有明山(ありあけやま、ありあけざん)は、飛騨山脈(北アルプス)にある標高2,268 mの山。常念山脈の前衛に位置し、山体すべてが長野県に属する。
概要
大糸線有明駅の西北西10.2 kmに位置する。その独特の台形の山体が富士山に似ていることから有明富士(信濃富士・安曇富士)とも呼ばれる郷土富士である。森林限界帯が無いので冬場でも山全体が雪に覆われることが少なく、それが北アルプスの景観を邪魔しているとも言われることもある。ただ、それが逆に有明山を際立たせることにもなっている。山頂部は、北岳・中岳・南岳の3つのピークからなる。最高点の北岳と南岳の間に、二等三角点が設置されている[1]。新生代に隆起して形成された山であり、山体は黒雲母花崗岩からなる[4]。風化が進み急峻な地形で、滝や奇石・巨石が見られる[5]。
山岳信仰の山でもあり、山麓に有明山神社が置かれ、地元住民に親しまれている。山頂の北岳には有明山神社の奥宮がある。日本二百名山に選定されていて[6]、山域の南部は中部山岳国立公園内にある[7]。山域は開発が行われず多くの自然が残されている[5]。コメツガやシラビソなどの原生林に覆われ、イワナシ・コケモモ・シャクナゲ・シラタマノキや亜高山帯の植物が見られる。ニホンツキノワグマ・ニホンカモシカ・ニホンジカ・ニホンリスなどの動物が生息している[4]。
山名の由来
天照大神が岩戸にこもった際に、天手力男命が投げた岩戸が有明山に落ち止まり、それ以降天下が明るくなったという伝説が山名の由来の一説である[6]。古くは取放山、戸放が嶽、戸放山、鳥放が嶽とも言った。[8]
歴史
古来麓の人々に「信濃富士」「安曇富士」と呼ばれ、霊山として崇拝されていた[6]。西行法師が「信濃なる有明山を西に見て 心細野の道を行くなり」、藤原定家が「てりかはる紅葉をみねの光にて まつ月細き有明の山」、後鳥羽院が「かたしきの衣手寒く時雨つつ 有明山にかかるむらくも」と詠む等、多くの和歌で有明山が詠われた。
登山
古くは信仰対象の山で明治時代まで各地からの修験者が登頂していた。隣の燕岳などと比較すると登山者は少ない[3]。各方面から三つの登山道が開設されていて、中房温泉からのルート(裏道)が最も利用されているルートである[4][13]。黒井沢からのコースの表道には、多くの石碑が並んでいる。
- 中房温泉からのコース(裏道) 中房温泉 - 有明登山口(有明荘) - 窪地 - 北岳(有明神社奥宮) - 中岳 - 南岳
- 馬羅尾沢からのコース 馬羅尾林道 - 大曲 - 不動の滝 - 落合 - 北岳 - 中岳 - 南岳
- 黒井沢からのコース(表道) 長野県道327号槍ヶ岳矢村線宮城 - 黒井沢 - 妙見滝 - 白河滝 - 南岳 - 中岳 - 北岳
地理
周辺の山
常念山脈北部の清水岳から南東に派生する尾根の最南端に位置する山である。北峰が有明山の最高点である。
源流の河川
源流となる以下の信濃川水系の河川であり、日本海へ流れる[14][15]。
- 黒川沢、曲り沢 (中房川の支流) - 黒川沢上流部には、妙見滝と白河滝がある。
- 芦間川 - 上流部に不動滝がある。
関連画像
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春の有明山 喜作新道から望む
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夏の有明山 燕岳から望む
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麓の安曇野市穂高地区にある 有明山神社の里宮
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脚注
関連項目
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有明山に関連するカテゴリがあります。
外部リンク