道志村(どうしむら)は、山梨県南東部の郡内地方に位置する村。南都留郡に属する。山梨県の村としては最東端に位置する。
道志川の原流域にあたり[1]、村の総面積の約36%にあたる2,873haを横浜市水道局が所有しており自治体間の友好交流も行われている[2]。
地理
位置
北東から西南に延びる山間に立地し、村の中央を道志川が北東に向けて流れる。
道志川側沿いに国道413号が通っているが、北は道志山塊、南は丹沢山塊と1000mを超える山が連ねているため、上野原市、山北町とを直接結ぶ道路は殆どない[注釈 1]。
村全体は木の葉の形をしており、葉脈部分が国道413号(道志みち)に当たる。古くから道志七里と呼ばれた山間抜け道沿いの集落であった。
地形
山地
- 主な山
- 主な峠
河川
- 主な川
地域
- 月夜野(つきよの)
- 大渡(おわた)
- 野原(のはら)
- 久保(くぼ)
- 笹久根(ささくね)
- 大室指(おおむろざす)
- 小椿(こつばき)
- 椿(つばき)
- 小善地(こぜんじ)
- 大栗(おおぐり)
- 馬場(ばんば)
- 竹之本(たけのもと)
- 東和出村(ひがしわでむら)
- 西和出村(にしわでむら)
- 池之原(いけのはら)
- 谷相(やそう)
- 川原畑(かわらはた)
- 大指(おおざす)
- 釜之前(かまのまえ)
- 東神地(ひがしかんじ)
- 中神地(なかかんじ)
- 下中山(しもなかやま)
- 上中山(かみなかやま)
- 下善之木(しもぜんのき)
- 上善之木(かみぜんのき)
- 川村(かわむら)
- 板橋(いたばし)
- 下白井平(しもしろいたいら)
- 上白井平(かみしろいたいら)
- 長又(ながまた)
人口
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道志村と全国の年齢別人口分布(2005年)
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道志村の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 道志村 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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道志村(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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2,627人
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1975年(昭和50年)
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2,424人
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1980年(昭和55年)
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2,231人
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1985年(昭和60年)
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2,141人
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1990年(平成2年)
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2,150人
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1995年(平成7年)
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2,153人
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2000年(平成12年)
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2,087人
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2005年(平成17年)
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2,051人
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2010年(平成22年)
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1,919人
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2015年(平成27年)
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1,743人
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2020年(令和2年)
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1,607人
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総務省統計局 国勢調査より
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隣接自治体・行政区
- 山梨県
- 神奈川県
歴史
古代から近世までは甲斐国東部の都留郡に属していた。江戸時代には組支配の名主制度があり、道志村の1村であるが32の小字が6組に編成されて、組が事実上の村として機能していた。村内に組ごとの名主が存在していた[3]。木材をはじめとする多くの林産物を生産し、津久井(神奈川県相模原市緑区)の荒川番所を経て移出されていた[3]。
沿革
- 明治
- 近代には神奈川県小田原から木地職人が往来して木地細工を行い、村域の木工業は小田原との関わりが強い[3]。
- 昭和
- 平成
- 令和
政治
行政
2023年12月現在、役場は総務課・住民健康課・産業振興課・ふるさと振興課・教育委員会で構成され、職員は34人である[7]。しかし、横のつながりは弱く、地域創生ワーキンググループを設置して組織を超えた事業立案に取り組んでいる[7]。
老朽化に伴い、旧庁舎跡地に新たな役場庁舎が建設され、2024年(令和6年)4月26日に落成式・開庁式を挙行した[8]。新庁舎は鉄筋コンクリート構造2階建[8]、延床面積1,012.26 m2で、芙蓉建設が施工した[9]。建て替え工事中は隣接する中央公民館を仮庁舎としていた[8]。
村長
対外関係
姉妹都市・提携都市
国内
- 提携都市
- 横浜市との関係
1897年(明治30年)に横浜市水道局が道志川から水道原水の取水を始め(取水地は神奈川県相模原市緑区青山)、青山取水堰から川井浄水場(神奈川県横浜市旭区)に至る横浜水道を完成させた。当時は「赤道を越えても腐らない水」といわれていた[10]。
その後の都市化に伴う森林破壊により、各地で水源となる森林の保全が問題となるが、横浜市は1916年(大正5年)に山梨県より当村内の県有林約 2,800haを取得し水源涵養林の保全に着手、以降現在まで横浜市と道志村は協働して水源林を保全している。
- 2003年(平成15年)6月12日、道志村村民 653名(全住民の3割超)の賛同をもって住民発議され、横浜市に合併を申し入れた[11]。しかし、距離のある越境飛地となり、また村議会や山梨・神奈川両県の賛同も得にくい状況であったため、横浜市側から断ることとなった。
- 2004年(平成16年)6月22日に「横浜市と道志村の友好・交流に関する協定書」および「横浜市民ふるさと村に関する覚書」を締結している。
経済
主な産業は、林業・農業・観光業である。
観光業
道志みち(国道413号線)沿いには大小様々な形態のキャンプ場が30以上存在しており、関東圏はもとより日本でも有数のキャンプ場密集地である。
情報・通信
市外局番
道志村のNTT加入電話はほとんど大月MAの道志局収容(市外局番0554)であるが、道志局から遠い東端の月夜野地区については、隣接する相模原市緑区津久井町青根地区が近いため、相模原MAの津久井青根局収容(局番042-7)になっている。また、月夜野地区は青根局収容のため、相模原市及び遠く東京都町田市まで市内通話扱いとなる。
マスメディア
中継局
教育
- 村立
交通
日常的な買い物は都留市や富士吉田市へ出かける村民が多いが、公共交通機関が少ないため、村では買い物難民対策として、コンビニエンスストアの誘致と移動販売車の巡回を目指している[12]。
鉄道
村内に鉄道路線は通っていない。最寄り駅は富士山麓電気鉄道富士急行線谷村町駅。
バス
路線バス
- 富士急バス
D2を除き、各便とも平日のみ、1~3往復のみの運行(土休日運休、また休校日等運休があるため要事前確認)。このため、山梨県の自治体でありながら11月から4月までの間は休日に公共交通機関で山梨県側から道志村を訪れることはできない。
- 神奈川中央交通西
- 相模原市緑区三ヶ木より、県境の両国橋(国道413号)を渡り当村東端の月夜野で折り返す。実質的に現在神奈川中央交通グループ唯一の山梨県内路線となっている(ただし神奈中グループとしての月夜野停留所の所在地は相模原市緑区音久和である)。かつては前述の富士急バスとここで連絡しており、登山客などにも利用されていた。不採算に付き県補助制度を活用した上で、現在では旧津久井町の要請により主に通学の足として維持されている状況である。なお、富士急バスとは路線では接続しているものの、ダイヤ上では連絡しておらず、2020年現在、富士吉田方面に乗り継ぐには1泊を要する[16]。2020年現在、毎日2往復のみが運行されている[16]。ただし平日と土休日で運行時間帯は違い、土休日は登山客が利用しやすいダイヤになっている。
- 道志七里ふれあいバス(運行終了)
- 2006年6月1日より8月31日まで3箇月間「快適で安心して暮らせる里づくり」の基本方針に基づき、試験的に道志村により運行された路線である。当時は、毎日4往復運行で乗車料金は無料であった。
道路
高速道路
高速道路など有料道路の最寄ICは、前述の二つの一般道を経由し、中央自動車道相模湖IC(村東部の最寄り)、中央自動車道富士吉田線都留IC、東富士五湖道路山中湖ICがある。
国道
県道
- 主要地方道
道の駅
観光
名所・旧跡
- 主な寺院
- 主な神社
観光スポット
- 村営温泉施設。源泉はカルシウム・ナトリウム硫酸塩泉で、pH8.7、17.8℃のアルカリ性冷鉱泉である。休憩室・食堂・土産物店併設、一部時間帯は路線バスが当施設前(「道志の湯」バス停)まで乗り入れている。また、横浜市民(または在勤・在学)であることが証明出来れば村民と同じ料金で入浴できる(村外700円→村民及び横浜市民500円)。営業日等は公式ホームページ参照。
- 村の特産品・地元産農産物を集めた直売所などが併設されている。最寄りのバス停は「中山」。詳しくは公式ホームページを参照。
- 当村面積の約36%にあたる2,873haが横浜市水道局により保全されており、当村と横浜市が共同しボランティアを募っての植樹や森林の手入れといった催しを行っている。
- 漫画家・富永一朗の原画などを常設展示する。そば処では当村産の川魚やクレソンの料理も提供するが営業日に注意。最寄りのバス停は「馬場東口」。
- 廃校になった道志小学校久保分校を利用した体験型施設。食やモノなどの「みなもと」を体験できるほか、環境学習にも力を注いでいる。イベントスケジュール等は公式ホームページ参照。
- 道志村はキャンプ場銀座と呼ばれるほど、多くのキャンプ場があることでアウトドア好きの間で有名であるが、このうち、道志村観光協会加盟のキャンプ場では平成25年4月27日より横浜市民優待サービスを開始した。利用料金・テントサイト料の割引およびキャンプ用道具の無料貸出など。優待サービス利用には事前申込みが必要。詳しくは道志村観光協会公式HP内「横浜市民優待サービス」を参照。
- 道志渓谷キャンプ場
- 両国橋キャンプ場
- 月夜野キャンプ場
- 大渡キャンプ場
- 久保キャンプ場
- 下村キャンプ場
- 川端オートキャンプ場
- 椿荘オートキャンプ場
- 椿キャンプ場
- 水源の森 キャンプランド
- WOODSMAN CAMPGROUND
- ネイチャーランドオム
- やぐら沢キャンプ場
- 道志森のコテージ
- ブナの森キャンプ場
- 谷相郷キャンプ場
- 滝原オートキャンプ場
- CAMP SPACE DOSHI 2.0(CSD2.0)
- 観光農園オートキャンプ場
- オートキャンプ in むじな
- 9時17時(クジゴジ)道志オートキャンプ場
- オートキャンプせせらぎ
- RVパーク Annex道志
- ラビットオートキャンプ場
- 道志の森キャンプ場
- 水之元オートキャンプ場
- 山光荘オートキャンプ
- オートキャンプしろいだいら
- センタービレッジキャンプ場
- スカイバレーキャンプ場
- リバーサイドマイシーン
- オートキャンプ長又
- とやの沢オートキャンプ場
- 奥道志オートキャンプ場
- 山伏オートキャンプ場
出身関連著名人
出身著名人
道志村を舞台とした作品
アニメ
- 舞台である納鳴村(ななきむら)は道志村がモデルである。道志村で行われている「Natural High!」でもアニメが放送された2016年に声優のトークショウやブース出店が行われている[17]。
- アニメ第3話でメンバーが道の駅どうしに立ち寄っている。
旅番組
- 2007年の第1回放送で、太川陽介・蛭子能収のコンビが初めて宿泊したのが道志村であった[16]。
脚注
注釈
- ^ 上野原市については、国道413号から分岐する林道によって接続されている箇所がある。道志村久保から林道安寺沢線(安寺沢林道)または道志村野原から林道野原線(野原林道)を通り、巌道峠を経由することで、上野原市秋山安寺沢に至る。最終的に、山梨県道35号四日市場上野原線迄通じている。なお、林道野原線は上野原市との境界である巌道峠直前で林道安寺沢線と合流し、合流点から上野原市側には林道安寺沢線のみが通じている。
- ^ 広報「どうし」の表紙には2013年6月号から同連合のロゴマークがほぼ毎号(毎月)掲載されていたが、2015年1月号を最後に掲載されなくなった。
出典
外部リンク
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