ヴィタ型高速戦闘艇(英語: Vita-class fast attack boat)は、イギリスのヴォスパー・ソーニクロフト社が輸出用に開発した高速戦闘艇のシリーズ。エジプト、ケニア、オマーン、カタールに輸出されたほか、タイ海軍のカムロンシン級コルベットやアメリカ海軍のサイクロン級哨戒艇のベースにもなった。
概要
まず1977年9月4日、エジプトがヴォスパー・ソーニクロフト社に対し、4隻のミサイル艇を発注した。これは同社の試作艇である高速哨戒艇「テナシティー」[注 1]をもとにした設計となっており、ラマダン級 (Ramadan-class missile boat) として就役した。
続いて1980年より、オマーンが改ラマダン級(ドーファー級; プロヴィンス型とも)の建造を発注し、計4隻が建造された。1984年9月には、ケニアも準同型艦2隻(ニャヨ級)を発注し、これは1987年・88年に進水した。1992年には、これらの艇の派生型として、カタールがバルザン級4隻を発注した。1990年からアメリカ海軍が発注を開始したサイクロン級哨戒艇も、ラマダン級をもとにした派生型となっている。
またこの他、タイが1987年に発注したカムロンシン級 (Khamronsin-class corvette) も、比較的低速で対潜戦に比重をおいたコルベットではあるが、ドーファー級の経験を踏まえた派生型となっている。さらに、ギリシャ海軍が2000年に発注したリュッセン級 (Roussen-class fast attack craft) も、カタール艦の発展型として、スーパー・ヴィタ型と称されている。
諸元表
同型艦一覧
運用国
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#
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艦名
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造船所
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進水
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就役
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エジプト海軍
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670 |
ラマダーン Ramadan
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ヴォスパー・ ソーニクロフト
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1979年 9月6日
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1981年 7月20日
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672 |
ハイバル Khybar
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1980年 1月31日
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1981年 9月15日
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674 |
エル・カーディシーヤ El Kadessaya
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1980年 2月19日
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1982年 4月6日
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676 |
エル・ヤルムーク El Yarmouk
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1980年 6月12日
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1982年 5月18日
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678 |
バドル Badr
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1981年 6月17日
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1982年 6月17日
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680 |
ヒッティーン Hettein
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1980年 11月25日
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1982年 10月28日
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オマーン海軍
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Z 10 |
ドファール SNV Dhofar
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1981年 10月14日
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1982年 8月7日
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Z 11 |
アル・シャルキーヤ SNV Al Sharqiyah
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1982年 12月2日
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1983年 12月5日
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Z 12 |
アル・バーティナ SNV Al Bat'nah
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1982年 11月4日
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1984年 1月18日
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Z 14 |
ムサンダム SNV Mussandam
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1988年 3月19日
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1989年 3月31日
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ケニア海軍
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P 3126 |
ニャヨ KNS Nyayo
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1986年 8月20日
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1987年 7月23日
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P 3127 |
ウモジャ KNS Umoja
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1987年 3月5日
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1987年 9月16日
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カタール海軍
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Q04 |
バルザン Barzan
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1995年 4月1日
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1996年 5月9日
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Q05 |
フワール Huwar
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1995年 7月15日
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1996年 6月10日
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Q06 |
アル・ウデイド Al Udeid
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1996年 3月21日
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1996年 12月16日
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Q07 |
アル・デーベル Al Deebel
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1996年 8月31日
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1997年 7月3日
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タイ海軍
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531 |
カムロンシン HTMS Kamronsin
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イタルタイ
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1989年 8月15日
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1992年 7月29日
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532 |
タイアンチョン HTMS Thayanchon
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1989年 12月7日
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1992年 9月5日
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533 |
ロンロム HTMS Longlom
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バンコク海軍工廠
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1989年 8月8日
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1992年 10月2日
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脚注
注釈
出典
参考文献
関連項目