希望の轍

希望の轍
サザンオールスターズ楽曲
収録アルバム稲村ジェーン
リリース1990年9月1日
規格12cmCD
デジタル・ダウンロード
ストリーミング
録音VICTOR STUDIO
MUSIC INN STUDIO
ジャンルロック
時間4分12秒
レーベルタイシタレーベル
作詞者桑田佳祐
作曲者桑田佳祐
プロデュース桑田佳祐
小林武史
その他収録アルバム
チャート順位
  • ゴールド(ストリーミング、日本レコード協会)[3]
稲村ジェーン収録順
稲村ジェーン
(1)
希望の轍
(2)
忘れられた Big Wave
(3)
ライブ映像
「希望の轍」(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018) - YouTube

希望の轍」(きぼうのわだち)は、サザンオールスターズの楽曲。1990年平成2年)9月1日に発売された映画『稲村ジェーン』のサウンド・トラック『稲村ジェーン』の2曲目に収録されている。作詞・作曲は桑田佳祐、編曲は桑田佳祐&小林武史が担当。

1998年5月22日2008年12月3日にCDとして再発売されている。2014年12月17日からはダウンロード配信、2019年12月20日からはストリーミング配信が開始されている[4][5]

現在は公式サイトでサザンオールスターズの楽曲として扱われているが、名義等に関しては後述とする[6]

背景

1990年に公開された桑田の監督映画『稲村ジェーン』のサウンドトラックアルバム『稲村ジェーン』に収録された楽曲。アルバム自体はサザンオールスターズ名義での既発表曲も収録されているが、本楽曲に関しては「稲村オーケストラ」としてアーティスト名が表記されているように、サザンオールスターズのメンバーでレコーディングに参加しているのは桑田のみである[7][8]。レコーディングこそ桑田以外のサザンのメンバーは参加していないが、サザンのライブで披露する際には原由子がイントロのピアノを担当している[9]

桑田のソロライブでも披露されており、2007年の桑田のソロコンサートツアー『呼び捨てでも構いません!!「よっ、桑田佳祐」SHOW』の横浜アリーナ最終公演では、アンコールで「祭りのあと」が演奏され、サポートメンバーが退場した後に桑田1人が残りギター1本でこの曲が演奏された[10]。『MUSICMAN』に収録されている「それ行けベイビー!!」は、この時の演奏法を参考にしている[11]東日本大震災から一週間が過ぎた2011年3月19日に放送された自身のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM)ではギター弾き語りで本楽曲を歌い、番組の最後に「日本の国民のみなさんは素敵で優しい人たちだと思う。この国に生まれて良かったなと思います」「今この時こそみんなの力を信じる」と発言して被災者を励ました[12]。同年のソロライブ『宮城ライブ 〜明日へのマーチ!!〜』のアンコール最終曲としても演奏されており、桑田の呼びかけで会場全員が合唱した[13]。また、同年の『桑田佳祐ライブin神戸&横浜〜年忘れ!!みんなで元気になろうぜ!!の会〜』では、最終日の横浜アリーナ公演で、2007年同様に桑田1人でこの曲が演奏された[14]

2018年の大晦日に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』ではサザンとして特別枠で出場し、大トリとして「勝手にシンドバッド」と共に披露された[15]

ライブでこの曲を歌う際、テンポが速くなる。また2番の「Baby love」をシャウトさせて歌う[16]

1999年に行われたツアー「Se O no Luja na Quites」では本来の歌詞の後に歌詞が追加された。

メディア・公共交通機関・イベントでの使用

タイアップとしての使用

JR茅ケ崎駅の発車メロディ

2000年に、茅ヶ崎市当局や茅ヶ崎市民の尽力もあって、サザンオールスターズの『茅ヶ崎ライブ』が実現したこともあり、JR茅ケ崎駅の発車メロディにサザンオールスターズの曲を導入しようという動きが、茅ヶ崎市民の中で浮上した。地元商工会議所が実施したアンケートでは導入希望曲として、「希望の轍」に最も票が集まる結果となり、この結果を以て、商工会議所は正式にJR東日本に要望を出したが、当時のJR東日本はこの要望を却下した[20]

その後、再びサザンオールスターズの曲を茅ケ崎駅の発車メロディに導入する動きが2014年に再燃。茅ヶ崎商工会議所青年部の署名活動で集められた、1万件を超える署名とアンケートが2014年9月にJR東日本に提出され、これを請けて2014年10月1日より茅ケ崎駅東海道線ホームの発車メロディに採用された[21]

このバージョンは2023年の茅ヶ崎ライブに伴って臨時運行された「特急えぼし号」の茅ヶ崎発着時の車内放送前の案内メロディにも使われた。

ツール・ド・東北 2023

2023年9月16日・17日に開催を予定している自転車イベント『ツール・ド・東北 2023』のイメージソングに起用されることが同年7月13日に発表された。これは「輝かしい未来に向かっていく現在の東北の姿や、前へ前へと進み続ける自転車イベントのイメージにマッチする」という考えから、「記念すべき10回目の大会を彩ってくれる曲」として使われることになったという[22]

評価

ファンからの人気が高く、2008年のライブ『真夏の大感謝祭』でファンを対象に投票を募ったリクエストランキングで2位になっている[23]

エピソード

サビの歌詞中に登場する「エボシライン」は茅ヶ崎市烏帽子岩を望む国道134号を指しているといわれる[24][25]

漫画家の臼井儀人はサザンのファンであり、漫画クレヨンしんちゃん』内で一部ながら本楽曲の歌詞を載せた回が存在する[26][27]

ゴールデンボンバーの楽曲「TSUNAMIのジョニー」は「TSUNAMI」と桑田がソロで発売した「波乗りジョニー」の曲調や歌詞が元ネタとなっているが、イントロは本楽曲をパロディ化している[28]

桑田は監督業もあり多忙で仮に小林がデモを作成することがあった。この曲のイントロも、さらにダビングするつもりで仮にピアノのみで制作し桑田に提示したところ、「これでいいじゃん」となり採用となった。[29][30]

参加ミュージシャン

(オリジナルの記載に従う)

収録アルバム

曲名 作品名 備考
希望の轍 稲村ジェーン
HAPPY! 数量限定のため、現在は廃盤。
海のYeah!!
バラッド3 〜the album of LOVE〜

ライブ映像作品

曲名 作品名 備考
希望の轍 歌う日本シリーズ 1992〜1993 LIVE at YOKOHAMA ARENA 29th Dec.1992
ホタル・カリフォルニア
平和の琉歌 〜Stadium Tour 1996 "ザ・ガールズ万座ビーチ" in 沖縄〜 DVD版のエクストラメニュー「Stadium Tour 1996 "ザ・ガールズ万座ビーチ"」に一部のみ収録。
1998 スーパーライブ in 渚園
SUMMER LIVE 2003「流石だスペシャルボックス」胸いっぱいの “LIVE in 沖縄” & 愛と情熱の “真夏ツアー完全版”
FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME
ap bank fes '06 桑田とBank Bandによるセッション。
桑田さんのお仕事 07/08 〜魅惑のAVマリアージュ〜 桑田佳祐ソロ名義の作品。エレキギターの弾き語りでの歌唱。
真夏の大感謝祭 LIVE
桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜 あいなめBOX 桑田佳祐ソロ名義の作品。DISC 5「♯19 桑田佳祐&SUPER MUSIC TIGERS 野外ライブ In 山中湖」及び特典映像DISC「サザンオールスターズ SPECIAL LIVE IN 建長寺」に収録。
宮城ライブ 〜明日へのマーチ!!〜 桑田佳祐ソロ名義の作品。
SUPER SUMMER LIVE 2013 「灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!」 胸熱完全版
LIVE TOUR 2019 “キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!” だと!? ふざけるな!! 同名のツアーを収録した共通盤及び『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』での歌唱シーンを収録した完全生産限定盤のボーナスディスクに収録。
茅ヶ崎ライブ2023

カバー

  • ザ・ベンチャーズ 『プレイズ・サザンオールスターズ~TSUNAMI』(2001年5月16日)
    • 9.
  • V.R.『BIG SHOT〜Japanese Authentic Ska & Rock Steady Bands Convention』 (2003年2月19日)
    • 1.Big Shot All Stars 「希望の轍」
  • BEAT CRUSADERSMUSICRUSADERS』(2005年9月7日)
    • 17.
  • 中村あゆみ『VOICE II』(2009年6月24日)
    • 6.
  • 加山雄三『若大将・湘南FOREVER』(2012年1月11日)
    • 8.

脚注

注釈

  1. ^ 2001年に使用された。
  2. ^ ドラマが放送された2003年に使用された。

出典

  1. ^ サザンオールスターズのデジタルシングル売上TOP9作品 オリコン 2022年11月14日閲覧。
  2. ^ Billboard Japan Hot 100 2013年7月3日公開 Billboard JAPAN 2022年8月15日閲覧。
  3. ^ 2024年8月29日の投稿サザンオールスターズ official 2024年8月29日配信・閲覧
  4. ^ サザン、全266曲を世界111ヶ国で配信 オリコン 2014年12月17日配信, 2020年6月4日閲覧
  5. ^ サザン関連全972曲 サブスク一斉解禁 メンバーソロ曲も対象に オリコン 2019年12月20日配信, 2019年12月20日閲覧
  6. ^ 希望の轍 SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE 2018年10月3日閲覧
  7. ^ 希望の轍 SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE 2022年5月9日閲覧。
  8. ^ アーティスト 稲村オーケストラ レコチョク 2019年1月11日閲覧. 「希望の轍」が稲村オーケストラとして登録されていることが確認できる。"
  9. ^ サザンオールスターズ - 希望の轍「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018」 YouTube 2022年5月9日閲覧。
  10. ^ 2008年のライブビデオ『桑田さんのお仕事 07/08 〜魅惑のAVマリアージュ〜』DVD収録。
  11. ^ 『MUSICMAN』初回限定盤付録『MUSIC MANS NOTE』p82より。
  12. ^ 桑田佳祐と吉田拓郎との隠された過去。今日までそして明日から。 - Techinsight 2011年3月20日配信 2022年11月18日閲覧。
  13. ^ 震災から半年 桑田佳祐が被災地で復興ライブ 原由子も出演 オリコンスタイル 2011年9月12日配信 2021年4月21日閲覧。
  14. ^ 横浜カウントダウンで「MUSICMAN」全曲披露 桑田佳祐、横浜カウントダウンで「MUSICMAN」全曲披露音楽ナタリー 2012年1月1日配信 2021年4月21日閲覧。
  15. ^ 【紅白】サザン、お祭り騒ぎで平成最後の紅白締め ユーミンとキス&“胸さわぎの腰つき”も オリコン 2019年1月1日閲覧
  16. ^ サザンオールスターズ - 希望の轍 [Live at ROCK IN JAPAN FESTIVAL, 2018]”. YouTube. 2024年3月27日閲覧。
  17. ^ 「真夏の果実」「希望の轍」が生まれた桑田佳祐監督作品『稲村ジェーン』30年ぶりに発売 オリコン 2021年4月22日配信, 2022年8月19日閲覧。
  18. ^ a b c 希望の轍 (サザンオールスターズ) ドワンゴジェイピー 2022年8月19日閲覧。
  19. ^ サザンオールスターズ「希望の轍」が流れるユニクロの「パラシュートパンツ」新TVCMが公開スタート!”. サザンオールスターズ公式サイト (2024年1月29日). 2024年1月29日閲覧。
  20. ^ サザンでGO!茅ヶ崎駅に変革? 発着音をサザンの曲にスポーツ報知、2001年4月28日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  21. ^ “JR茅ケ崎駅、巡る巡るサザン 発車メロに「希望の轍」”. 朝日新聞デジタル. (2014年9月25日). http://www.asahi.com/articles/ASG9S35FMG9SULOB008.html 2014年9月25日閲覧。 
  22. ^ 第10回記念大会「ツール・ド・東北 2023」、大会イメージソングとしてサザンオールスターズ「希望の轍」が使用されることが決定!PR TIMES 2023年7月13日配信・閲覧。
  23. ^ 2008年のライブ・ビデオ『真夏の大感謝祭 LIVE』初回限定盤封入 BONUS DVD “-サザン'08「夏」ドキュメント- 完全版 + I AM YOUR SINGER MOVIE”より。
  24. ^ 佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉2014年 P239-240「都会の道」より。
  25. ^ 希望の轍 / サザンオールスターズオリコンミュージックストア 2022年5月15日閲覧
  26. ^ 『クレヨンしんちゃん』単行本24巻収録。
  27. ^ 臼井儀人に関する6の事実!「クレしん」映画で声優デビューしていた!?ホンシェルジュ 2021年11月25日配信 2022年5月19日閲覧。
  28. ^ “『女々しくて』以前のゴールデンボンバーが作っていた大御所パロディ曲、知ってる?”. snacc (株式会社snacc). (2018年11月25日). https://snaccmedia.com/2018/11/post-684/ 2020年11月13日閲覧。 
  29. ^ 2024/9/26 TOKYO FM 「ラジオのタマカワ」より
  30. ^ サザン及び桑田佳祐の音楽を変えた!小林武史の手腕とは?”. 2024年10月3日閲覧。

外部リンク