ヨークルスアゥルロゥンはアイスランド島西部、ヴァトナヨークトル氷河から分かれたブレイザメルクルヨークトル氷河の先端にあり、スカフタフェットル国立公園とヘプンの間である。氷河が大西洋に向かって崩れ落ちる場所にある。氷河の溶ける速さが変化することにより、湖の大きさも変化する。現在は海岸から 1.5 km 離れており、湖面の面積は約 18 km2 である。1970 年代と比べると、面積は4倍になっている。水深は最大で 200 m 以上あり、アイスランドでは二番目に深い[3][4][5][6]。自然を楽しむ観光地として人気が高い。
ヨークルスアゥルロゥンは、ヘプンとスカフタフェットルの間、環状国道1号線沿いにある。その景観は、「ヨークルスアゥルロゥンの 18 km2 の湖面全体に青い氷山がぼぅっと光っている様は、まるで幽霊の行列である」と評される。底の広い観光船による、小さな氷山の合間を縫って40分ほどのクルーズが提供されている[4]。
西暦 900 年ごろ、アイスランドに初めて人が入植した頃は、ブレイザメルクルヨークトルの入り江は現在よりも 20 km ほど北であった。1600 年から 1900 年にかけての小氷期の気温低下により、1890年までにヨークルスアゥ (Jokulsa) 川の岸から 1 km ほどのところまで氷河が成長した。1920年から 1965年までの気温の上昇により、ブレイザメルクルヨークトルの入り江は再び後退を始めたが、後退が速く、氷河か崩れることで生じる氷山の大きさが多様になり、氷河が後退した跡に 1934年から翌年にかけて潟湖が形成された。ヨークルスアゥルロゥンの水深は、元々が氷河だったところで 200 m ほどある。また潟湖の両岸には氷河堆積物が露出している。1975年には面積は 8 km2 (3.1 sq mi) ほどだったが、現在は 18 km2 (6.9 sq mi) に拡大している[5]。
地理
ヨークルスアゥルロゥン潟湖からは、アイスキャップ (Ice Cap) と呼ばれる高さが 3,000フィート (910 m) に及ぶ氷の山がよく見える。アイスキャップから溶けて流れ出た水は、12 km 離れたヨークルスアゥルロゥンに流れ込んでいる。ヨークルスアゥルロゥンで観光開発が始まったのは、記録に残っている限りでは 1948年でだが、当時は潟湖の部分は 100 m ほどしかなく、海から 250 m、氷河から 2 km しか離れていなかった。その後氷河は大きな谷を跡に残しながら、急速に後退を始めた。できた谷は氷河が溶けた水や氷山で埋まっていった。潟湖から海への出口はもともと氷河が海に落ちるところだったため水深が浅く、氷河から崩れ落ちた氷山は潟湖の中にしばらく留まってだんだんと小さく崩壊した後に海へと流れ出るようになった。ヨークルスアゥルロゥンはアイスランドの中でももっとも標高の低いところであり、その湖岸は海面下 200 m の位置にある。夏には氷山が溶けて湖面をただよう。冬には湖面が凍結し、氷山はそれぞれの位置に固定される。この 15 年で潟湖の面積は約2倍になった。湖面に浮かぶ氷山は氷河から崩れ落ちたばかりのものであり、その高さは約 30 m ほどである[6][7][8][9]。中には、過去の噴火による火山灰が表面に残っていることで独特の形状を成す氷山もある[10]。