ジェイレン・マーセレス・ブラウン(Jaylen Marselles Brown, 1996年10月24日 - )は、アメリカ合衆国ジョージア州マリエッタ出身のプロバスケットボール選手。NBAのボストン・セルティックスに所属している。ポジションはシューティングガードとスモールフォワードを兼任するスウィングマン。
経歴
生い立ち
ジョージア州マリエッタのジョセフ・ウィーラー高等学校(英語版)在学中から、全米級の選手として名を馳せ、同高校を州王者に導き、2015年のマクドナルド・オール・アメリカンゲームに出場した[2]。ベン・シモンズに匹敵する実力者として注目された[3]。大学はカリフォルニア大学バークレー校に進学[4]。1年生ながら先発で起用され、34試合の出場、平均14.6得点、5.4リバウンド、2.0アシストを記録し、Pac-12 のファーストチームとフレッシュマン賞を受賞した。
ブラウンは、大学で1年間プレーしただけで2016年のNBAドラフトにアーリーエントリーを表明[5]。全体3位という高評価を受けてボストン・セルティックスから指名された[6]。
ボストン・セルティックス
2016-17シーズン
1年目の2016-17シーズンはジェー・クラウダーの控えとして78試合で平均17.5分、6.6得点、2.8リバウンド、0.8アシスト、0.4スティールの成績を残した。
2017-18シーズン
2年目の2017-18シーズンは新人スモールフォワードのジェイソン・テイタムの台頭によりシューティングガードとして出場した。2017年10月18日、開幕戦のクリーブランド・キャバリアーズ戦でキャリアハイの25得点をマークした[7]。2017年11月18日に行われたアトランタ・ホークス戦でキャリア・ハイとなる27得点を記録、試合はセルティックスが110-99で勝利し連勝を15に伸ばした[8]。2018年3月8日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦でダンクを決めた後に勢い余って手が離れてしまい、後頭部をフロアに打ち付け脳震盪と診断された[9]。2週間(6試合)の離脱の後3月25日のサクラメント・キングス戦で復帰し19得点を記録、セルティックスが104-93で勝利した[10][11]。4月6日に行われたシカゴ・ブルズ戦でキャリア・ハイとなる32得点を記録、試合はセルティックスが111-104で勝利した[12]。4月17日のプレーオフ1回戦、対ミルウォーキー・バックスの2戦目でプレーオフでのキャリア・ハイとなる30得点を記録、試合は120-106で勝利した[13]。第4戦では34得点を記録したが107-102で敗れた[14]。第7戦で右ハムストリングを負傷して途中退場し、フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのカンファレンス準決勝第1戦を欠場し[15] し、残りの4試合も出場時間を少なめに抑えた。
2019-20シーズン
2019年10月22日、セルティックスと4年総額1億1500万ドルで契約延長した[16]。
2020-21シーズン
2020年12月30日、メンフィス・グリズリーズ戦にてキャリアハイの42得点・5リバウンド・4アシストを記録しチームは126-107で勝利した[17][18]。
2021年2月24日、自身初のオールスターゲームに選出された[19]。同年4月15日のロサンゼルス・レイカーズ戦にて、40得点を記録した[20]。キャリアベストシーズンを送っていたが、レギュラーシーズン終盤に左手首の靭帯損傷で手術を受けなければならなかったため、残りの4試合は欠場となり、プレーオフも全試合欠場となった[21]。
2021-22シーズン以降
2022年1月2日、オーランド・マジックとの対戦でキャリアハイを更新する50得点を記録した[22]。
2023年7月、5年総額で約3億400万ドルと、この時点までのNBA最高金額でチームとの契約を延長した[23]。
2023-24シーズン、イースタン・カンファレンス決勝、インディアナ・ペイサーズとの第2戦でプレーオフキャリアハイに並ぶ40得点を記録して勝利に貢献した[24]。カンファレンス決勝では合計4試合で1試合平均29.8得点、5.0リバウンド、3.0アシスト、2.0スティールを記録するなど、チームのファイナル進出に貢献し、イースタン・カンファレンス決勝のMVPに選出された[25]。同年シーズン、ダラス・マーベリックスとのファイナルで5試合平均20.8得点、5.4リバウンド、5.0アシストを記録するなど[26]、自身初のNBAチャンピオンとファイナルMVPを獲得した。
プレースタイル
ディフェンスでは、基本的に相手エースをマークする役割を担っている。DIFF(ある選手がDFした選手のシーズン平均FG%とDFG%の差)3P △5.0%、2P △4.9%とマークされた相手はFG%を平均よりも5%落としている。ボールを奪うディフェンスではなく、シュートを落とさせるディフェンスを行う[27]。
個人成績
NBA
レギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2016–17
|
BOS
|
78 |
20 |
17.2 |
.454 |
.341 |
.685 |
2.8 |
.8 |
.4 |
.2 |
6.6
|
2017–18
|
70 |
70 |
30.7 |
.465 |
.395 |
.644 |
4.9 |
1.6 |
1.0 |
.4 |
14.5
|
2018–19
|
74 |
25 |
25.9 |
.465 |
.344 |
.658 |
4.2 |
1.4 |
.9 |
.4 |
13.0
|
2019–20
|
57 |
57 |
33.9 |
.481 |
.382 |
.724 |
6.4 |
2.1 |
1.1 |
.4 |
20.3
|
2020–21
|
58 |
58 |
34.5 |
.484 |
.397 |
.764 |
6.0 |
3.4 |
1.2 |
.6 |
24.7
|
2021–22
|
66 |
66 |
33.6 |
.473 |
.358 |
.758 |
6.1 |
3.5 |
1.1 |
.3 |
23.6
|
2022–23
|
67 |
67 |
35.9 |
.491 |
.335 |
.765 |
6.9 |
3.5 |
1.1 |
.4 |
26.6
|
2023–24
|
70 |
70 |
33.5 |
.499 |
.354 |
.703 |
5.5 |
3.6 |
1.2 |
.5 |
23.0
|
通算
|
540 |
433 |
30.2 |
.480 |
.364 |
.720 |
5.3 |
2.4 |
1.0 |
.4 |
18.6
|
オールスター
|
3 |
0 |
24.6 |
.629 |
.452 |
.333 |
9.0 |
3.0 |
1.7 |
.0 |
31.0
|
プレーオフ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2017
|
BOS
|
17 |
0 |
12.6 |
.479 |
.217 |
.667 |
2.1 |
.8 |
.4 |
.1 |
5.0
|
2018
|
18 |
15 |
32.4 |
.466 |
.393 |
.640 |
4.8 |
1.4 |
.8 |
.6 |
18.0
|
2019
|
9 |
9 |
30.4 |
.506 |
.350 |
.767 |
5.8 |
1.1 |
.7 |
.2 |
13.9
|
2020
|
17 |
17 |
39.5 |
.476 |
.358 |
.841 |
7.5 |
2.3 |
1.5 |
.5 |
21.8
|
2021
|
左手首の靭帯損傷の為不出場
|
2022
|
24 |
24 |
38.3 |
.470 |
.373 |
.763 |
6.9 |
3.5 |
1.1 |
.4 |
23.1
|
2023
|
20 |
20 |
37.6 |
.496 |
.354 |
.689 |
5.6 |
3.4 |
1.1 |
.4 |
22.7
|
2024
|
19 |
19 |
37.2 |
.516 |
.327 |
.660 |
5.9 |
3.3 |
1.2 |
.6 |
23.9
|
通算
|
124 |
104 |
33.2 |
.486 |
.356 |
.723 |
5.6 |
2.4 |
1.0 |
.4 |
19.1
|
カレッジ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2015–16
|
UCバークレー
|
34 |
34 |
27.6 |
.431 |
.294 |
.654 |
5.4 |
2.0 |
.8 |
.6 |
14.6
|
人物
菜食主義者であり、スペイン語の学習、歴史の研究、瞑想、哲学など、さまざまな興味を持っており、他のスポーツではサッカーの大ファンである。また、とても賢く、大学在学中には大学院レベルのコースを受講したりするなど、NBAでプレーするには「頭が良すぎる」と言われ、ドラフト前になると一部のスカウトからブラウンはバスケットボールに飽きて、代わりに他のキャリアを積む道に進むことを選択するのではないかと心配されていた[28]。またこの出来事は、アフリカ系アメリカ人に対する人種的偏見として一部の人に受け止められた[29][30]。
22歳の時に、NBA選手会最年少で副会長に就任した。また、2018年にはハーバード大学とMITで教育と技術の重要性について講演をしている[31][32]。
脚注
- ^ “Jaylen-Brown”. draftexpress.com (2016年). 2021年1月5日閲覧。
- ^ 2015 McDonald's All-American rosters announced
- ^ Jaylen Brown scouting: Evaluating No. 2 class of 2015 prospect (VIDEO & PHOTOS)
- ^ Jaylen Brown commits to Cal
- ^ Jaylen Brown: The 2016 NBA draft’s Renaissance man
- ^ BostonGlobe.com
- ^ Celtics' Jaylen Brown: Posts 25 in season opener
- ^ “Irving, Brown help Celtics rally for 15th straight win” (英語). ESPN.com (2017年11月18日). 2018年2月17日閲覧。
- ^ “セルティックスのプレイオフ進出が確定、カイリー・アービングは「早い段階で決められて嬉しい」”. NBA Japan (2018年3月9日). 2018年5月13日閲覧。
- ^ “Rozier scores 33 as Celtics roll past Kings, 104-93” (英語). ESPN.com. ESPN (2018年3月25日). 2018年3月30日閲覧。
- ^ “Jaylen Brown scores 19 points in return from concussion” (英語). ESPN.com. ESPN (2018年3月25日). 2018年3月30日閲覧。
- ^ “Greg Monroe's triple-double lifts Celtics over Bulls 111-104” (英語). ESPN.com. ESPN (2018年4月6日). 2018年4月8日閲覧。
- ^ “Brown scores 30, Celtics roll to 120-106 win over Bucks” (英語). ESPN.com (2018年4月17日). 2018年4月18日閲覧。
- ^ “Tied up: Giannis' tip-in lifts Bucks over Celtics in Game 4” (英語). ESPN.com (2018年4月22日). 2018年4月23日閲覧。
- ^ “セルティックスのジェイレン・ブラウンが第2戦での復帰を宣言”. NBA Japan (2018年5月2日). 2018年5月13日閲覧。
- ^ “ジェイレン・ブラウン セルティックスと4年1億1500万ドルの延長契約合意 | NBA SWEETDAYS -最新ニュースやハイライト動画ブログ”. nba-sweetdays.com. 2020年5月6日閲覧。
- ^ Guest, Chris (December 30, 2020). “Jayson Tatum, Brad Stevens speak out on Jaylen Brown’s 42-point explosion”. ClutchPoints. January 2, 2021閲覧。
- ^ Maloney, Jack (December 31, 2020). “Jaylen Brown's continued improvement on full display in Celtics win, drops career-high 42 points vs. Grizzlies”. CBS Sports. January 2, 2021閲覧。
- ^ “Jayson Tatum, Jaylen Brown officially named 2021 NBA All-Star reserves” (英語). Celtics Wire (2021年2月24日). 2021年5月10日閲覧。
- ^ “Jaylen Brown scores 40, Celtics beat Lakers 121-113”. ESPN.com (April 15, 2021). May 3, 2021閲覧。
- ^ “Jaylen Brown injury update: Celtics All-Star has wrist surgery, expected to resume activities in three months”. CBS Sports (May 13, 2021). 2021年6月28日閲覧。
- ^ “Jaylen Brown scores career-high 50 points to fuel Boston Celtics' comeback OT win over Orlando Magic” (英語). ESPN (January 2, 2022). March 18, 2024閲覧。
- ^ “NBA史上最高額…ブラウンがセルティックスと5年総額428億円超えの契約に合意”. バスケットボールキング (July 26, 2023). April 27, 2024閲覧。
- ^ “Brown matches career playoff high with 40 points, Celtics beat Pacers to take 2-0 lead in East” (英語). AP (May 24, 2024). May 27, 2024閲覧。
- ^ “「全く期待していなかった」ジェイレン・ブラウンがイースト決勝のMVPに選出”. バスケットボールキング (May 29, 2024). June 2, 2024閲覧。
- ^ “セルティックスのジェイレン・ブラウンがファイナルMVP受賞…テイタムとともにチームをけん引”. バスケットボールキング (June 18, 2024). June 18, 2024閲覧。
- ^ “ジェイレン・ブラウンがお気に入りの理由 – NBAのデータ見ながら語ります!”. 2021年2月18日閲覧。
- ^ Spears, Marc J. (May 25, 2016). “Jaylen Brown: The 2016 NBA draft's Renaissance man”. July 4, 2016閲覧。
- ^ Seehafer, Lucas (June 3, 2016). “Jaylen Brown, Intelligence, and Racial Bias”. Canis Hoopus. http://www.canishoopus.com/2016/6/3/11842216/nba-draft-jaylen-brown-racial-bias 12 August 2016閲覧。
- ^ “Jaylen Brown Is Not "Too Smart"”. Check Down Sports (June 29, 2016). 21 August 2016閲覧。
- ^ “Askwith Essentials: Who Is Jaylen Brown?”. Harvard Graduate School of Education (2018年2月17日). 2021年6月28日閲覧。
- ^ “JJaylen Brown Embraces Local Leadership Role: “I’m a Bostonian Now””. nba.com (2021年3月5日). 2021年6月28日閲覧。
外部リンク
関連項目 |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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