『ルパン三世 念力珍作戦』(ルパンさんせい ねんりきちんさくせん)は、1974年の日本映画。モンキー・パンチの漫画『ルパン三世』を原作とし、日本では1974年8月3日に公開された実写映画である[2]。『ルパン三世』初の実写化作品である[4]。
概要
国際放映作品[注釈 1]。赤塚不二夫、中山千夏が企画に名を連ねているが、名義を借りただけで実際にはノータッチだった[4]。監督は東宝クレージー映画シリーズを手がけた坪島孝。公開当時の併映作品は『ノストラダムスの大予言』[4]。
本作品では、ルパン三世を目黒祐樹、次元大介を田中邦衛、峰不二子を江崎英子、銭形警部を伊東四朗がそれぞれ演じた[4]。なお、石川五ェ門に相当する役は本作に登場しない。踊る暗殺者軍団ドラゴンシスターズとして当時売出し中であったダンスグループポピーズが出演しており、デビュー曲も披露している[2]。
ルパン役を演じた目黒は後年テレビ番組で「監督とも話し合った結果、原作の通りに作るのはまず無理との判断になったので、原作を意識せず好きなように作ってみようということになった」「個人的にはとても気に入っている役」「再び映像化するなら是非演じてみたい」とコメントしている[要文献特定詳細情報]。
峰不二子を中心に、大人向けのセクシー描写が多いのも特徴である[2]。原作で頻出する「♂マークと♀マークを絡ませた濡れ場表現」を、忠実に映像化している。
内容とあまり関係のないタイトルの「念力珍作戦」は、東宝側からの「何か時代性のあるタイトルにしろ」との指示で、当時流行の超能力ブームにかこつけてスタッフがつけたものである[注釈 2]。
製作の際、ルパンなど主要キャラクターは声のみをアニメ版の声優である山田康雄らに吹き替えさせ差し替える案があったという。真剣に検討されたものの、出演者側から反発を受けたことで立ち消えになったといい、山田はこのことに関して後に「そりゃそうですよ。俳優がセリフしゃべらないで口をパクパクやってんじゃクサりますよ(笑)」と語っている[5]。
本作品のルパンの銃はワルサーPPK(消音器の付いたゴールドモデル)を使用している。
稀に休日の午後や地方局でテレビ放送が行われる程度で視聴困難な作品であったが[注釈 3]、1993年、LD-BOX「ルパン三世 シアターBOX」にアニメ版劇場作品と共に本作も収録され、初ソフト化となった。2004年5月28日にDVDが発売された。
ストーリー
盗んだ車でドライブを楽しんでいたルパン三世は、その途中で刑務所に護送中だった峰不二子に出会い、彼女を手に入れるため脱獄に協力するが、不二子はルパンを置き去りにして一人で逃げてしまう。警察に捕まったルパンは銭形警部からの取り調べを受けるが、「脱獄に協力したという証拠も証人もない」という理由で釈放される。その直後、ルパンは自分のことを探していた次元大介に出会い、自分の素性を知ることになる。ルパンは、かつてフランスで活躍した怪盗アルセーヌ・ルパンの孫であり、世界中の犯罪組織を束ねていた「ルパン帝国」の御曹司だった。しかし、「ルパン帝国」はルパン二世の部下だったマカ・ローニ一家の裏切りによって壊滅してしまい、組織の生き残りは次元と、日本の孤児院で暮らしていたルパンの2人だけとなっていた。
警視総監からルパンの素性を聞かされた銭形警部は、ルパンを逮捕するために、それぞれ大岡越前・遠山金四郎の子孫である大岡刑事と遠山刑事と共にルパンを追い掛け回すが、2人とも口先ばかりで役には立たず、当の銭形警部もルパンに散々な目に遭わされてしまう。同じ頃、ルパンが生きていることを知ったマカ・ローニ一家も、ルパンを抹殺するため殺し屋を送り込んできた。
そんな中、ルパンは不二子と再会し、次元と3人で時価56億円もの宝石を盗むことになった。難なく盗みに成功したルパンだったが、肝心の宝石は不二子に一人占めされた挙句、ルパンと次元は銭形警部に追いかけ回され、さらにマカ・ローニ一家の殺し屋たちに狙われるなど散々な目に遭ってしまう。次から次へと現れる殺し屋にウンザリしたルパンは、「安全だから」という理由で警察に自首してしまい、次元に呆れられてしまう。銭形警部はルパン逮捕の手柄で総監賞を貰い、新たに宇宙人の念力が詰まっているという遮光器土偶を四次元研究所に護送する任務を任された。
同じ頃、ルパンの自首を知ったマカ・ローニ一家も一安心し、世界中の物好きが欲しがっているという遮光器土偶を強奪しようと企んでいた。それを探っていた不二子が捕まったと聞いたルパンは血相を変えて留置所から脱走し、不二子を助けに向かう。ルパンは不二子が捕まっている山小屋に乗り込んで不二子を助け出し、次元は銭形警部たちから遮光器土偶を強奪しようとしていたマカ・ローニ一家から遮光器土偶を横取りし、3人はヘリで逃げる。これをチャンスだと銭形警部はマカ・ローニ一家を捕まえようとするが、隙を突かれて逃げられてしまう。一方のルパンたちも、ヘリが故障して四次元研究所に不時着してしまい、護送役だと勘違いされ遮光器土偶の盗みに失敗してしまう。
後日、遮光器土偶を守った手柄で再び総監賞を貰えると思っていた銭形警部は、警視総監から「遮光器土偶を守ってくれたのはルパンだろう」と言われた挙句、ルパンに感謝状を届けて来ることを命令されてしまう。一方、ルパンと不二子は港でイチャイチャしており、次元はそれを横目に呆れ返っている。そこに銭形警部が現れ、3人は逃げ出してしまう。それを見た銭形警部も感謝状を投げ捨て、3人を捕まえるため追いかけっこを始める。次元と不二子が銭形に追いかけられているのを尻目に、カメラに歩み寄ったルパンは「これでお仕舞い」と挨拶をしてスクリーンの幕を下ろす。
キャスト
※映画クレジット順
※以下ノンクレジット出演者
※映画登場順
スタッフ
脚注
注釈
- ^ アニメ版を製作した東京ムービーの創設者である藤岡豊は、当時東京ムービーの取締役制作部長、および国際放映の専務を兼任しており、本作の製作も務めた。
- ^ 本作DVDの映像特典である坪島監督へのインタビュー(聞き手:佐藤利明)によると、脚本がほぼ出来上がっていたところへ、上から「タイトルは『念力珍作戦』で行け!」というお達しがあり、セリフなどを直してどうにか無理矢理こじつけた、とのことである。
- ^ 近年では2004年1月2日深夜に札幌テレビ放送で地上波放映が行われている。
- ^ CDとして初めて商品化された。
出典
参考文献
外部リンク
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