ADENは、主にイギリスの航空機が使用する30mm機関砲である。
ADENという名称は、設計を行った軍備設計開発機構(Armament Development Establishment)と、製造を行ったエンフィールド(Enfield)に由来する。1940年代後半に第二次世界大戦でも用いられたイスパノ・スイザ HS.404を代替する目的で開始された。フランスのDEFA 550やアメリカのポンティアック M39と同様に、ADENの作動方式はドイツが試験的に開発したものの、実戦に投入できなかったマウザーMG 213をもとにしたリヴォルヴァーカノンを用いている。ADENの実戦配備は、1954年にホーカー ハンターに搭載されたのが最初で、その後も1980年代にトーネード IDSが登場するまで、多くのイギリス軍航空機に搭載された。
現行型はADEN Mk 4である。初速は741m/sと、HS.404の850m/sと比較して劣っているが、より大口径・大重量の弾丸がより致命的なダメージを与え、また、約1,300発毎分という、より高い発射レートを有する。
さらに、改良型としてADEN Mk 5があり、信頼性向上のための多くの小さな改良と毎分1,500-1,700へ発射レート高速化のための改良を織り込んでいる。新規の生産はなされてはいないが改良という形で取り替えられ、Mk 5 Stradenと改称されている。
ADENを内蔵武装として搭載する航空機は、A-4SU スーパースカイホーク、イングリッシュ・エレクトリック ライトニング、フォーランド ナット(およびアジート)、ホーカー ハンター、グロスター ジャベリン、サーブ 32 ランセン、サーブ 35 ドラケン、SEPECAT ジャギュア、スーパーマリン シミター、CAC Sabreである。いくつかのガンポッド型も存在し、ホーカー・シドレー ハリアー(アメリカではAV-8A/C)やBAe シーハリアーが機体下に搭載可能で、スウェーデンにはFFN Adenが存在するが、とりわけBAe ホークが用いる。FFV Adenは、砲本体と砲弾150発を搭載し、全長3.85m、満載重量364kgである。
MG213をベースに開発されたADENは、同じくMG213を基にしたフランスのDEFA 550と酷似しており、両者とも同射程の30mm機関砲弾を用いる。
ADEN Mk 5は、ADEN 25の元となった。ADEN 25は、いくらか大型化した兵器となり(全長2.29m、重量92kg)、アメリカのGAU-12 イコライザーのように新規格のNATO 25mm砲弾をより高速な初速1,050m/sで射撃する。また、より軽量な弾薬は1,650-1,850発という、より高い発射レートも同様にもたらした。
だが、開発は重量削減目標を達成できないという問題に悩まされた。最終的にこの計画は1999年にキャンセルされてしまった。この結果、ハリアー GR.7/GR.9は、機関砲が装備されないまま2010年末に退役した。
艦隊航空隊のシーハリアーは、2006年の退役までADENを装備していた。