修を担当する。2020/22年NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』、2023年『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の人物デザイン監修/衣裳デザインを担当する。同年NHK大河ドラマ『どうする家康』の人物デザイン監修を担当する。
特徴
作品の美容面をデザインする場合は、「ビューティーディレクター」、衣装・小道具を加えた扮装全体のデザインは、「人物デザイナー」として活動する。制作の主題は「現実の非現実」。リアリズムを重視し必要箇所に強いデフォルメ[2][3]を施す。「リアリティーの実現」が制作上の傾向である。
活動
映画
舞台
- ブリキノマチノ夏の夜の夢(1993年、ヘアメイク)
- 赤鬼タイ語上演(1998年、ヘアメイク)
- 赤鬼タイ語上演(1999年、ヘアメイク)
- カメレオンズ・リップ(2004年、ビューティーディレクション)
- 透明人間の蒸気(2004年、美粧)
- 赤鬼タイ語上演(2004年、美粧)
- 赤鬼 日本語上演(2004年、美粧)
- 夜叉ヶ池(2004年、ビューティーディレクション)
- キャバレー(2004年、エムシー/サリーのヘアメイクデザイン)
- 赤鬼 韓国語上演(2005年、美粧)
- SHAKESPEARE'S R&J(2005年、ヘアメイクデザイン)
- ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?(2006年、ビューティーディレクション)
- バレエ『ペトリューシュカ』(2006年、首藤康之ヘアメイク)
- バレエ『牧神の午後』(2006年、ビューティーディレクション)
- 春琴(2008年、宣伝ヘアメイク)
- 空白に落ちた男(2008年、首藤康之ヘアデザイン)
- ミュージカル・シラノ(2009年、宣伝コンセプトデザイン)
- 貞奴 世界を翔る(2012年、ヴィジュアルプロデュース)
- 第四回貴雅の会(2013年、映像:監督補 、 舞台:人物デザイン監修、宣伝:クリエイティブディレクション)
- あかいくらやみ~天狗党幻譚~(2013年、人物デザイン監修)
- ダンス『ドリアン・グレイ』(2013年、ヘアメイク)
- ABKAI市川海老蔵第一回自主公演(2013年、宣伝クリエイティブディレクション)
- 冒した者(2013年、人物デザイン監修)
- MIWA(2013年、美粧)
- 天才執事ジーヴス(2014年、人物デザイン監修)
- 半神(2014年、美粧)
- PLUTO(2015年、2018年、キャラクタービジュアル/コスチュームデザイン/ヘアメイクデザイン)
- メンフィス(2015年、キャラクタープロデュース)
- エッグ(2012年、2015年美粧)
- 十一ぴきのネコ(2012年、2015年、美粧)
- 逆鱗(2015年、美粧)
- 足跡姫~時代錯誤冬幽霊~(2016年、美粧)
- 王将(2017年、扮装統括)
- 六本木歌舞伎座頭市(2017年、扮装)
- 八月納涼歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』(2017年、美粧)
- 贋作桜の森の満開の下(2018年、美粧)
- Q:A Night At The Kabuki(2019年、2022年、美粧)
- 常陸坊海尊(2019年、扮装)
- 蝶々夫人(2019年、美粧)
- 王将(2021年、扮装統括)
- 醉いどれ天使(2021年、人物デザイン監修)
- 舞台 エヴァンゲリオン ビヨンド(2023年、ビジュアルディレクション・衣裳デザイン)
テレビ
- ブラック・ジャック(2000年、ブラック・ジャックヘアメイクデザイン)
- ブラック・ジャックII(2000年、同上)
- ブラック・ジャック3–悲劇の天才料理人』(2001年、同上)
- NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年、人物デザイン監修)
- ヘブンズ・フラワー The Legend of ARCANA(2011年、人物デザイン)
- NHK大河ドラマ『平清盛』(2012年、人物デザイン監修)
- 放送90年NHK大河ファンタジー『精霊の守り人』(2016年、人物デザイン監修)
- 放送90年NHK大河ファンタジー『精霊の守り人 悲しき破壊神』(2017年、人物デザイン監修)
- 放送90年NHK大河ファンタジー『精霊の守り人 最終章』(2017年、2018年 人物デザイン監修)
- 日本テレビ『俺のスカート、どこ行った?』(2019年4月クール『原田のぶお』人物デザイン監修/衣装デザイン)
- フジテレビ『ルパンの娘』(2019年7月、2020年10月クール 泥棒スーツデザイン)
- NHKスペシャルドラマ『ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜」(2019年、人物デザイン監修)
- NHKリモートドラマ『Living』(2020年、人物デザイン監修)
- NHK『岸辺露伴は動かない』(2020年、人物デザイン監修)[4]
- NHK『きよしこ』(2021年、人物デザイン監修)
- NHK『岸辺露伴は動かない』(2021〜22年、人物デザイン監修)
- NHK大河ドラマ『どうする家康』(2023年、人物デザイン監修)
- テレビ朝日ドラマプレミアム『ブラック・ジャック』(2024年、ビジュアルコンセプト/人物デザイン監修/衣裳デザイン)[5]
ライブ
- ビョーク『フジロックフェスティバル』(1998年、ヘアメイク)
- ビョーク『LIVE 8』(2005年、ヘアメイク)
- 福山雅治 『20TH ANNIVERSARY WE'RE BROS TOUR 道標』(2009年、ビジュアルプラン/ビューティーディレクション)
- 福山雅治『福山☆夏の大創業祭 稲佐山』(2009年、ビジュアルプラン/ビューティーディレクション)
イベント
- KANSAI HUMAN VOLCANO(1988年、ヘアデザイン)
- KANSAI HUMAN SPECTACLE(1990年、ヘアデザイン)
- ハロー・ロシア(1993年、ヘアデザイン)
- ハロー・ベトナム(1995年、ヘアデザイン)
- ハロー・インディア(1997年、ヘアデザイン)
- ハロー・ジャパン・ハロー21・イン岐阜(2000年、ヘアデザイン)
- 山口きらら博『やまぐち元気伝説』(2001年、ヘアメイクデザイン)
- KANSAI SUPER SHOW アボルダージュ(2004年ビューティーディレクション)
- KANSAI SUPER SHOW 太陽の船(2007年、ビューティーディレクション)
アート
- マシュー・バーニー『拘束のドローイング展(日本、米国、韓国)』(2005年-2006年、ビューティーメイクアップ)
- 崔左銀『KI-DO-AI-RAKU展(韓国)』 (2007年、天児牛大のヘアメイク)
- バレエアポロ『第2回フェニックスアートプロジェクト(東京)』『第12回バージョンクリップ(パリ)』(2015年、プロデュース・芸術監督)
- 柘植伊佐夫『UNITY-人物デザインの世界展-』(2019年、作品展)
コレクション
1988年からの抜粋
ビデオクリップ
アルバムアートワーク
- CHARA 『Caramel Milk-The Best of Chara−』(2000年、ヘアメイク)
- ビョーク『拘束のドローイング9-サウンドトラック−』(2006年、ビューティーメイクアップ)
- 福山雅治『残響』(2009年、 ビューティーディレクション)
- 福山雅治『はつ恋』(2009年、ビューティーディレクション)
- 福山雅治『心color』(2010年、ビューティーディレクション)
- AKB48『風は吹いている』(2011年、ビューティーディレクション)
- ももいろクローバーZ『5TH DIMENSION』(2013年、ビューティーディレクション)
- 真木ようこ『幸先坂』(2013年、クリエイティブディレクション)
- シアトリカル・オデッセイ・オブ・バレエアポロ『幻想連鎖』(2019年、プロデュース)
その他
教育
- ダートパックス(2002-2012年、撮影のためのメイクアップ教育」を目的としたワークショップ、英表記:DARTPACs)
- 柘植伊佐夫の美容と人物デザインラボ~コントラポスト~(2021-、美容と人物デザインのオンラインサロン、英表記:CONTRAPPOSTO)
出版
著作
寄稿
受賞
- 第1回日本ヘアデザイナー大賞/大賞(1990年、ジャパン・ヘア・ドレッシングアワード)
- 第2回日本ヘアデザイナー大賞/優秀セッションスタイリスト賞(1991年 、ジャパン・ヘア・ドレッシングアワード)
- 第30回毎日ファッション大賞/鯨岡阿美子賞(2012年、人物デザインの開拓に対して)
- 第9回アジアフィルムアワード優秀衣装デザイン賞(2015年、作品『喰女ークイメー』)
脚注
外部リンク