古市 憲寿(ふるいち のりとし、1985年〈昭和60年〉1月14日 - )は、日本の社会学者、作家。
略歴
東京都墨田区に生まれ、6歳で埼玉県川口市に引越した[3]。
埼玉県立越谷北高等学校卒業[4]。2003年慶應義塾大学環境情報学部にAO入試で入学[5]。2005年、ノルウェーのオスロ大学に交換留学(- 2006年)[6]。2007年、慶應義塾大学環境情報学部卒業[7]、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻相関社会科学コース修士課程に入学し、同コースを修了[8]。日本学術振興会育志賞受賞[9] 。2018年、初の小説「平成くん、さようなら」で第160回芥川龍之介賞候補[10]。2019年、「百の夜は跳ねて」で第161回同賞候補[11]。
役職
主張
- 若者の社会貢献志向、他者志向が強いことを肯定的に評価しながらも、彼らがコンサマトリー(=自己目的、自己完結)と呼ばれる世界の中で生きていると主張する。その上で、社会を変えたいならば「自己中」になることが時には必要だと提言している。「人権ってのはわがままのことなんです」という言葉を引用しながら、むしろ現代の若者はより「自己中」になるべきであり、それを調整することが政治の役目であると語っている[25]。
- 内閣府の調査などをもとに、現代における若者の生活満足度が高い一方で、「悩みや不安がある」若者も増加しているとして、「将来に希望を持てないからこそ、今に幸せを感じるという現象が起きているのではないでしょうか」と述べている[26]。
- 2014年1月にテレビ朝日『朝まで生テレビ!』が実施した靖国神社参拝の支持に関する視聴者アンケートにおいて、支持が71%、不支持が29%と、支持率が高いという結果になった。このことについて、アンケート結果はあくまでも番組視聴者の意見に過ぎず、統計的に意味のない数字であると主張している[27]。
- 2014年、朝日新聞が従軍慰安婦報道や福島第一原発の吉田証言報道などにおいて起こした問題により失われた信頼を回復するためとして朝日新聞社が発足させた「信頼回復と再生のための委員会」の外部委員に選出された[28]。この問題について、朝日新聞と読者とのズレを認識することが解決策であると述べている。その上で、世の中には多様な言論が必要であり、朝日新聞にはせめて20年は存続してもらわないと困るという立場を取っている[29]。
- 2015年、『保育園義務教育化』の中で、日本には親(特に母親)の人権が軽視されているとして、誰もが質の高い乳幼児教育を受けることの重要性を主張した。その根拠として非認知能力の向上と、事前配分の重要性を挙げている[30]。
- 2020年の博報堂教育財団こども研究所のインタビューでは、乳幼児段階での教育効果が高等教育よりも大きいことが教育経済学でも判明しているとして、乳幼児教育の拡充が非認知能力を高めるうえで最良の方策であると述べている。また現状の、誰にも無限の可能性があるという考えは子供に負担をかけているとして、子供の主体性を重んじ、好きなことや得意なことといった、個人の特性を伸ばすことが重要ではないだろうかと述べている[31]。
- 2018年、祖母の死をきっかけに、文芸雑誌に初めて小説短篇を発表する。「割り切れなさが残った。それを表現するには論文でもエッセーでもなく、「小説という形がしっくりきた」」が理由だという。またこれまでの著作との関連については「「違う社会のあり方を提示するのが社会学。もう一つの解釈を示すという意味では、これまで書いてきたことと今回の小説は、僕の中で隔たりはない」」と述べている[32]。
人物
家族
交友関係
嗜好
浜崎あゆみのデビュー以来の大ファンである。
本人曰く「あの頃のj-POPって『みんな頑張ろう』とか『もっと高く飛ぼう』とか明るい曲が多かった時代。ある種、90年代音楽業界、エンタメ的にはバブルで明るい雰囲気の中に急に浜崎あゆみの歌詞ってめっちゃくちゃ暗かったりとか、明るいだけではないみたいな、そういう事が印象的でしたね」
言動
- キス(接吻)を「唾液の交換」であるとし嫌悪している。そのことを社会学者の宮台真司から「クズの典型」[39]と評されている。
- 2022年 安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一協会に関するメディア放送に対して「一部で報道がヒートアップして旧統一教会批判が起こっているが、もちろん批判すべきことは批判すべきだし、犯罪行為糾弾は必要だが、あまりにヒートアップすると容疑者の目論みどおりになってしまう」とと、太田光氏と同じように疑義を呈した[40]。
- 2021年1月、内閣総理大臣(当時)の菅義偉とメディアアーティストの落合陽一と山本雄史産経新聞新プロジェクト本部次長が朝食を共にしたこと[41]を「テレワークを呼びかける側の政治家の代表とデジタルに詳しい2人が対面でご飯を食べているんだなって、すごい笑っちゃったんですけど。それぐらい、これまでの慣習を変えるのって難しいのかなって思っちゃったんですけど」と言及した[42]。その後、落合は「社会学者という肩書きの「クソ大学院生」にディスられる事態が発生.」[43]とTwitterに投稿。落合はこの経緯を報じた東京スポーツに対し編集部まで乗り込んで記事を削除させた[44]。後に落合は「一つだけ.僕の知る限り古市憲寿氏は既に大学院生ではなく,2年程度前には大学の籍を離れているかと思います.僕は「古市さん」の名前を挙示することはありませんが,彼のイメージと僕の発言を恣意的につなぎ「特定の個人の批判記事が作られること」は大変に遺憾であり,削除等の対応を求めています.」[45]とTwitterに投稿している。
著作リスト
単著
- 小説
共著
- 絵本
- (中居正広・劇団ひとり)『♪ピンポンパンポンプー』(マガジンハウス、2020年)
- (中居正広・劇団ひとり)『パリン グリン ドーン』(マガジンハウス、2022年)
- (中居正広・劇団ひとり)『Wピース』(マガジンハウス、2024年)
雑誌掲載
- 小説
- 「彼は本当は優しい」『文學界』2018年4月号
- 「平成くん、さようなら」『文學界』2018年9月号
- 「百の夜は跳ねて」『新潮』2019年6月号
- 「奈落」『新潮』2019年12月号
- エッセイなど
- 「僕たちコクーンジャパン」『ユリイカ』青土社、2010年
- 「ポスト1991」『g2』 vol.6 講談社、2010年
- 「東京ガールズコレクションの正体」『g2』 vol.7 講談社、2011年
- 「ちっぽけな男たちの物語」(『ユリイカ』山下敦弘監督特集)青土社、2011年
- 「佐藤健インタビュー 幸せな若者たちの時代」『g2』 vol.8 講談社、2011年
- 「昔に生まれなくて良かった。」『本』 2011年8月号
- 「大企業バッシング、不買運動に走る若者たち」『宣伝会議』2011年11月15日号
- 「20代の若者は現在の生活に満足」『週刊エコノミスト』2011年11月29日号
- 「アニメとリア充のあいだ」『Quick Japan』 99号、2011年
- (大野更紗との対談)「「幸福」な世代の新しい社会運動?」『POSSE』 vol.13 POSSE 2011年
- 「社会を降りて、社会を変える」『広告』 2012年1月号
- 「2012年のコミューンたち」『atプラス』11号
- (竹中平蔵との対談)「「幸福な若者」に迫る危機」『週刊東洋経済』臨時増刊2012年2月29日号
- 「なんで宇宙なんて行くの?」『新潮』2012年3月号
- (加藤嘉一との対談)「日本は本当に「絶望の国」なのか?」『Voice』2012年3月号
- 「ドラえもん読むのも仕事」『本の時間』2012年3月号
- 「リーダーなんていらない」『新潮45』2012年3月号
- 「「女性化」する日本」『新潮45』2012年4月号
- (鈴木謙介との対談)「日本のショッピングモールを語り尽くす」『宣伝会議』2012年4月15日号
- 「2042・終焉を待つ奇妙な幸福国家」『新潮45』2012年5月号
- 「戦争を知らない若者たち」『g2』Vo.10、2012年
出演
レギュラー
過去
- 朝まで生テレビ!(テレビ朝日、2012年2月26日未明〈25日深夜〉、2013年4月28日未明〈27日深夜〉他)- パネラー
- NEWS WEB 24(NHK総合 2012年度(2012年4月 - 2013年3月)火曜未明(月曜深夜)「ネットナビゲーター=コメンテイター」第1期生)- 『NEWS WEB』では祝日に出演。
- 情報プレゼンター とくダネ!(フジテレビ、2012年 - 2021年3月25日)- コメンテーター→スペシャルキャスター
- 新世代が解く!ニッポンのジレンマ(NHK Eテレ 2013年4月 - 2019年3月31日)- 司会
- 報道ステーション(テレビ朝日、2013年8月13日、2014年10月3日、2015年1月30日・4月19日・5月15日・8月28日・11月20日、2016年2月26日)- ゲストコメンテーター
- 新・週刊フジテレビ批評(フジテレビ)- コメンテーター
- あしたのコンパス(フジテレビ - ホウドウキョク、2015年4月 - 水曜アンカー)
- 古市ドア(フジテレビ、2016年3月29日)- MC(初の単独司会)
- FLAG7(フジテレビ - ホウドウキョク、2017年4月5日 - 2017年8月31日)- 水曜アンカー
- ふるいちくんのとんがり図鑑(2019年5月26日、フジテレビ) - 編集長(MC)
CM
- サントリー『クラフトボス スペシャルティ微糖』「新しい風・ブレンド」篇(2020年) - 新入社員 (※CM初出演)
- ソフトバンク『SoftBank 5G』「5Gってドラえもん?」 - 未来のスネ夫 役
- 「未来のジャイアン・スネ夫登場」篇(2020年)
- 「未来からの意見」篇(2021年)]
- 富士フイルムアスタリフト「列車のふたり セラミド」篇(2024年)
自治体PR
脚注
出典
外部リンク