クリミア・タタール語 (クリミア・タタールご、Qırımtatar tili , къырымтатар тили , Qırımtatarca )は、クリミア共和国 を中心に居住するクリミア・タタール人 によって話されるテュルク系言語 の1つ。クリミア語 (Qırım tili, къырым тили , Qırımca [ 3] )とも言われる。
クリミア・タタール人の民族離散の結果、ウズベキスタン 等の中央アジア諸国、トルコ 、ルーマニア 、ブルガリア にも話者が存在する。話者数は、クリミアに26万人、中央アジアに15万人と推計される。
言語系統は、テュルク諸語 のキプチャク語群に属し、同語群のクムク語 、カラチャイ・バルカル語 に近縁とされるが、オスマン帝国 との歴史的な関係から、トルコ語 からの影響が顕著に見られる。そのため、トルコ語が属するオグズ語群とキプチャク語群の中間として分類する場合もある。
他のテュルク系諸言語 と同様に膠着語 であり、母音調和 の特徴を持つ。語彙はアラビア語 、ペルシア語 、トルコ語 、ロシア語 からの借用語が多い。
クリミア・タタール語
方言
キプチャク系の北方方言(ノガイ方言)、オグズ系の沿岸方言(ヤルボイル方言)、両者の特徴を併せ持つ中央方言の3方言に分類される。現在の文章語は、中央方言に基づいている。ルーマニアではルーマニア・タタール語 という下位言語が話されている。
また、クリミアのユダヤ教徒の間で話されるクリムチャク語 、キリスト教徒(en:Urums )の間で話されるウルム語 は、クリミア・タタール語の下位言語であると考えられている。
正書法
20世紀初頭まで、クリミア・タタール語はアラビア文字 により記述され、当時のオスマン語 の影響を強く受けた文章語が使われていた。1928年にラテン文字 のアルファベットによる正書法が制定されたが、1938年には、キリル文字 による正書法に改められた。ソ連邦の崩壊後、クリミア・タタール人の民族意識の高揚により、ラテン文字による新正書法が制定された。2014年のクリミア併合 以降は、ウクライナ国内では主にラテン文字、被占領下にあるクリミア やロシア領内では、ロシア国内法に従いキリル文字による表記となっている。他方、2021年、ウクライナ政府は、クリミア・タタール語のラテン文字を正式に制定した[ 4] 。
IPA
а
b
c
ç
d
e
f
g
ğ
h
ı
i
j
k
l
m
n
ñ
o
ö
p
q
r
s
ş
t
u
ü
v
y
z
[a]
[b]
[ʤ]
[ʧ]
[d]
[e]
[f]
[g]
[ɣ]
[x]
[ɯ]
[i, ɪ]
[ʒ]
[k]
[l]
[m]
[n]
[ŋ]
[o]
[ø]
[p]
[q]
[r]
[s]
[ʃ]
[t]
[u]
[y]
[v, w]
[j]
[z]
Ââ は、子音の口蓋化を表記するために用いられる。
(例:oktâbr - октябрь. )
脚注
関連項目
外部リンク