E形は、かつてオーストリアの首都・ウィーンの路面電車であるウィーン市電で使用されていた電車。1959年から2000年代まで営業運転に用いられ、一部車両は他国の路面電車へ譲渡された[1][3][4]。
概要
ドイツの鉄道車両メーカーであったデュワグ(現:シーメンス)が展開していた路面電車車両(デュワグカー)をオーストリアの各企業がライセンス生産した形式。連接部分に付随台車を有する構造の2車体連接車で、右側通行に適した片運転台・片方向型車両として設計が行われた[1][2][3]。
1959年に試作車2両(4401、4402)がローナー(ドイツ語版)によって製造され、各種試験に使用された。そのうち4401はエリン(ELIN)(ドイツ語版)/キーペ(Kiepe)(ドイツ語版)製の、4402はシーメンス製の電気機器が搭載され、試験の結果4401の構造を基に量産が行われる事となった。また、これらの車両は製造に携わったローナーの社員から「エミル(Emil)」(4401)、「エディ(Edi)」(4402)と言う愛称が付けられており、量産車や以降生産された2車体連接車も「エミル」と呼ばれる事があった[1][3]。
量産車は1959年から1966年にかけて製造され、ローナー製の車両は57両(4403 - 4459)、シメリンク・グラーツ・パウカー(SGP)(英語版)製の車両は30両(4601 - 4630)が導入された[注釈 1]。電気機器については前者がエリン製、後者がシーメンス製のものを用いた。だが、営業開始後に出力の低さが問題視された事から、以降の増備は改良型車両のE1形によって行われた[1][3]。
1970年代からは信用乗車方式への対応や半自動段数制御システム(GEAMATIC)の搭載などの工事を受け、長期に渡って使用されたが、SGP製の車両は2002年、ローナー製の車両は2007年までに営業運転を終了した。以降は試作車の4401がウィーン市電で動態保存されている他、量産車の一部は以下の都市への譲渡が実施されている[1][3][4]。
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1970年代以降は塗装変更が行われた(
1992年撮影)
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脚注
注釈
- ^ SGP製の車両は1964年まで車両番号が異なっていた(4441 - 4470)。
出典
参考資料