ストームキャット (Storm Cat) はアメリカ合衆国のサラブレッド競走馬および種牡馬である。現役時代は優れた素質をうかがわせながらも不完全燃焼のまま引退したが、その後に種牡馬として大成功を収めた。1999年、2000年の北アメリカリーディングサイアー。
経歴
1985年にデビューし、ヤングアメリカステークス(当時米G1、現在は廃止)を制し、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルでも2着に入った。しかし翌年はクラシックに出走せず、秋に2戦したのみで翌1987年に引退。オーナーが所有するオーバーブルックファームで種牡馬入りし、1988年から供用された。初年度の種付け料は3万ドルだったが、初年度から活躍馬が続出し、1999年と2000年には北米リーディングサイアーに上り詰めた。また、2歳リーディングサイアーは7回獲得し、これは北米レコードである。2002年から2007年の種付け料は50万ドル(当時のレートで約6000万円)に設定された[† 1]。この高額な種付け料は日本国内でも話題となった[† 2]。
2008年5月13日(現地時間)、生殖能力低下のため種牡馬を引退すると報じられた。2008年は32頭に種付けを行ったが、受胎したのが3頭のみであり受胎率が大幅に低下していたためである。ただし、2009年からは人工授精が認められているクォーターホース繁殖用の種牡馬として供用された。2013年4月24日、高齢による合併症を患い、安楽死の処置がとられた。遺体はオーバーブルックファームに埋葬された[1]。
後継種牡馬は北米リーディングサイアーを3回獲得したジャイアンツコーズウェイを中心に多数活躍しており、ストームキャット系と称される一大系譜を築いている。
競走成績
代表産駒
産駒の特徴としてはダートや欧州の深い芝など力が要る馬場に向き、特に北米で一般的な粘土質のダートコースとの相性は抜群に良い。その反面パワー偏重の不器用な産駒も多く、俗に言う「一本調子」タイプの種牡馬であるという評もある。距離適性は主に短距離からマイルを得意とするスプリンターが大半を占めるが、配合によっては更に長い距離のレースにも対応できる。体質は概ね頑健で仕上がりも早い。早熟型の血統が好まれる傾向が強い北米競馬界において、比較的息の長い活躍をみせる産駒も輩出している。
日本には50頭以上が輸入されたが、国内で走った産駒ではシーキングザダイヤが目立つ程度で、海外での実績と比較した場合やや物足りない点があることは否めない。前述の通りストームキャット産駒の多くは持ち前の優れたパワーが最大の武器であり、日本で走った産駒も平坦なダートコースでは一定の成績を残した。しかし勝負どころで一気に加速することが出来ない産駒も多く、軽く硬い高速馬場での一瞬の切れ味を要求される日本競馬には元来不向きな血統とする意見もある。ただし、ストームキャットを父系祖父または母の父としてもつ孫世代からはファレノプシス、メイショウボーラー、ゴスホークケン(産駒にマルターズアポジー)、サンライズバッカス、エーシンフォワード、エイシンアポロン、ロードカナロア、アユサン、キズナ、ラキシス、リアルスティール、ラヴズオンリーユーらがG1馬となっている。
海外調教馬
- 1989年産
- 1990年産
- デザートストーマー (Desert Stormer) - BCスプリント
- ミストゥザストーム (Missed the Storm) - テストステークス
- ミストルキャット (Mistle Cat) - ヴィトリオディカプア賞
- 1991年産
- 1993年産
- 1994年産
- 1995年産
- 1996年産
- 1997年産
- 1998年産
- ブラックミナルーシュ (Black Minnaloushe) - アイリッシュ2000ギニー、セントジェームズパレスステークス
- レイジングフィーバー (Raging Fever) - フリゼットステークス、オグデンフィップスハンデキャップ、メイトロンステークス
- 1999年産
- 2000年産
- 2001年産
- 2002年産
- スウィートカトマイン (Sweet Catomine) - BCジュヴェナイルフィリーズ、デビュータントステークス
- コンソリデーター (Consolidator) - ブリーダーズフューチュリティ
- 2003年産
- アフターマーケット (After Market) - チャールズウィッテンガム記念ハンデキャップ、エディリードハンデキャップ
- ブルーグラスキャット (Bluegrass Cat) - ハスケルインビテーショナルハンデキャップ
- 2004年産
- ミスターシドニー (Mr.Sidney) - メーカーズマークマイルステークス
- 2005年産
- 2006年産
日本調教馬
母方の祖父馬(ブルードメアサイアー)としての主な孫馬
勝ち鞍はGI級競走のみ表記。
海外調教馬
日本調教馬
母の父としては、日本供用種牡馬のうち特にディープインパクトとの相性の良さが目立った。日本国外でも、仏ダービーを勝ったスタディオブマンが同配合で[2]、また仏1000ギニーを勝ったディープインパクト産駒ビューティーパーラーも母父父にはストームキャットを持っている[3]。サラブレッド血統センターの藤井正弘は、これを「当代随一のGI馬製造ニックス」と紹介している[4]。
血統表
母ターリングアはアメリカで重賞5勝。半妹にアメリカで重賞3勝のチャペルオブドリームズがいる。現在種牡馬になっているロイヤルアカデミー(ジュライカップ、ブリーダーズカップ・マイル優勝)とパンチョヴィラ(アメリカで重賞3勝)はターリングアの半弟にあたる。
脚注
注釈
出典
関連項目
参考
Leading Sire Storm Cat Dies at Age 30
外部リンク