その他、金融トレーダー界隈でも大きな影響を与えている。哲学者になるという夢を抱いていた投資家で慈善家のジョージ・ソロスは、祖国ハンガリーでのナチズムと共産主義体制を経験した後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)での留学生時代の夏休みに図書館から借りて読んだ『開かれた社会とその敵』に強く感銘を受けて以来(このために、ソロスはこの夏が自分の人生で最高の夏であったと述べている)、ポパーを自らの師と仰ぎ、実際に、自身の学士論文の指導教官をポパーに依頼している。その後もソロスはポパー及びポパーの哲学から多大な影響を受け、その著書や講演で「開かれた社会」について度々語り、自身が1993年に設立した慈善団体の名称を「開かれた社会(open society)」にちなみ、「オープン・ソサエティ財団(Open Society Foundations)」と名付けている。また、作家であり、ソロスと同様に投資家として巨大な成功を収めた有名な天才トレーダーの一人として知られるナシーム・ニコラス・タレブも、ポパーから絶大な影響を受けている。
「いかなる理論も、しばしば完全に大抵の問題を解決したとしても、それが存続した時期に直面した問題をひとつ残らず解決したことはない。それに反して、データ理論と一致することなのだが、いつの時代も現存する問題を完全には解けないことによってこそ通常科学を特徴づける難題の多くが定義される。全ての問題がそれぞれ対応する理論を否定する根拠になるならば、全ての理論が全時代を通じて否定されているべきである。一方、厳密な間違いのみが対応する理論の放棄を正当化するならば、ポパリアンには『不可能性』もしくは『反証の程度』の何らかの基準が必要となる。一つを発展させるうえでポパリアンはほぼ確実に、様々な検証するための理論の候補に付きまとう、先ほどのと同様の困難のネットワークに直面する(評価を行う理論は対立する理論に対して退歩することを要求することによってしか自信を正当化できない)。」---The Structure of Scientific Revolutions. pp. 145-6.[13]
ポパーは、後にクーンによって強調された「科学者たちは必ず、限定された理論的枠組みの中で自説を発展させる」という事実は1934年の版のポパーの著作『科学的発見の論理 (Logik der Forschung)』において既に認識されており、その範囲で「通常科学」に関するクーンの主張の主眼点を予想していたと主張した[14]。(ただしポパーは、自身がクーンの相対主義だとみなしたものを批判している[15]。)また、論文集『推測と反駁――科学的知識の発展』(1963年)ではポパーは「科学は神話とともに、そして神話に対する批判とともに始まる。たくさんの観測結果でも、実験方法の発明でもなく、神話や魔術的技術・営為に対する批判的討論とともに。科学的流儀は前科学的流儀とは二つの層で異なる。前科学的流儀では、それはそれ自身の理論を通過する。しかしそれはそれらに対する批判的態度をも通過する。理論は独断的教義としてではなく、理論について議論したり理論を改良したりすることで通過する」と書いている。
同じ問題に関して、ポパーの弟子のデイヴィッド・W・ミラー(en:David Miller (philosopher))は、今までテストに耐えてきた科学的理論を間違っていると考える根拠はないのだからその理論を採用し続ける方が合理的であると言って批判的合理主義を擁護している。これに対して、高島弘文が、ミラーの擁護もやはり帰納的推論が紛れ込んだものだとして批判している[20]。その際、高島は、この問題に関して、ミラーの擁護に比べてポパーの擁護は独特の問題を抱えており、ミラーのものと同じようには反論しづらい物であると述べている。
2004年に、フローニンゲン大学の哲学者で心理学者のMichel ter Harkが『ポパー、オットー・ゼルツと革命的認識論の興隆』で、ポパーはそのアイディアの多くを彼の指導教員だったドイツの心理学者オットー・ゼルツから拝借していると述べた[28]。ナチスがゼルツの研究を1933年に辞めさせ、ゼルツの研究に言及することも禁じたこともあって、ゼルツは自身の考えを発表することはなかった。[疑問点 – ノート]
The Two Fundamental Problems of the Theory of Knowledge, 1930–1933 (as a typescript circulating as Die beiden Grundprobleme der Erkenntnistheorie; as a German book 1979, as English translation 2008), ISBN0-415-39431-7
『科学的発見の論理』(独: Logik der Forschung、英: The Logic of Scientific Discovery) - 1934年独語原著、1959年英訳
The Lesson of this Century, (Interviewer: Giancarlo Bosetti, English translation: Patrick Camiller), 1992, ISBN0-415-12958-3
All Life is Problem Solving
『フレームワークの神話』(英: The Myth of the Framework: In Defence of Science and Rationality、1994年) - Mark Amadeus Notturno編
『フレームワークの神話――科学と合理性の擁護』(未來社、1998年)
Knowledge and the Mind-Body Problem: In Defence of Interaction (edited by Mark Amadeus Notturno) 1994 ISBN0-415-11504-3
The World of Parmenides, Essays on the Presocratic Enlightenment, 1998, Edited by Arne F. Petersen with the assistance of Jørgen Mejer, ISBN0-415-17301-9
After The Open Society, 2008. (Edited by Jeremy Shearmur and Piers Norris Turner, this volume contains a large number of Popper's previously unpublished or uncollected writings on political and social themes.) ISBN978-0-415-30908-0
Frühe Schriften, 2006 (Edited by Troels Eggers Hansen, includes Popper's writings and publications from before the Logic, including his previously unpublished thesis, dissertation and journal articles published that relate to the Wiener Schulreform.) ISBN978-3-16-147632-7
共著
The Self and Its Brain: An Argument for Interactionism (with Sir John C. Eccles), 1977, ISBN0-415-05898-8
^'K R Popper (1970)', in I Lakatos & A Musgrave (eds.) (1970), at page 56.
^Popper, Karl, (1934) Logik der Forschung, Springer. Vienna. Amplified English edition, Popper (1959), ISBN 0-415-27844-9
^See: "Apel, Karl-Otto," La philosophie de A a Z, by Elizabeth Clement, Chantal Demonque, Laurence Hansen-Love, and Pierre Kahn, Paris, 1994, Hatier, 19-20. See Also: Towards a Transformation of Philosophy (Marquette Studies in Philosophy, No 20), by Karl-Otto Apel, trans., Glyn Adey and David Fisby, Milwaukee, 1998, Marquette University Press.
^Hacking, Ian (1979). “Imre Lakatos' Philosophy of Science”. British Journal for the Philosophy of Science30 (30): 381–410. doi:10.1093/bjps/30.4.381.
^John Kadvany. Imre Lakatos and the Guises of Reason. Durham: Duke University Press, 2001. ISBN 9780822326496
^Taylor, Charles, "Overcoming Epistemology", in Philosophical Arguments, Harvard University Press, 1995, ISBN 0-674-66477-9
^Philosophia. Philosophical Quarterly of Israel, William W. Bartley: The Philosophy of Karl Popper, Part I: Biology and Evolutionary Epistemology, PhilosophiaVol 6 (1976), pp. 463–494. (deposit account required)
^Michel ter Hark, Popper, Otto Selz and the rise of evolutionary epistemology,ISBN 0-521-83074-5,2004.
See also (by the same authors as the online review listed above): David Edmonds and John Eidinow (2001) Wittgenstein's Poker: the story of a ten-minute argument between two great philosophersISBN 0-06-621244-8 340pp. index, chronology of Wittgenstein's and Popper's lives.