『ガチンコ!』は、TBS系列で1999年(平成11年)4月13日から2003年(平成15年)7月29日まで放送されたバラエティ番組、リアリティ番組である。
1999年の春改編で『うたばん』が木曜夜8時枠に移動し、木曜夜8時の毎日放送制作枠が水曜夜7時枠に移動したことを受け、それらの枠と入れ替わる形で放送を開始した。
番組開始当初はTOKIOのメンバーが司会となり、様々な社会問題に体当たりし、「世の中のためになろう」というコンセプトで色々な職人やプロを養成するという企画を行っていた[1][注 1]。主に不良少年を集めてプロボクサーをスパルタ風に育成するという建前の「ガチンコ・ファイトクラブ」が始まった2000年から番組の方向性が固まり、垂木勉(番組開始当初から担当していた)のナレーションによる「と、その時!」や「一体どうなってしまうのか!?」などの独特の言い回しやテロップの数々、参加者の不良達による罵声やつかみ合いが頻繁に始まり、すぐに乱闘騒ぎへと発展する描写が視聴者に受け、真剣勝負を意味する相撲界の隠語である「ガチンコ」という言葉が広く知れ渡るようになった。特に2000年前半は、裏番組の『人気者でいこう!』(ABCテレビ制作 テレビ朝日系)のコア企画の芸能人格付けチェックが週一コーナーとなり、人気を呼び、互角な戦いを繰り広げた。
放送当時は高視聴率を記録し続けて人気番組となった反面、やや過激な場面が度々見られ、それらに対して苦情が寄せられたり、出演者の品の無い態度や言葉遣いなどから低俗番組と批判されることも多かった。また、出演者の口調は拙い物であることが多く、過激な演出と相まって真実に見せかけた虚構の内容の多い「やらせ番組」として広く認識されることになった。「ファイトクラブ」「ラーメン道」など人気コーナーはシリーズ・派生化されることもあった。スタッフが『学校へ行こう!』と一部共通であり、ドッキリ企画や末期の旅企画など企画の流用もあった。
深夜番組では一般的だった番組ロゴの常時表示をはじめてゴールデンタイムに取り入れたのもこの番組である(番組ロゴの表示位置は画面左上)。
なお、当番組のBGMの大半がヘヴィメタルばかりだったためか、ヘヴィメタル専門誌『BURRN!』の編集長である広瀬和生のインタビューによれば「マニア向けの楽曲ばかり流れる、良くも悪くもとんでもない番組だ」と評されたこともあった。劇中BGMは、番組の公式ウェブサイトで毎回楽曲リストを掲載していた[2]。BGMの中にはTOKIOに楽曲を提供したことのある清水昭男が在籍しているANTHEMのHEAVY METAL ANTHEMが流れた事もある[3][4]。
「ファイトクラブ」で取材先の責任者である竹原の腰に、“台本らしきもの”が挟まれていたという写真が週刊誌に掲載されるなど、当時から「やらせ番組」と言われることが多かった。そして2002年7月、写真週刊誌『FLASH』にこの番組で使われていた台本がそっくりそのまま掲載された。数々の物的証拠があがり、各コーナーで一般公募とされていた素人のはずの出演者が他のバラエティ番組にも出演していた事などから、多くの視聴者から典型的なやらせ番組と認識されることとなった。また番組終了後に、かつて『ガチンコ!』に出演していた人の何人かが、「台本はあった」「特定の役をやらされた」などと週刊誌[10] でやらせがあったことの証言や出演者の著書などで暴露されている。その結果、最終回においてスタジオの白いパネルに「ガチンコ!は一部ヤラセがありました。」と書かれていた、などという都市伝説が広がるまでに至った。
前提として1990年代から2000年代前半のテレビはドキュメントバラエティやリアリティ番組が非常に多く、フジテレビ系で放送された『愛する二人別れる二人』では出演者が遺書にやらせがあったことを書き残して自殺するなど、TBSに限らず民放全体でのやらせや過剰演出の恒常化が社会問題にまで発展しており、強硬な苦情が来て初めて番組が娯楽向けの演出であると弁解することが多々あった。本番組に対しても、「やらせではないか」というTBSの番組審議会への問題提議やBPOへの苦情があった。
TBSならびに製作担当者は、これらの苦情に対して回答を拒否した。そして、本番組が台本に基づいて演出を施された娯楽番組であることについても明らかにしなかった[11]。その後、後述の通りTBSは開き直り的な姿勢でやらせの事実を一切認めず[12]、証拠隠滅的に番組を終了させ、直後に番組公式サイトも削除した[注 14]。やらせがあった事実そのものを一切認めないというTBSの方針に基づきプロデューサー、総合演出などの主要スタッフに罰則的処分が下される事も無かった。
多く寄せられた苦情
本番組は、日本PTA全国協議会において親が子供に見せたくない番組の上位にランクインされていた。
「子供とメディアに関する意識調査」内『親が子供に見せたくない番組』(日本PTA全国協議会主催)
多くのシンセサイザー、ミュージックシーケンサーなどの電子楽器とモニターがある中、エフェクターを触る白衣を着た男性と顔や首に何かをつけているアイマスクをした女性が映り、男性がつまみやボタンを押すと画面がフラッシュ。同時に女性が感電あるいは悶絶した状態が挿入され、男性が電子楽器のスイッチを押した直後にモニターが火花を散って大破。中年女性は怪獣のような野太い声を上げて気絶。そしてタイトルコールとともに破壊されたモニターが何故か修復し、画面には女性の口元を拡大した映像が映る。その後「WE DO THE JUSTICE」とアナウンスされ、CGで描かれたTOKIOのメンバーが表示される(クラフトワーク「人間解体」のアルバムジャケットのオマージュ)。「中年女性の持つパワーを最大限に引き出す実験」と説明されている。映像は薮内省吾監督。
放送開始初期は司会のTOKIOの顔がそれぞれアップされ、この番組の目的を語るシーンが冒頭に映るという演出だった。順番は以下の通り。
全てTOKIOの楽曲。
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