換算プランク定数 ディラック定数 reduced Planck constant Dirac's constant |
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記号 |
ħ |
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値 |
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相対標準不確かさ |
ゼロ |
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語源 |
マックス・プランク ポール・ディラック |
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換算プランク定数(かんさんプランクていすう、英: reduced Planck constant)またはディラック定数(ディラックていすう、英: Dirac's constant)ħ は、プランク定数 h を 2π で割った値を持つ定数である。
数値
2019年5月20日に施行された新しいSIの定義では、プランク定数を定義値として定めることによって質量(キログラム)を定義している。このためディラック定数も定義値となり、不確かさのないものとなった。
その値は
である[1][2]。
ħ は「エイチ・バー」と読む。
物理的意義
物理的には、プランク定数が周波数 ν とエネルギー E の間の比例定数を意味するのに対して、換算プランク定数は角周波数 ω とエネルギー E の間の比例定数を意味する。すなわち、
の関係が成り立っている。また、以下のように運動量 p と角波数 k の間の比例定数と見ることもできる。
ディラック定数は原子単位系における作用の単位である。
角運動量
電子の軌道角運動量 L の大きさ |L| と z 成分 Lz は
と表され[3]:138,334頁[4]、ディラック定数を基本単位としていることが分かる。ここで、n を主量子数とすると、l は l = 0, 1, 2, 3, ⋯, n − 1 までの値を取る方位量子数[3]:335頁[4][5]、m は m = 0, ±1, ±2, ⋯, ±l の (2l + 1) 個の値を取る磁気量子数で[3]:138頁[4][6]、軌道角運動量を極座標 (r, θ, φ) で表わした場合の角部分が l、動径部分が m である[4]。また、電子のスピン角運動量は ±1/2ħ で[7]、量子力学の分野ではプランク単位系を用いることが多く、その場合の電子のスピンは ±1/2 と書き、この ±1/2 をスピン量子数と呼ぶ。
二原子分子の回転運動を表す際、J を回転量子数とすると、回転の角運動量の大きさは √J(J + 1)ħ、回転運動のエネルギーは BJ(J + 1) と表され、回転定数 B の中に B = ħ2/2I とディラック定数が現れる。ここで、I は分子の重心まわりの主慣性モーメントの非零成分である[3]:51頁。
不確定性原理
量子力学によって記述されるような物理現象の観測においては、不確定性原理によって位置の不確かさ Δx と運動量の不確かさ Δp の積 Δx⋅Δp、あるいはエネルギーの不確かさ ΔE と時間の不確かさ Δt の積 ΔE⋅Δt は、ħ/2 より小さくなることはないとして
と表される[3]:303頁[8]。
記号
ディラック定数には H にバーを付した Ħ の小文字 ħ が用いられることもあるが、Unicode には専用の文字 U+210F ℏ planck constant over two pi が用意されている。またTeXでは \hbar
コマンドが用いられる。
脚注
- 出典
参考文献
関連項目
外部リンク