グライアイ(古希: Γραῖαι, Graiai, 羅: GraiaeもしくはGraeae)は、ギリシア神話に登場する3姉妹の怪物である。「老婆たち」の意。この名前は複数形で、単数形はグライア。
海神ポルキュースとその妻ケートーの間に生まれた姉妹で[1][2]、グライアイはペムプレードー(「意地悪な」の意)、エニューオー(戦闘を好む)、デイノー(恐ろしい)を指す[3]。ゴルゴーンの姉妹にあたり、ポルキュアス、フォルキュアスともいう。
概要
グライアイは生まれたときから灰色の髪をしていたために、神々も人間も彼女たちをグライアイ(老婆たち)と呼んだ[4]。1つしかない歯と目を姉妹で共用しているとされる[3]。一説によれば白鳥の翼と胴体を持っていたとされる[5]。オーケアノスのかなたのゴルゴーンの国の入り口にある岩屋に住んでいるとされる。
ヘーシオドスはグライアイはペムプレードー、エニューオーの2人とする[6]。アポロドーロスはペムプレードー、エニューオー、デイノーの3人[3]、ヒュギーヌスはペムプレードー、エニューオー、ペルシスの名前を挙げ、さらにペルシスの代わりにデイノーンを加えることがあると述べている[7]。
# |
名前 |
綴り(希) |
綴り(羅) |
Hesi |
Ap |
Hy |
Hy
|
1
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ペムプレードー |
Πεμφρηδώ |
Pemphrēdō |
○ |
○ |
○ |
○
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2
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エニューオー |
Ἐνυώ |
Enȳō |
○ |
○ |
○ |
○
|
3
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デイノー デイノーン |
Δεινω |
Deinō Deinōn |
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○ |
○ |
|
4
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ペルシス |
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Persis |
|
|
|
○
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グライアイはヘルメースとアテーナーの案内でやってきたペルセウスの訪問を受けた。ペルセウスはメドゥーサ退治のために必要なものがあったので(翼のあるサンダル、キビシス、ハーデースの帽子)、それを持っているニュムペーたちの居場所を聞くために立ち寄ったのである。彼女たちは当初は教えなかったが、たった1つしかない目をペルセウスに奪われてしまい、ニュムペーの居場所を教えるのと引き換えに取り戻した[3]。またペルセウスは自分のことをゴルゴーンに告げに行かせないために、奪った目玉をトリートーニス湖に投げ入れたともいう[8]。
後世の影響
系図
脚注
- ^ ヘーシオドス、270行-271行。
- ^ アポロドーロス、1巻2・6。
- ^ a b c d アポロドーロス、2巻4・2。
- ^ ヘーシオドス、271行-272行。
- ^ ロバート・グレーヴス、33話c。
- ^ ヘーシオドス、273行。
- ^ ヒュギーヌス、序文。
- ^ ヒュギーヌス『天文論』2巻12話。
参考文献
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