グレートウーズ川(グレートウーズがわ、英語: River Great Ouse、もしくは単にウーズ川)は、イギリスのイングランド中部から東部を流れる河川。総延長230km、流域面積は3,400km2。セヴァーン川、テムズ川、トレント川に次いで、イギリスで4番目に長い川である[1]。
流路
イングランド中部の内陸部に位置するノーサンプトンシャー南西部のノーサンプトン丘陵を源流とする。ブラックリー(英語版)を通過後は東ないし北東へ流れる。バッキンガムシャー北部のバッキンガム(英語版)、ついでミルトン・キーンズ付近を通過後、屈曲しながらベッドフォードシャーに入り、ベッドフォードの市街地を貫流。さらに北東へ流れてケンブリッジシャーに入り、ハンティンドン、セント・アイヴス(英語版)を通過。ここで旧ベッドフォード川(英語版)と新ベッドフォード川(英語版)という2本の並走する運河が分岐する。本流はそこからフェンズ(英語版)の大低地へ流入して蛇行を始める。ケム川(英語版)と合流した後は北流しイーリーを通過、ラーク川(英語版)やリトルウーズ川(英語版)を合わせ、先に分岐した2運河と再合流する。ノーフォークにてキングズ・リンを流れ、北海の一部であるウォッシュ湾(英語版)に流入する[1][2][3][4][5]。
特徴
ウォッシュ湾の南に広がる中・下流部は、東部イングランドの中でフェンズ(英語版)と呼ばれる広大な低地帯(湿地帯)であり、フェンズ東部を流れるグレートウーズ川が古くから排水や水運の重要な役割を担ってきた。下流部は河床の勾配がきわめて小さく、流路はほぼ全て人工的に河川改修されている。中でも17世紀にベッドフォード川と呼ばれる新旧2本の直線運河が開削されたことで土地の改良が進み、以後のフェンズはイギリスの穀倉地帯へ変化を遂げた。またベッドフォード川は捷水路としても重要で、運河の起点であるアーリス(英語版)からの流路長は、イーリーを経由する本流に比べて3分の1以上短縮された[1][2][4]。
流域では砂利の採取や魚釣りが盛ん。船舶の遡航はベッドフォードまで可能である。感潮河川であり、河口から約26キロメートルにあるデンバー(英語版)まで潮の影響を受ける[2][4]。
流域の一部はカモやオオハクチョウ、アカアシシギなど多くの鳥類にとって重要な越冬地や繁殖地となっており、ウーズ・ウォッシュ(英語版)としてイギリスの特別科学関心地区(英語版)(SSSI)に指定されているほか、ラムサール条約にも登録されている(登録番号77)[6][7]。
語源
「ウーズ」の語源はケルト語もしくはケルト祖語で「水」あるいは「ゆっくりと流れる川」を表すUdso-sに由来するとされる[8][9] 。
沿岸の主要都市
上流から記載
主な支流
上流から記載
ギャラリー
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ケム川との合流点。
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キングズ・リンと河口部の空撮。
脚注
参考文献
- 『世界地名大事典 4 ヨーロッパ・ロシア〈ア-コ〉』 朝倉書店、2016年、1061-1062頁「グレートウーズ川」項(手塚章著)。
- 『日本大百科全書 3』 小学館、1985年、112頁「ウーズ川」項(小池一之著)。
- 『世界大百科事典 3』 平凡社、1988年初版/2007年改訂新版、245頁「ウーズ[川]」項(長谷川孝治著)。
- 『ブリタニカ国際大百科事典 1 小項目事典』 TBSブリタニカ、1974年初版/1991年第2版改訂、580頁「ウーズ川」項。
- 『コンサイス 外国地名事典 〈第3版〉』 三省堂、1998年、110頁「ウーズ川」項。
関連項目