『WHITE ALBUM2』(ホワイトアルバムツー)は、LeafのWindows用18禁恋愛アドベンチャーゲームであり、『WHITE ALBUM』(1998年5月1日発売)の続編である。丸戸史明の企画持ち込みから始まった作品で、前作の約10年後を舞台としており、前作に登場した曲やBGMが多数使われているが、『WHITE ALBUM』のテレビアニメ版やPS3版を含めストーリー上の直接の繋がりはなく、作中で同一世界であることを示す人名や曲名が挙げられる程度である[3]。『introductory chapter』(序章)とその約3年後を描く『closing chapter』(終章)、更にその約2年後『coda』(最終章)の3部作で構成されている[3]。『coda』は隠しルートであり、公式サイトや広報などでは2部作としてアナウンスされていた[4]。
2013年10月[5]から12月までの間、同名のテレビアニメが放送された。
2010年3月26日に第1部である『WHITE ALBUM2 -introductory chapter-』(以降、『序章』)が発売された[1]。第2部『WHITE ALBUM2 -closing chapter-』(以降、『終章』)の発売は当初2010年冬発売を予定していたが延期され、2011年12月22日となった。
2012年12月20日にはこの2作を収録したPS3移植版である『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』が発売された[6]。
また、PS3版をベースにし、新しい機能をいくつか追加したPS Vita版が11月28日に発売された。
2014年末には、ラジオCDやコンサートBDの購入者特典として、ゲーム本編のアフターエピソードが収録された『WHITE ALBUM2 ミニアフターストーリー』が、応募者全員プレゼントとして制作、配布された(Windows版のみ、全年齢対象)[7]。かずさシナリオのエピローグ『幸せへと戻る道』、雪菜シナリオのエピローグ『幸せへと進む道』が収録されている。
2018年2月14日には序章と終章、そして特典DISCとしてPS3版に追加されていたエクストラエピソード「不倶戴天の君へ」、前述の「ミニアフターストーリー」、全てのドラマCD(ボイスノベル)・短編小説(デジタルノベル)と、終章のソフマップ特典だった「幸せの日~ベッドの上の物語~」に収録されていたシステムボイス群などが収録され、完全版とも言える内容の「WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION」が発売された。対応OSはWindows 7/8.1/10である。
2012年12月20日に発売されたPS3移植版『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』では、以下の変更が行われた[8]。
2013年11月28日に発売されたPS Vita移植版(アップデートによりVita TVでも動作可能)。内容は基本的にPS3版と同じだが、以下の違いがある[9]。
記載されている声優名はドラマCD版・PS3版・テレビアニメ版・PS Vita版。PC版は非公開。
PlayStation 3版『ティアーズ・トゥ・ティアラ 花冠の大地』制作期間中、Leafを管轄するアクアプラスからライター集団・企画屋に次回作のオファーが寄せられた際、企画屋の一員だった丸戸史明が前作『WHITE ALBUM』が好きだとこぼしたことがきっかけで丸戸が企画を立てることになり、それが通った結果本作となった[3]。
当時のアダルトゲームとしては珍しく三角関係や浮気を描いた前作の中でも、丸戸は四角関係に発展した澤倉美咲ルートについて自分にできるとは思えないからこそあこがれたと4Gamer.netとのインタビューの中で話しており、その理由として自分が書く物語ではどうしても主人公が動いてしまうと述べている[3]。
このような美少女ゲーム作品において、理想の恋愛を描くために社会的な部分を軽視してしまう傾向[注 10]があったことから、丸戸はきちんとしたリアリティを出すためにはキャラクターと社会とのかかわりをきちんと描きたいと考え、本作の主人公である北原春希を優等生に設定した[3]。また、前作における主人公の親友・七瀬 彰は女性問題が友情の崩壊につながったことから、差をつけるため、本作における春希の親友・飯塚武也はちゃらんぽらんながらも女性問題で友情が壊れることがないようにした[11]。
本作は学園生活を描いた『序章』、大学生活を主題とした『終章』、そして社会人生活を描いた『最終章』の三部構成がとられている[3]。
丸戸によると、『序章』の次に『終章』の共通ルート、次いで『終章』における千晶、小春、麻理、雪菜のルートを執筆し、そして『最終章』の浮気エンド、雪菜ルート、かずさルートの順番に執筆したという[4]。
丸戸の作品では回想が重要な伏線として用いられることが多かったが、それでは飽きられるという考えから、回想にあたる部分を序盤に置こうということで『序章』は独立した章として誕生しており、最初から分割販売するつもりではなかったと丸戸は2013年の4Gamer.netとのインタビューの中で話している[4]。
『終章』ではサブヒロインのルートの中で雪菜がどんどん追いつめられていき、自身のルートでは性格が破綻している様子が描かれている[4]。丸戸自身も4Gamer.netとのインタビューの中で、執筆中も雪菜に対するモチベーションが高まり、『終章』へと至る雪菜ルートでいよいよ爆発した感じになったと振り返っている[4]。
丸戸は『最終章』は自分が本当に描きたかったものであり、『序章』から続く因縁を背景に終止符を打つ『最終章』が自分にとっての『WHITE ALBUM』そのものであると2013年の4Gamer.netとのインタビューの中で話し、三部作にしたのもそのためだとしており、『最終章』のオープニングで社会人になった登場人物たちが出てくる演出から『終章』が逆説的に生まれたと述べている[4]。当初『最終章』の正式名称は「WHITE ALBUM Chapter」となる予定だったが、アクアプラス代表取締役社長・下川直哉からプレイヤーに「WC」と略されてトイレを想起させるおそれがあるということで変更された[4]。また、PS3版のサブタイトル「幸せの向こう側」は、「春希がほかのヒロインと結ばれてしまった場合の雪菜をきちんと描写しよう」という意図にちなんでいる[4]。
かずさは『終章』ではほとんど登場せず、『最終章』で雪菜と対峙した際に苦労に見舞われる様子が描かれている。この描写について、丸戸はかずさにも雪菜と同じ苦労を背負わせるといった明確な意図はないとしつつも、頼るものが何もない状況を作る必要があったと4Gamer.netとのインタビューの中で話している[4]。インタビューに同席していたキャラクターデザイナーのなかむらたけしも、かずさは難しいキャラクターだったと話しており、その理由について、『序章』・『終章』・『最終章』と物語の進行に合わせて心情的にも一番大きく変化する複雑なキャラクターでありながら、不変の「彼女らしさ」を保つにはどうすべきか苦労したことを挙げている[4]。
本作では基本的に周回プレイで初めて知らされる事実をたくさん用意して、得体のしれない不気味さや、プレイヤーの不安をあおるという方針がとられた[11]。ただし、サブヒロインの一人である千晶がトゥルールートで本性をあらわにすることについては、この方針を順守したというよりはむしろ、ノリでやりすぎた感じがあると丸戸は振り返っている[11]。このようなことになった理由について、丸戸は前作における美咲のネタを使いたかったという気持ちがあったと話しており、劇中劇としてLeafの過去作である『痕』が用いられ、美咲が脚本の作者として設定された[11]。一方、『Routes』に関するネタは下川の趣味ではないかと丸戸は推測している[11]。
前作のデザイナー・カワタヒサシの指名という形でなかむらたけしが本作のキャラクターデザイナーとして起用されており、なかむら本人は詳細不明としたうえで、自身が過去に手掛けた『天使のいない12月』の印象があったのではないかと2013年の4Gamer.netとのインタビューの中で話している[4]。
また、丸戸にかずさの髪形を変えるつもりがないにもかかわらず、なかむらが髪を切らないでほしいと嘆願する一幕もあった[4]。
PS3版における雪菜役には米澤円が、かずさ役には生天目仁美がそれぞれスタジオオーディションで起用された[13]。
米澤は電撃オンラインとのインタビューの中で、雪菜役のオーディションは歌ありだったと話しており、最初に演出家から自分の声で勝負するように言われて、萌えっぽいキャラクターではなく、実際にいそうな少女を感じながら演じたと振り返っている[13]。
生天目仁美は電撃オンラインとのインタビューの中で、別作品のスタッフからのすすめでかずさ役のオーディションを受けたと話している[13]。生天目はオーディション前はかずさの性格や気持ちを十分に理解できていなかったが、原稿を読んだ際に、ただの会話からキャラクターの深さが見え隠れすると感じたといい、この時点では彼女の発言の理由が見えてこなかったものの、それが逆に自分の解釈で演じられて楽しかったと振り返っている[13]。
なお、2人はそれぞれ逆の役のオーディションにも参加しているが、米澤は途中で演出家が切り上げたのを見てかずさ役は自分ではないなと感じたといい、生天目は雪菜を演じようとすると自身が過去に演じた『ToHeart2』の十波由真になってしまったという[13]。
生天目には『closing chapter』の台本は、かずさが登場するほんの僅かな部分だけしか渡されず、『closing chapter』の内容もほとんど説明されなかった。その結果、春希と雪菜の大学生時代に何が起こったかを本当に知らない『coda』でのかずさの演技ができたのであり、もし知っていたら雪菜に感情移入してしまってその演技はできなかっただろうと生天目はWEBラジオ内で何度も話している。
PlayStation 3版およびVita版『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』では、以上の小説の全てがデジタルノベルとして収録されている。ただし、内容はCEROのレーティングの変更などに伴って一部修正されている。
PlayStation 3版『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』では、以上のドラマCDのすべてがボイスドラマとして収録されている。
丸戸が電撃オンラインとのインタビューの中で語ったところによると、自分の予想以上にたくさんのユーザーから反響が寄せられたという[15]。
『introductory chapter』は、その発売年(2010年)の売り上げにおいて、『BugBug』の集計では14位[16]であった。
『introductory chapter』は、その発売年(2010年)の人気投票において、Getchu.comでは総合14位[17]、『TECH GIAN』では総合20位[18]、『BugBug』では上位40位の圏外[16]であった。
『WHITE ALBUM2 同好会ラジオ』は、2012年8月31日から2014年4月25日まで音泉で配信されたラジオ番組。毎週金曜日配信。本放送開始前の8月9日からプレ放送(#0)が配信された[19]。パーソナリティは米澤円(小木曽雪菜 役)と生天目仁美(冬馬かずさ 役)が務めた[20]。
2014年4月25日の配信をもって一旦休止となったが、『WHITE ALBUM2 同好会ラジオ 2018』として2018年7月13日に予告(#0)を配信。7月20日より隔週金曜日配信で復活し、9月14日の第5回まで配信された。パーソナリティは変わらず[21]。
さらに2019年9月27日より、『WHITE ALBUM2 同好会ラジオ 2019』として復活し、不定期更新で金曜日に配信された[22]。こちらは2020年2月28日の第6回配信で最終回となる予定だった。しかし第6回は同年2月29日に開催される予定だったイベント「WHITE ALBUM2 学園祭 2020~10th winter memories~」を前提としての番組内容だったにもかかわらず、イベントが中止になったためラジオ第6回の配信自体も中止された[23]。その後2020年夏、配信中止された第6回を含む『同好会ラジオ2019』全6回と、「WHITE ALBUM2 学園祭 2020~10th winter memories~」で実演予定だった朗読劇をボイスドラマとして収録した『WHITE ALBUM2 同好会ラジオ 2019』ラジオCDが販売された[24]。
以下、販売店舗やコミックマーケットなどで行われた小規模なイベントを除いた、『WHITE ALBUM2』単独で会場を借りて行われたライブ・イベントのみ記述する。
2013年11月24日に開催された『WHITE ALBUM2 CONCERT』のBlu-ray disc化商品。初回限定盤には、一部楽曲の音源を収録したCD(SACDハイブリッド盤)と、特製ブックレットが付属[33]。
2013年4月7日に開催されたイベント『WHITE ALBUM2 SPECIAL ENCORE』にてアニメ化が発表され[26]、2013年10月から12月まで放送された。Windows版ではなく、PlayStation 3版を原作とし、『introductory chapter』の内容をアニメ化。監督は『トータル・イクリプス』の安藤正臣が、キャラクターデザインは『戦姫絶唱シンフォギアG』の藤本さとるがそれぞれ担当[34]。アニメーション制作は、原作でオープニングを担当したカオスプロジェクトからサテライトへ変更された。
注意:※は現在アクアプラス社員ではない人物(歌手は除く)
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