キュティッソーロス(古希: Κυτίσσωρος, Kytissōros)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してキュティッソロスとも表記される。プリクソスとコルキスの王アイエーテースの娘カルキオペーとの子で、アルゴス、プロンティス、メラース[1][2]、プレスボーンと兄弟[3][4][5]。母親をアイエーテースの娘イオポッサとする説もある[6][7]。
神話
ロドスのアポローニオスの叙事詩『アルゴナウティカ』によると、彼ら兄弟はコルキスで死去したプリクソスの遺言に従い、祖父アタマースからプリクソスの遺産を継承するためにオルコメノスへの帰国を試みたが[8][9]、アレースの島近くを航海中に嵐に遭い、荒波に船を破壊されて島の海岸に打ち上げられ、アルゴナウタイたちに助けられた[10]。その後、アルゴナウタイをコルキスに案内した後、彼らとともにギリシアに帰国した。
ヘロドトスによると、帰国したキュティッソーロスはアタマースが生贄として殺されそうになっているのを発見して助け出した。しかしこの行為のためにキュティッソーロスはゼウスの怒りをかった。そこで人々はキュティッソーロスの子孫の長男が市会堂(プリュタネイオン)に入るのを禁じた。そしてもし入るのを発見されたら、生贄として殺されるときまで、市会堂の中にいなければならなかった。このため発見された者の多くは国外に逃亡したが、帰国し再び市会堂に入るのを発見されたら、行列の中に引き出されて殺されたという[11]。
系図
脚注
- ^ ロードスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1155行-1156行。
- ^ アポロドーロス、1巻9・1。
- ^ エピメニデース断片12(ロードスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
- ^ パウサニアス、9巻34・8。
- ^ パウサニアス、9巻37・1。
- ^ アクーシラーオス断片25(ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
- ^ ヘーシオドス断片193。『大エーホイアイ』(ロードスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
- ^ ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1095行-1096行。
- ^ ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1152行-1153行。
- ^ ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1097行-1230行。
- ^ ヘロドトス『歴史』7巻197。
参考文献
関連項目