本作は聖飢魔IIとしては初のセルフ・プロデュースで制作された作品であり、前作と比較してレコーディングのノウハウが身に付いた状態で行われたと小暮は述べている[9]。本作収録曲である「FIRE AFTER FIRE」は大橋がアマチュア時代に制作した楽曲であり、浜田による制作曲以外でもこの時点ではアマチュア時代の貯蓄に頼っている段階であるが、「DEMON'S NIGHT」はデビュー後に初めて制作された楽曲であると小暮は述べている[9]。清水は当初浜田の制作した楽曲に対して如何に面白味を出すかという方向性で活動していたが、大橋が制作する楽曲は当時台頭していたモトリー・クルーやラットなどを代表とするLAメタルに通ずる疾走感を持った楽曲が多かったと述べている[9]。「FIRE AFTER FIRE」について清水は、ギターのリフとバッキングのコードが不協和音になっている点を指摘しているが、それを含めて成立した楽曲であるために「ロックってそもそもそんなもんだから、出発点がね。音がぶつかっていようが、そういうのを超えるカッコいいものがあることは、十分分かっていたしね」と述べている[9]。
ライデン湯沢はレコーディング・エンジニアの川部修久がドラムスがより上手く聴こえるテクニックを持ったエンジニアであったため、本作のレコーディングは楽しめたと述べている[9]。またレコーディングの際に大橋は湯沢のドラムス演奏に対して「ここのフィルはこうだな」や「違うな―、そうじゃないんだよ」などと多くの指摘を行っており、それに対し湯沢は当時大橋と仲は良かったものの指摘の多さを嫌悪していたと述べている[9]。第三大教典『地獄より愛をこめて』(1986年)から聖飢魔IIに参加したゼノン石川は聖飢魔IIに馴染むために本作を聴いて勉強したと述べており、本作で得た感触のまま他の構成員とセッションしたところギャップを感じたと述べている[9]。石川はハードロックバンドにおいてはライブ演奏における実際のプレイなどレコード上では表現しきれない部分が多くあると痛感したと述べた他、「実際に聖飢魔IIに入ってプレイをした時に、自分が思い描いていたものを少しずつ修正していく必要があったわけだよね」と述べている[9]。第四大教典『BIG TIME CHANGES』(1987年)から聖飢魔IIに参加したルーク篁は前作と同様に本作も冒頭にイントロダクションとなるインストゥルメンタルが収録されていることを指摘、名刺代わりに聖飢魔IIのバンドとしてのスタイルを示す必要性があったと推測している[9]。浜田の制作曲に関してはリフやツイン・リードギターなどの決め事はあるものの、後年のライブでは異なるアレンジで演奏することや元のバージョンにはギターソロがないためにライブ演奏時には篁自身が追加するなどの行為を行っていると述べている[9]。
1984年2月に「THE END OF THE CENTURY」に続いてダミアン浜田が完成させた曲[11]。当初は「新・聖飢魔IIのテーマ」というタイトルであったが、地球デビューに伴い改題された[11]。
「THE END OF THE CENTURY」
前作収録曲であった「ROCK IN THE KINGDOM」に続いて1984年1月に制作された曲[12]。浜田は「世紀末」を意味する「歌詞のあるテーマ曲」というコンセプトで本曲を制作したと述べている[12]。しかし浜田の作曲スタイルは基本的に自由気ままなやりたい放題のものであったため、本曲のようにコンセプトありきでの制作は困難さを感じる部分もあったと述べている[13]。本曲は当初「CENTURY END」というタイトルで制作され、完成版と異なりギターソロの前にテンポの重たいパートが存在し、その部分で「血に飢えた狼たちよ、今こそ自らの牙で鎖を解き放て」というセリフが導入されていたが、本作収録に際してアレンジが変更された影響でそのパートは削除されることとなった[14]。
小教典「蠟人形の館」のB面曲であり、切り裂きジャックを題材とした曲。当初は「衝動殺人者RAY」というタイトルで、聖飢魔IIの前身となる「RAY」というバンドで演奏されていた[19]。後に「衝動殺人者」に改題され、さらに聖飢魔IIの楽曲として「JACK THE RIPPER」に改題された[19]。本曲はブラック・サバスの「悪魔的」要素、スコーピオンズの「暴力的」要素、ジューダス・プリーストの「背信」「背徳」要素にシンパシーを感じた浜田によって、初めて制作された楽曲となっている[20]。また、レインボーの様式美に影響された結果制作されたのが「衝動殺人者」であり、当初はイントロの序章部分がなかったが後に浜田の要望により追加された[21]。浜田は曲先で制作を行うタイプであり、間奏やアウトロもすべて完成させてから作詞を行う手順で楽曲を完成させていると述べており、本曲も同様の手順で制作された[22]。小暮は浜田が制作する楽曲の秀逸な部分として序章が存在することを挙げており、浜田脱退後の楽曲制作においても本編とテンポが異なる序章を制作する発想にならず、後に至るまで本曲の序章から本編に至るまでの展開を超える楽曲が制作できていないと述べている[21]。
本曲の前口上として導入されている「血に飢えた狼たちよ、今こそ自らの牙で鎖を解き放つ時が来たのだ」というセリフは元々「THE END OF THE CENTURY」のデモバージョンにて使用されていたものであり、浜田が考案したものであった[14]。そのため本曲とは全く関係のないセリフであるが、後に至るまでライブ演奏時にこの前口上は本曲の前で使用されている[24]。
批評家たちからの本作のサウンド面に関する評価は概ね肯定的なものとなっている。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、聖飢魔IIのコスチュームがキッス風であることやコンセプトがブラック・サバス風であることを指摘した上で、「サウンド、ヴォーカル、詞の内容ともヘヴィ・メタ独得のオドロオドロしくも大袈裟なノリが感じられる」と肯定的に評価[34]、音楽情報サイト『TOWER RECORDS ONLINE』では、バンドによるセルフ・プロデュースであることやダミアン浜田による楽曲の集大成になっていることを指摘、また聖飢魔IIの初期代表曲が多数収録されている上にジェイル大橋の作曲者としての才能が開花したと述べた上で「次作への布石となった作品」と肯定的に評価した[27]。