『聖家族と幼児洗礼者聖ヨハネ』(せいかぞくとようじせんれいしゃせいヨハネ、伊: Sacra Famiglia con san Giovannino, 仏: La Sainte Famille avec le petit saint Jean, 英: Holy Family with the Infant Saint John the Baptist)は、イタリアのルネサンス期のパルマ派の画家コレッジョが1518年から1519年ごろに制作した絵画である。油彩。聖家族を主題としており、同じくコレッジョの同時期の作品『聖ヒエロニムスのいる聖家族』(Sacra Famiglia con San Girolamo)と構図的に近しい関係にある。かつてはイングランド国王チャールズ1世や、フランス国王ルイ14世が所有した作品の1つで、現在はフランスのオルレアン美術館に所蔵されている[1][2][3]。
初期の来歴は不明である。絵画の裏側にはイングランド国王チャールズ1世の紋章があるため、チャールズ1世のコレクションの一部であったと思われるが、1639年の目録には本作品は見出せない[1][2][3]。おそらくチャールズ1世が皇太子時代にスペイン王フェリペ4世の妹マリア・アナとの結婚交渉をするためにマドリードを訪問した際に贈られたものではないかと考えられる[3]。このときチャールズ1世は結婚交渉には失敗したが、フェリペ4世からティツィアーノ・ヴェチェッリオの『猟犬を伴う皇帝カール5世』(Imperatore Carlo V con un segugio)や『パルドのヴィーナス』(La Venere del Pardo)といった作品を贈られている[5]。本作品の最初の確実な記録はフランス国王ルイ14世によって所有された時代まで遡り、1683年に宮廷画家シャルル・ルブランによって「コレッジョの作風」(manière du Corrège)の作品として記録された[1]。1695年にヴェルサイユ宮殿で記録され[1]、1709年から1710年に作成された目録ではコレッジョの作品と推定され、1754年にニコラ・ベルナール・レピシエはコレッジョの作品として新しい目録に記録した。19世紀後半にオルレアン美術館に収蔵された[1][3]。