『ヘヴン&ヘル』(原題:Heaven and Hell)は、ブラック・サバスが1980年に発表した9作目のスタジオ・アルバム。本作よりロニー・ジェイムス・ディオが加入し、オリジナル・メンバーと異なるラインナップによる初のアルバムとなった。
背景
オジー・オズボーンの脱退に伴い、後任としてロニー・ジェイムス・ディオ(元エルフ〜レインボー)が加入するが、その直後にギーザー・バトラーが脱退し、一時的にジェフ・ニコルスとクレイグ・グルーバーがベースを担当した[8]。その後、バトラーが復帰し、ニコルスは最終的にキーボードを担当した[8]。プロデュース及びエンジニアリングは、ディオ在籍時のレインボーのアルバムを手掛けたマーティン・バーチによる。
「チルドレン・オブ・ザ・シー」はオジー・オズボーンの脱退前に作られた曲だが、当初は歌詞もメロディも異なっており、バトラーとトニー・アイオミによれば、オズボーンがボーカルを担当したテープも残っているという[8]。「ダイ・ヤング」は、ロニー・ジェイムス・ディオがレインボー時代に書いた曲である[8]。
アルバム・ジャケットは、ブルー・オイスター・カルトのアルバム『タロットの呪い(Agents of Fortune)』(1976年)のジャケットを手掛けたリン・カーリーの絵画の中から選ばれた[9]。
反響・評価
バンドの母国イギリスでは、『サボタージュ』以来4年半振りに全英アルバムチャートでトップ10入りを果たし、22週チャート・インするヒットを記録した[1]。また、本作からのシングル「ネオンの騎士」は全英シングルチャートで22位、「ダイ・ヤング」は41位に達した[10]。
アメリカのBillboard 200では28位に達して『サボタージュ』以来のトップ40入りを果たし[4]、1981年1月にはRIAAによりゴールドディスクに認定されて、1986年5月にはプラチナディスクに認定された[11]。日本のオリコンLPチャートでは、『血まみれの安息日』以来のトップ100入りを果たした[7]。
音楽評論家のGreg Pratoはオールミュージックにおいて「バンドのサウンドはすっかり生まれ変わり、再び精力が注入された。アルバムの幕を開ける"Neon Knights"、ムーディーでミッド・テンポの叙事詩"Children of the Sea"、トニー・アイオミが生み出した最高のギター・リフの一つがフィーチャーされたタイトル曲といった曲は、たやすくサバスのオールタイム・ベストのランクに入る」と評している[12]。
収録曲
全曲ともトニー・アイオミ、ロニー・ジェイムス・ディオ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードの共作。
- ネオンの騎士 - "Neon Knights" – 3:50
- チルドレン・オブ・ザ・シー - "Children of the Sea" – 5:34
- レディ・イーヴル - "Lady Evil" – 4:24
- ヘヴン&ヘル - "Heaven and Hell" – 6:56
- ウィッシング・ウェル - "Wishing Well" – 4:05
- ダイ・ヤング - "Die Young" – 4:42
- ウォーク・アウェイ - "Walk Away" – 4:21
- 孤独の定め - "Lonely Is the Word" – 5:51
カヴァー
- ネオンの騎士
- ヘヴン&ヘル
- 孤独の定め
- ヨルン - カヴァー・アルバム『Unlocking the Past』(2007年)に「レターズ・フロム・アース」とのメドレーとして収録。
- レディ・イーヴル
- ポール・ギルバート - インストゥルメンタル・トリビュート・アルバム『The Dio Album』(2023年)に収録[13]。
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン
脚注
外部リンク