バルザン級ミサイル艇(英語: Barzan Class Missile Boat)は、カタール海軍のミサイル艇の艦級[1]。イギリスのヴォスパー・ソーニクロフト(VT)社によって4隻が建造された[1][2]。
概要
本級は、1992年6月に4隻が発注され、1996年5月から1997年7月にかけて就役した。設計はVT社のヴィタ型高速戦闘艇(スーパー・ヴァイタ型とする資料もある[1])を採用しており、先行して建造されたニャヨ級(ケニア海軍)やドーファー級(オマーン海軍)をベースにしたものとなっている[2]。船体形状とナックルラインに特徴がある[4]。
船体は鋼鉄製、上部構造物はアルミニウム合金製である[1]。満載排水量は376t、全長56.3m、最大幅9m、喫水2.5mで、乗員は士官7名を含む35名である[1][2]。
兵装は、艦首にオート・メラーラ社(現在のレオナルド社)の「スーパーラピッド」76mm両用砲を、艦尾にはシグナール社(現在のタレス・ネーデルランド社)の「ゴールキーパー」30mmCIWSを搭載している[1][2][3]。また、上甲板の船楼端後方に「エグゾセ MM40 ブロック3」艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基を舷側に向けて設置している[1][2][3]。このほか、マスト後方に「ミストラル」艦対空ミサイル用のサドラル6連装発射機がある[1][2][3]。
レーダーは、ブリッジの上部にシグナール社の「スティング」I/Jバンド射撃管制レーダー、マストにトムソンCSF社(現在のタレス・ネーデルランド社)の「MRR」Gバンド対空/対水上捜索レーダーとケルビン・ヒューズ社(現在のヘンゾルトUK社)の「タイプ1007」Iバンド航海レーダーを搭載している[1][2]。また、C4Iシステムとして、シグナール社の「SEWACO FD」戦闘情報システムを搭載し、「リンクY」戦術データリンクを搭載している。電子戦・対抗装備としては、トムソンCSF社の「DR3000S」電波探知機とダッソー社の「サラマンドラ ARBB33」ECM装置、CSEE社の「ダゲー Mk2」チャフ/IRデコイ発射機がある[1][2]。
機関にはMTU社の「20V538 TB93」ディーゼルエンジン4基4軸(17,705hp)を搭載している[1][2]。機関系には就役当時としては先進的な制御監視システムを採用しており、主機・発電・補機はすべてブリッジ上のコンソールから乗員1名で制御が可能[1][2]。最大速力は35ノット、航続距離は12ノット時で1,800海里である[1][2]。
同型艦
脚注
出典